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【目指せソムリエ#35】大自然の中でのエシカルなワイン造り、南アフリカ

はじめに

プレソムリエの皆さん、こんばんは!今日も蒸し暑い1日でしたね〜(>_<)

今回は南アフリカです。アフリカ圏にはまだ一度も足を踏み入れた事がないのですが、南アフリカは南アフリカと言えばサバンナの野生動物や壮大な大自然!

かと思えば、ケープタウンのような都会的な街並みも!

星もとっても綺麗で・・!

©︎南アフリカ観光局

人々は賑やかでフレンドリーなイメージ!!
カラフルな民族衣装も可愛いですね♡

日本の文化とは異なるダイナミックな印象があります。いつか行ってみたい!

近年南アフリカのワインは日本でも輸入が増え、プルールでも取り扱いの機会が増えてきました♪


南アフリカの概要

南アフリカは360年以上のワイン造りの歴史と、環境と人に配慮したワイン造りを行うニューワールドワインのリーディングカントリーです。

1994年のネルソン・マンデラ氏の大統領就任によるアパルトヘイト(白人の政治家が定めた、黒人を差別する制度)撤廃後、海外市場に向けた積極的な取り組みが強化されました。

ワインの輸出量はこの20年間で約20倍となっています。2019年に世界で販売されたフェアトレードワインのうち、2/3が南アフリカ産だそうです!

かつては国際市場を意識した国際品種の大量生産ワインが多かったですが、近年は小規模で若い生産者が増え、テロワールにあった自由で個性溢れるワイン造りを実践。ナチュラルワインや、人的介入の少ない「Hands-offハンズオフ」ワインが注目されています。

しかしこの5年ほど干ばつが続いてワインの生産量は減少しており、水不足や気候変動によりワインの価格は上昇しており、量から質への転換が進んでワイン事業への投資も増えています。

産地は南緯27~34度に位置していて東がインド洋、西が大西洋に面しています。多くの産地は海岸から50km以内にあり、日中は大西洋とインド洋からの冷たい潮風の影響を受け、夜は霧がたちこめて湿り気を帯びた風が吹きます。

南アフリカ最大の産地は西ケープ州で、南極からの冷たいBenguela ベンゲラ海流の影響で緯度のわりに冷涼です。西ケープ州には春から夏にかけて「Cape Doctor ケープドクター」と呼ばれる強い乾燥した風が南東から吹き、夏の間もインド洋からの冷たい風が地表を冷やし、防虫剤や防カビ剤の使用を最小限に抑えられます。

南アフリカの歴史

17世紀の大航海時代、喜望峰の発見によりオランダ東インド会社はインドや周辺地域に向かう商船への食品供給地 としてケープタウンを寄港地とするようになります。

1655年、オランダ東インド会社のJan van Riebeeck ヤン・ファン・リーベックがケープでブドウ栽培を開始、1659年に最初のワインが誕生します。
1685年にはナントの勅令が廃止され、宗教迫害を受けたユグノー派のフランス人が入植を開始しました。その多くはロワール地方出身者で、生活に必要なものとしてワイン造りを始めました。

また同年、Simon van del Stel サイモン・ファン・デル・ステルがコンスタンシアにブドウを植樹しています。1726年にはコンスタンシア産甘口ワインが輸出開始。19世紀にかけてナポレオンをはじめヨーロッパの貴族らに愛されました。

1918年のケープのワイン産業の発展を目的として「南アフリカブドウ栽培協同組合(KWV)」が設立されます。1925年にはステレンボッシュ大学のAbraham Perold アブラハム・ペロード博士によりピノタージュが誕生します。1971年には「ステレンボッシュ・ワインルート」整備。ワインツーリズムの先駆けとなります(現在公式ワインルートは23ヵ所)。1973年は原産地呼称制度Wine of Origin(W.O.)が制定されました。

1994年にはアパルトヘイト全廃され、先進国からの投資が行われるようになります。1998年には減農薬や減酸化防止剤、リサイクルの徹底や水源の維持などを盛り込んだガイドライン「環境と調和したワイン生産(IPW)」が制定されました(現在、ブドウ栽培農家やワイナリーの95%以上が、ガイドラインに従ったワイン造りを行っています)。

2002年に労働環境改善を目的とする「ワイン産業倫理貿易協会(WIETA)」が設立され、2004年にはワイン生産地の9割が含まれる「ケープ植物区」がユネスコ世界自然遺産に登録を果たし、同年、「生物多様性とワインのイニシアティブ」(BWI)を提唱。貴重な植物群を尊重したブドウ栽培を行っています。2012年には「ワイン&スピリッツ常任委員会」と「南アフリカワイン協会(WOSA)」が共同で、品質保証、自然環境保護、労働環境整備を満たす協定を定めました。

南アフリカのブドウ品種

栽培比率は、白ブドウの栽培面積が黒ブドウをやや上回っています。

南アフリカの代表品種は、かつてSteen (スティーン)と呼ばれていたシュナン・ブランで、栽培面積はフランスのロワール地方を凌ぐ、世界第一位を誇っています!シュナン・ブランは古くから栽培され、スパークリング、酒精強化、甘口から辛口まで、様々なヴァリエーションのワインが造られています。

また、単一品種だけでなくブレンドワインも多く、ボルドー品種を用いたBordeaux Blend (ボルドー・ブレンド)、南アフリカの代表品種であるピノタージュやシュナン・ブランを主体としたCape Blend (ケープ・ブレンド)、シラーを主体にローヌ品種を用いたRhone Blend (ローヌ・ブレンド)と呼ばれるものなどがあります。

南アフリカのワイン法

1973年に南アフリカのワイン法Wine of Origin(W.O.)原産地呼称制度が制定されます。これはワイン産地を法的に保証するだけでなく、品種やヴィンテージについても規定し保護するものです。

南アフリカでワイン法に準じた原産地呼称をもつワインの生産量は、全生産量のおよそ半分を占めます。

ワイン生産地域

南アフリカのワイン造りは9割が西ケープ州で行われていますが、北ケープ州やクワズル・ナタール州とフリー・ステイト州などでもワインが生産されています。

他の地域同様、どこの地域にどの地区が属するのかしっかり覚えましょう!

Western Cape 西ケープ州

南アフリカのワイン生産の中心地である西ケープ州は、2004年ユネスコ世界自然遺産に登録された植物自然保護区(ケープ植物区)でもあります。

西ケープ州の中でも特にワイン造りが盛んな地域はCoastal Region コースタル・リージョン(沿岸) で、総栽培面積の半分を占める南アフ
リカワイン産業の中心地です。

コースタル・リージョンの中にあるStellenbosch ステレンボッシュは、南アフリカでブドウの栽培面積1位の広大な地区です。ケープタウンに次いで2番目に古い街で、南アフリカで唯一ブドウ栽培学と醸造学の学位が受けられるステレンボッシュ大学、エルセンバーグ農学校、ニットフォルベイ研究所が あり、ワイン教育や研究のハブでもあります!

ステレンボッシュに次いで南アフリカのワイン用ブドウの栽培が広いのは、Paarl パールで、ステレンボッシュの北に位置しています。同国3番目に古いヨーロッパからの入植地で、オランダ人、ユグノー派フランス人が多く移住していて、KWVのホームタウンでもあります。山頂が丸く、早朝には 光の中で真珠のように輝くことから命名されているそうです。

コースタル・リージョンにはその他にも、「黒い大地」を意味している西ケープ州で総面積最大の地区Swartland スワートランドや、南アフリカワイン発祥地であるConstantiaコンスタンシアが位置するCape Town ケープタウンなどがあります。

南アフリカで3番目に栽培面積が広い地区はBreede River Valley ブレード・リヴァー・ヴァレーにあるRobertsonロバートソンです。栽培面積は「コロンバール」が最大で、シャルドネに加え、ソーヴィニヨン・ブラ ンも注目されています。キャップ・クラシックの評価も高く、CCPA会長がセラーマスターを務めるGraham Beck グラハム・ベックの本拠地です。 古くから酒精強化ワインにも定評があります!

西ケープ州には上記の二つの地域以外にも、Cape South Coastケープ・サウス・コースト、Klein Karooクレイン・カルー、Olifants Riverオリファンツ・リヴァー、Boberg ボーバーグなどがあります。

Northern Cape 北ケープ州

北ケープ州は国内最大面積の州ですが、ブドウ栽培面積は南アフリカ全体の僅か4%です。

北ケープ州域を流れるオレンジ川は重要な灌漑用水の供給源となっています。

南アフリカで最も標高が高く、大陸性気候のSutherland-Karoo (サザーランド・カルー)地区が注目されています。

スパークリングワイン

南アフリカでは、瓶内二次発酵によってつくられた「Méthode Cap Classique(MCC)キャップ・クラシック」が近年大きな成功を収めています。

©︎ Graham Beck Wines

初のMCCは、Simonsig シモンシッヒが1971年に生産しますが、1992年には14のMCC生産者がキャップ・クラシック生産者協会(CCPA)を設立。現在加盟する86の生産者が、MCC総生産量の90%を占めます。

使用可能品種に関する規定はなく、シュナン・ブランやピノタージュを使用したMCCもありますが、CCPAではシャンパーニュの主要3品種を推奨しています。

おわりに

南アフリカのマンデラ元大統領の言葉に「It always seems impossible until it's done.(何事も成功するまでは不可能に思えるものである)」というものがあります。

こんな膨大な範囲を学習していると、本当にゴールまで辿り着けるのか、どうしても不安になる時もありますよね。。不可能に感じても、諦めずに最後まで自分を信じて頑張りましょうね!

プルールでは南アフリカのワインをはじめ、世界各国のワインを取り扱っています。

オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m

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