学校教育では英語が話せない理由
どうも、タジです。
最近、本腰を入れて英語の勉強を開始しました。
私の年代は中学1年生から英語の授業が始まり、英語を専門的に学んでいなくても、ほとんどの人は高校3年生までの6年間勉強してきたのですが、周りに外国人と英語で日常会話ができる人はほとんどいません。
それもそのはず、日本人の英語力は非英語圏で53位と他のアジア諸国に軒並み負けているのです。
私の場合、中学の3年間は塾でも英語を学び、大学でも1年次に教養科目で履修していたのですが…。
なぜ最低6年間も勉強しているはずの英語が、使い物にならないのか?
その理由は、学校では「コミュニケーションツールとしての英語」ではなくて「試験教科としての英語」を教えているからなのです。
中学時代に抱いた疑問
日本人は「犬」という言葉と聞くと、瞬間的に生き物の犬をイメージすることができます。
アメリカ人が「dog」と聞いても同様です。
しかし、英語の授業で「dog」は日本語で「犬」だと、和訳もセットで習うので、図のように矢印がひとつ増えることになります。
このことについて、中学生だった私は
こう疑問に感じていました。
また、文章読解の際に先生が黒板にやたらと書き込むこの矢印。
英語にはこのように、和訳する際に文字の並びを前後入れ替える必要があることが多々あります。
氏名、日付、住所の表記などもそう。
これについても、
こう疑問に感じていました。
そんな疑問を抱きながら、仮定法あたりで離脱したのが私の残念な英語学習の記憶です。
言語を学習する順番
あらためて言語を学習する順番について考えてみましょう。
英語の場合、いきなりアルファベットの書き方を習い、かんたんな単語を習ったら、すぐに教科書を読みはじめませんでしたか?
しかし、私たちが日本語をおぼえた過程を思い出してみてください。
まずは言葉のシャワーをひたすら浴びて、それから徐々に声に出すようになり、4歳頃からようやく文字を書き、本を読み始めるのです。
それなのに英語教育はリーディング、ライティングが重視され、日本語とは真逆のおぼえ方をさせられます。
リスニングやスピーキングも並行して勉強しますが、そこにかける時間はとても短いです。
なぜ、このような順番で学習するのか疑問に感じたことはありませんか?
極めつけは文法
関係代名詞に仮定法、分詞構文…。
日本語でも馴染みがない言葉が突如として現れて、凡人の私はパニック状態でした。
そもそも日本語の文法だっていつ習いましたか?
中学生になってようやく「サ行変格活用」とか習います。
だからといって、「早起きする」(和語の名詞+「する」の形のサ行変格活用)などの表現を使うことは当たり前にできたので、習うのが遅すぎるということもなかったです。
別に文法という形を知らなくても、会話の中で使えていれば不自由することはありません。
よく数学でつまづいた人が「微分積分なんて知らなくても生きていけるよ!」と言うのと同じで、
であって、知っていればスゴイと言われるレベルなのです。
ためしに「サ行変格活用」をWikipediaで調べてみてください。
めちゃくちゃ分かりにくい解説がしてありますから。
日本語の文法でさえ固い言葉で説明されたら理解がむずかしいのに、慣れない英語で同じことをしているわけですから、拒否反応を示す人がいても当然。
つまり文法とは本来、日常会話をマスターしている人が目指す、さらに上のステップ。教養レベルで学習すべきものなのです。
試験教科としての英語
さて、ここで学校教育が「試験教科としての英語」を教えているという根拠を整理してみましょう。
いかがでしょう?
どれだけ日本の英語教育が進級、受験、卒業、入社、昇進など、さまざまなシーンで活用される英語試験で序列を決めるのに都合よくできているか。
もちろん、こういうご意見もあるでしょう。
そこで、次は英語学習のゴール設定について考えてみたいと思います。
英語学習のゴール
まずはじめに、私の英語学習の最終ゴールはニュージーランド移住です。
雄大な自然と穏やかな気候、フレンドリーな国民性にゆっくりと流れる時間。
ニュージーランドは、国連の世界幸福度ランキング2020でも8位にランクインするほど、とても魅力あふれる国です。
こんなところで生涯を終えられたら最高だろうなぁと、日々妄想をふくらませています。
ただし、現実は相当厳しいです。
なぜならニュージーランドで永住権を取ろうと思うと、ITELSという英語試験で6.5というハイスコア(TOEIC換算で820~870)が必要になるから。
まぁ、これはあくまで最終目標。
そのために細分化した英語学習のゴールはこうです。
相手も観光客だと分かればゆっくり話してくれますし、文法がめちゃくちゃでも理解してくれる可能性があります。
ただしリスニング能力がないと、空港のアナウンスが聞き取れない時など不便を感じることになります。
ある程度流暢にコミュニケーションができないと、相手にストレスを与える可能性があります。
また、アパートや車の契約、子どもの学校のことなど、日常会話以上の語彙数と知識が必要になってくるでしょう。
ていねいな言い回しや仕事上使われる専門用語の習得が必要になるレベルです。
またお客さんはこちらの能力に合わせてくれないので、リスニング能力も相当必要になってきます。
前述したようにTOEIC換算で820~870(英検準1~1級)のスコアを取るほどの英語力が必要です。
このレベルに達したら、英語で困ることはほとんどなくなっているでしょう。
ちなみに、もともとはゴール1と2の間に「英語で情報収集できるレベル」というものもありました。
海外サイトを自由にネットサーフィンできるようになれば、収集できる情報量が格段に増え、仕事にも活かすことができると考えたからです。
ただし、この問題については昨今の翻訳ツールの技術発達で解決しましたので、今の目標の中にはありません。
残念ながら学校で一生懸命勉強している長文読解は、こういったテクノロジーが最も得意としている領域なのです。
試験対策のためにこの能力を伸ばすよりも、他に優先的に伸ばす能力がたくさんあるのではないでしょうか?
ゴールがテストの人は?
ここで再び、先ほどのご意見に戻ります。
ゴールは人それぞれなので問題ありません。
しかし、学校教育の英語が一貫してゴールがテストの人向けの内容になっていることが問題なのです。
言語の原点に立って考えれば、コミュニケーションを取れる人よりも、テストで高得点を取れる人を量産する方法が正しいとは思えません。
テストの得点をゴールにしている人が本来、お金を出してTOEIC対策講座などを受講すれば良いのであって、学校教育の英語はコミュニケーションツールとして学びたい人のためにあるべきなのです。
英語に関わらず日本の学校教育、そして日本人の思考は受験のための勉強に偏りすぎています。
だからセンター入試が終わった途端に勉強のスピードをゆるめたり、卒業単位を満たしたら、それ以降授業を履修しなくなる大学生が大勢生まれるのです。
コミュニケーションツールとしての英語
残念ながら学校教育が変わらない限り、「コミュニケーションツールとしての英語」を身につけるには自分で頑張るしかありません。
分かりやすい方法としては、英会話教室(オンライン英会話含む)や留学があげられます。
ちなみに、私は社会人になってから1年ほど英会話教室に通いましたが、残念ながら上達を実感しませんでした。
グループレッスンだったので日本語での会話が多くなってしまったのと、人それぞれゴールやモチベーションが違うので、学習レベルが合わなかったのが原因だと感じています。
ただし、海外経験豊富な先生に海外旅行のノウハウが色々と聞けたのは良かったです。
そこで最後に、「コミュニケーションツールとしての英語」を身につけたいという人にとてもオススメな方法をご紹介。
私は現在、他に浮気はせずこの方法からのみ大量のインプットをしている段階です。
Cozyさんから学ぶ
こちらの本の著者Cozyさんは、外国人の友人に「日常会話の参考になる」と言われ、なんとシーズン1~6まで全94話、トータル45時間もある人気海外ドラマ『SEX and the CITY』に出てくる全セリフの単語数をEXCELに入力して調べたそうです。
その単語総数、実に12,088個!
スゴイ地道な努力…。
その結果、おどろくべきことに気がつきます。
それは、セリフの約80%がたった350個の単語からできていること。
そして、そのほとんどが中1で習うものばかりだったこと。
興味深いですよね?
なぜこれだけ少ない単語数で会話が成立するのかというと、句動詞(get off や get on のように、動詞に前置詞を組み合わせることで多様な意味を持たせる)の存在があるから。
中でもよく使われる組み合わせを「連結ランキング」として、こちらの本でご紹介しています。
4歳の海ちゃんは政治家のむずかしい話は理解できなくても、私たちとの日常会話は問題なくできます。
ここが英語学習のゴールでも十分だと思うのですが、学校教育では日常会話もできていない人に政治用語を教えるようなことをしているのです。
これらはどれも「お腹がすいている」ことを伝える表現ですが、学校教育は固い表現までもれなく教えているイメージ。
でも「空腹」って表現、私たちはビジネスシーンですら使いませんよね?
複数の言い回しをおぼえるのも、文法と同じく教養レベル(さらに上のステップ)だと私は思います。
「コミュニケーションツールとしての英語」を教えるのであれば、まずは幼稚な表現だとしても日常会話が成立することを目指すべきだと思います。
では、なぜそうならないのか?
それはやはり学校教育が「試験教科としての英語」を教えているからです。
たとえばTOEIC860点には10,000個の単語を暗記する必要があるように、指標として語彙数をはかる方が序列を付けやすいのです。
「コミュニケーションツールとしての英語」を習得したいのであれば、語彙数をひたすら増やすよりも、350の単語の使い方(句動詞や例文)を覚えた方がよっぽど近道であることを知りましょう。
がっちゃんから学ぶ
日本には多くの文法解説本が出されていますが、私にはどれも似たりよったりに見えます。そのどれもが、学術的に理解したいという気合の入った人にとっては良書になり得るでしょう。
そうではなく、
と悩んでいたときにめぐり会えたのが、がっちゃん(韓国人)です。
このYouTubeチャンネルは文字と音声だけの日本人に向けた英語解説動画なのですが、まず聞いてみてください。おどろきの連続ですから!
私には韓国人の友人が3人いるのですが、どうしても韓国語にはない日本語の発音が出せない(ゼとツ)ので、違和感はぬぐえません。
KPOPアイドルの話し方を聞いていても分かりますよね?
しかし、がっちゃんは韓国人ということを疑うほど日本語がうまいです!
もはや声だけ聞いていたら日本人。というよりコナン君です!笑
「ごく普通の韓国人」と名乗ってはいますが、非常にむずかしいと言われている日本語を完璧にマスターしている時点で普通ではありません。
そんながっちゃんが教える英語なので期待も高まります。
がっちゃんの正体については興味がある人はこちらの動画をご覧ください。
たいていの動画は倍速で聞くのですが、がっちゃんはとても早口(それだけ日本語が流暢)。そのためテンポが良く、どの動画も飽きません。
言葉のチョイスもセンスが良い。
例えば、私たちのような英語教育で挫折した者を「英語戦死者」と呼んだりとか。
クスっとさせられる場面も多々あります。
また、「英語の先生」という共通の仮想敵をつくるのも、視聴者に共感を持たせるテクニックでしょう。
特に私が好きなのはエンディングのフリートーク。
あのほっこりする感じ、好きですねぇ。
まるでラジオを聴いているような感覚になります。
がっちゃんは絵がじょうずなので、イラストを活用しわかりやすく解説してくれます。
ある動画の中で「人は単語を覚えるときにイラスト(イメージ)&発音(音)&スペリング(形)の三拍子が揃ってこそ、ちゃんと頭に入る」と発言していることからも、イラストの重要性を感じているのでしょう。
ちなみに、これってもしかして…。
そう!
私が中学生のときに疑問に思っていた、この疑問の答えです。
正確に書くと、こう。
これが単語をおぼえるメカニズムなのです。
和訳をはさむ必要はありません。
そして「コミュニケーションツールとしての英語」を身につけたいという人にとって、文字(スペリング)の習得は後回しで良いのです。
例えば海ちゃんは、ずっと前から「道路」という単語を知っています。
「道路に出ないで!」と注意する場面はよくありますから。
しかし、最近になって「どおろ」ではなく「どうろ」と文字で書くのだということをおぼえたのです。
別の方になりますが、AK-EnglishのAkaneさんも文字をおぼえることの弊害をこちらの動画で紹介されています。
抜粋すると、小学生くらいから発音が悪くなる原因は「文字に置き換えだすから」というもの。
Akaneさんは「First of all」(訳:まず最初に)という英語を、意味も使い方も知っていたけど、ずっと「ファーストボー」という1つの単語だと思っていたそうです。
私はそれで良いと思っています。
本当に大事なのって意味と使い方(発音含む)を知っていることなのですから。
そんなことない!
がっちゃんいわく「意外と英語のスペリングが書けない英語ネイティブは多い」のだそうです。
理由は、日本語と違い英語はスペル通りに発音しないから。
これは私の持論ですけど、非英語圏の私たちが正しいスペリングをおぼえるって、非日本語圏の人が正しい漢字をおぼえるのと同じくらいのレベルだと思うんですよ。
日本語がペラペラな外国人が「複」という漢字を衣偏ではなく示偏で書いたところで、(こいつ全然日本語分かってねぇなぁ)とはなりませんよね?
日本人だってまちがえる人いますし、点がひとつ足りていなくても意味は通じます。
だいたいにして、英語を手書きで書く機会って今後どれほどあるのでしょうか?
学校のレポートもビジネスもほとんどがパソコンなので、スペルチェックは勝手にやってくれますよね。
そんなことない!
薔薇という漢字を書けないけれど読める人がいるのと同じで、スペルを正しくおぼえていなくても、発音と意味を知っていて前後の文脈を見れば、読める場面の方が多いはずです。
それなのに英語のテストではスペリングが間違っていれば容赦なくバッテン。
それって、正しく発音できることより重要なことなのでしょうか?
学校教育が求める能力は、それだけ実用性とかけ離れているということなのでしょうね。
ちょっとスペリングについて脱線しましたが、がっちゃんは得意な絵を活かして単語習得アプリを開発中なのだそうです。
単語数は実に6,000語!もちろんすべてにイラストと音声付き。
毎週の動画制作に加え、これを6,000種類も用意するわけですから、すさまじい努力家です。
リリースが待ち遠しいですね!
ここが英語学習において一番重要な要素ですよね。
がっちゃんのすごいところはイラストのうまさに留まりません。
難解な文法用語を、とっても分かりやすい例えや馴染みのある言葉に置き換えて説明してくれるので、スッと頭に入ってくるのです。
特に完了形の解説動画の分かりやすさは秀逸。
ぜひご覧になってみてください。
また、学校教育では「mustとhave to」や「willとbe going to」は、ほぼ同じ意味だと教えて済ませることが多いと思います。
確かにテスト対策にはその説明で十分なことが多いです。
しかし、がっちゃんは類義語のそれぞれのニュアンスまでちゃんと教えてくれます。
このニュアンスという言葉、ガツーンと来ましたね!
「そう、そういうのが知りたかったんだよ!」と。
「コミュニケーションツールとしての英語」を習得したい私にとっては、こういった、どういう立場の人が、どういったシチュエーションで使う言葉なのか、というのが非常に知りたいところだったのです!
ちなみにがっちゃんは、YouTubeだけではなくvimeoで有料英語講座(月額497円)をやっています。
中身はYouTubeで解説した内容の深堀りですが、個人的には「試験教科としての英語」を身につけたい人にオススメです。
がっちゃんは先生が教えるような問題を解くためだけの小手先のテクニックは否定してはいますが、一方でTOEICや受験を控える視聴者がたくさんいることに配慮し、独自のテスト対策をvimeoで伝授してくれています。
「こういう問題はこう解けば良い」と具体的に解説しているあたり、YouTubeと明らかに違う点ですね。
もちろん「コミュニケーションツールとしての英語」を身につけたい人にとっても役に立つ内容満載。
興味がある人は、ぜひvimeoもご覧になってみてください。
さいごに
学習はアウトプットをすることで、より定着します。
小さな子どもでも歌をおぼえられるのは、声に出して歌うことがアウトプットになっているからです。
私がオススメした学習方法はいずれもインプットのみなので、今後はアウトプットもしていかなければなりません。
英語にとってのアウトプットも、やはり声に出すことですよね。
よって、コロナが落ち着いたらフィリピンに親子留学に行く計画を立てています。早くても来年でしょうか。
3ヶ月ほどの滞在で考えているので、ゴール2「海外で生活ができるレベル」到達を目指したいです。
海ちゃんは現地の幼稚園に通わせるつもりなので、彼女の成長もひそかに楽しみ。
実行に移せたら、親子留学についても記事にしますので楽しみにしていてください。
それでは。
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