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食品ロス年間600万トンや520万トン以外にもある廃棄

環境省や農林水産省の発表などから日本の食品ロスは年間約600万トンだとか思っている方に読んでいただきたい話です。
その算出の意味を知ると廃棄はそれ以外にもあるという事がわかります。
恐らくあと300万トンぐらいはプラスされる筈です。

現状での発表内容

日本の食品ロスは年間いくらか?と聞かれて約600万トンと答えられる人は事前に調べる等して関心高い人で凄いと思います。
現状の発表では最新が令和2年で522万トンとされて「過去最少!」ってなっておりますが、ややもするとそれが廃棄の全てだ!と理解もされてしまう所があるかと思います。
ちょっと危険な誤解かもしれません、という問題提起が今回の趣旨。

この発表の数字の算出は?

事業系の方は「食品リサイクル法に基づく事業者からの報告等」を元に算出をし、家庭系食品ロスについては「市町村に対する実態調査等」を元に算出とあります。
例えば恵方巻の大量廃棄などがあった際に専門の廃棄処理場に持ち込まれた物をカウントする、家庭ごみをランダムに開封してみて食品廃棄量がどれぐらいか確率から推測する、といった手法です。
逆に言えばこれ以外の処理方法は算出されていないという事になります。

食品ロスとは食品含む生ゴミ等の分類から可食部と非可食部にわけての食べられる範囲の物を食品ロスの分とカウントしています。

現状の流れ

この食品ロス以外の廃棄とは?

農家さんに規格外野菜の事を尋ねに行くと「うちは畑の肥料にするために土に埋める。だから廃棄はしていない。実際に廃棄場で焼却されてないんだから良いでしょ?」という事があります。
それは確かにその通りでもあります。
ゴミ処理場の焼却や埋め立てといった部分を減らして二酸化炭素を減らそうとかそういった観点では。
他にも北海道特有の物としてエゾシカの駆除とかがありますが令和4年の捕獲目標が約16万頭に対して約8割は活用できずに廃棄となっているそうです。
これは害獣駆除の範囲で処理される為、食糧の廃棄とみなされていません。食肉加工後の何かが廃棄されたのであれば食品ロスですが、加工前となるとカラス等の駆除動物と一緒にカウントされるわけです。
この理屈で行くともしかしたら漁港でも目的外の魚が獲れてしまった場合値段がつかないからと廃棄される分もそうかもしれません。これもトン単位で発生があると聞きます。
よく話題になる牛乳の廃棄も食品ロスの中に計上されているのでしょうか?
乳牛農家さんで絞った直後に廃棄になっている分は恐らく計上されないでしょう。牛乳会社に運び込まれて「牛乳」として製品化する途中での話であれば食品ロス的な廃棄でカウントされますが。

エゾシカの処理例

でも本当は食べられましたよね?

エゾシカ肉とかに処理すれば食べられるのに駆除の8割分が廃棄。
本当は加工処理すれば食べられるものを、食品じゃないからと食品ロスに数える事なくただの廃棄物として処理されていく現状。
しかし一方では未来は食糧不足に陥るので新素材の食品を!と叫ばれるわけです。遺伝子組み換えなどによる培養食品や昆虫食など・・・。
「あれあれ?」って疑問に思いませんか?

広い視点から見れば「食べられるのに捨てられている」としてこれも一つの食品ロスと考えます。
農業、漁業、畜産業等の一次産業時点での廃棄は「食品ロスの上流で起きている廃棄」ともいえるのではないでしょうか。

鍵を握るは必要とする事

これらの問題としては「必要とする事」だと思います。エゾシカ12万頭分が廃棄(=16万×80%)されのが勿体ないから肉にしました!というだけではそれもやがて廃棄されます。誰も買わない、誰も食べないとなるからです。
重要なのは必要とする事。その流れづくりが大切です。

かといって今はまだスーパーで気軽に売られているような物でもありません。まずはこのような事実がある事を知り、その上で徐々に必要とする事が問題解決への鍵だと思っています。

プラスフードの加盟店さんですと西区の鮮魚鯔背さんが漁港であがった珍しい魚を買い取り、お客さんに調理法を伝授するなど需要拡大に努めています。その様子は漁業系の専門新聞に掲載される等していますが、もっともっと多くの人々に知られるべき事かと考えています。

鮮魚鯔背さんのインスタグラムをご覧ください


未調査の廃棄

食品ロスの専門家さんによると「備蓄の入れ替えで発生するロス」というのもあるそうです。
災害等に備えて市町村や企業が備蓄している物の廃棄は食品ロスにカウントされていそうですが、これは一次産業と二次産業の間の事かもしれません。

実際にプラスフードで出品があった例ですが冷凍のカレイが登場した事あります。
これは本当は干物に加工する為に冷凍で原料保管していたもののコロナの影響で干物が売れなくなり、原料をキープしていた分がそのまま保管料だけかかるため、捨てるぐらいならプラスフードに出品しよう!となったのです。

このように世の中にはまだまだ知られざる廃棄が眠っている筈です。
それを有効活用するための道筋を模索していきたいと思います。

最後に補足 エゾシカ伝道師

エゾシカの話題を出したのでちょっと補足です。
もしエゾシカ肉の事を知りたいとなってもプラスフードは専門家ではないのでこれ以上の詳しい事がわかりません。
ご興味あればエゾシカ伝道師髙橋さんに聞いてみてください。
北海道の認証制度による肉処理加工場での流通を増やそうとされています。


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