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SDGsを提言する人が自戒すべき事と、SDGsを評価する人に注目して欲しいポイント

食品ロス削減という大義

私達は食品ロス削減というテーマを元に行動してはいます。
それ自体は良い事とされるのですが、同時に自戒すべき事も心に留めているつもりです。
ある食品ロス削減イベントでおっしゃっていた事がそのまま当てはまるので今回はその共有です。

群盲象を評すとは何か

実際に検索などするとwiki等にもあるので詳しい説明はそちらをご覧ください。

「視野の狭い者が多く集まり、それぞれの観点から述べて本質が見失われている喩え」とされるので特定の誰かを視野が狭いと貶めるつもりではありません。
しかし食品ロス削減をはじめとして社会問題に関わるテーマを掲げる者はこの考えを自戒しないと別の社会問題を拡大させる事となります。

私達プラスフードはスタートしてすぐに新型コロナの感染拡大時期に入ってしまい外出自体が憚られる状況でした。
その為、利用自体をどう発信していいか苦慮したものです。
食品ロス削減の為に外出してお店に行って、感染拡大となってしまえば本末転倒のような状況です。
実際、その時期のユーザー様からのご意見としては以下のようなものがありました。
「出品された物を無料で貰えるのはいいが、車で遠い区まで行く事になりガソリン代がかかった。これでは食品ロス削減してもCO2を無駄に増やしてないかモヤモヤした」と。
まさにこれこそが「群盲象を評す」の一端だと思います。

食品ロス削減を最優先し過ぎた人は視野が狭い群盲の一人になってしまいます。
また、CO2削減を最優先し過ぎる人も視野が狭い別の群盲の一人になってしまいます。
社会問題という象を語る上で、一人は食品ロスが問題だと言い、別の一人はCO2排出が問題だと語るわけです。
どちらの視点で考えても、象という全体を意識してバランスの取れた発信を心がけなければいけないと思っております。

プラスフードはどうか?

では、実際にプラスフードはどういう位置づけなのか考えてみます。
確かに外出を促すし、車移動の方が有利なのでそういう視点ではCO2排出を促す事になるでしょう。
しかし、その移動範囲は札幌市内ではあります。
よくある食品ロス削減通販サイトの方が色々と流通件数が多そうですが、それだと北海道のお店の食品が西日本等へ配送されるにはエリア間のトラック輸送のCO2に、その地区での宅配トラックのCO2も更に発生します。
地産地消という言葉が単に地元の人の産業発展を意味するのではなくCO2発生抑制にも意味を持つという観点で見れば、札幌の廃棄可能性を札幌市内で解決するという事ではそこまで大量なCO2排出をしているわけではないとも判断できます。

こういった通販系で一番CO2が厳しいのは冷凍を必須とする食品削減通販だとは思います。
プラスフードならその日にすぐ来店するから冷凍しなくていい物を、冷凍通販だと冷凍にかなりのエネルギーを使います。
もしプラスフードがCO2的視点からダメだと評価されるとなると、食品ロス削減の冷凍通販はその何倍もダメという事になってしまいます。

市内移動のレスキューでのCO2は、廃棄されるとしたら市内の廃棄所へいく事業廃棄物車のCO2に更に処理場での焼却処分CO2もあるのでそこで大体相殺はされるのではないでしょうか。
もしかしたら逆に減少もしているかもしれません。

一般の人がSDGsを見る時に気にして欲しい事

このように本当の意味でSDGsなのか、表面的なSDGsなのか多角的な視点を物事を判断して欲しいと思っています。

無農薬野菜は素晴らしいに違いない!
=現実は雑草生えないように日陰ビニールシートを大量に必要としてビニールゴミが増える農法かも
・ユーチューブで再生回数の多い時短レシピは人気だから間違いない!
=時短を優先し過ぎて使用機材の費用や材料費が高すぎる手法かも

このように表裏一体、何かがあったりしますがこれらを見極めるポイントは体験だと思います。
家庭菜園などしてみれば無農薬栽培がどのぐらい大変かわかります。時短レシピも実際に作ってみる事が一番の理解に繋がります。

世の中、こういった事を体験せずに表面的な情報でなんとなく理解できた気になりがちですが、検索して出てきた内容でわかった気になるのは危険だと思っています。
今回の農家さんの話は実際にそれで悩まれている方からの情報でした。
悩んでいる方の発信はそれだけを強く推すようなやり方をしないので慣れてくると発信テイストでも見分けがつくかもしれません。

グリーンウォッシュって何?

ここで気を付けたいのは「グリーンウォッシュ」という概念です。
本当は実態を伴わないのに、環境に配慮した取組をしていると発信するケースが、意図的か不勉強ゆえに無意識にやっているかで増えてきています。

これらは受け手にも真贋を見極める能力が必要となっているものだと思います。
誠実な食材だけを使った料理でSDGsを!と謳っているお店さんが実情はなんとも言えない事が合ったりするなど、プラスフードも加盟店さん営業の過程で知りたくなかった裏側を見る機会も正直ありました。

・SDGsの一環で閉店間際に3割引きで売ります=売れ残ったものは廃棄しても閉店前に割引セールしたらSDGs?
・食べ残しは辞めよう!とポスター貼ったから当店はSDGsな飲食店=ポスター提示しただけで廃棄削減と比例関係が本当に証明できる?
・余剰食材は全部再加工品に再生しているので廃棄しないSDGsな企業=元の食材は廃棄していないが需要に応じて作ってない再生品は本当に廃棄ゼロである保証はないのに大丈夫?
・余剰食品は従業員が買うから廃棄していないSDGsな企業=不要な買い取りノルマを課すのはブラック企業の典型ですが?

プラスフードはこういった発信の現場を見聞きする機会があり取り組みをする中で、本当の食品ロス削減とは何か時々わからなくなる事も正直あります。

グリーンウォッシュの防御策

こういった見かけだけのSDGsが乱立していく可能性はまさに「群盲象を評す」の状態がより深刻になっているからだと思います。
防御策として考えうるのは2つです。

1:一般市民の方々が真贋を見極める能力を持つ(=多くの実体験から表面的な発信に騙されない)
2:取組強度の認証制度導入

このうち取組強度の認証制度は面白いんじゃないかなとは思います。
例えば食品ロス削減の取組もレベル1からレベル10の行動があるとして。
食べ残しやめようなどの啓発ポスターの提示はレベル1。
割引販売をして廃棄削減しているのはレベル2。
フードバンクへの寄付はレベル5。
何日か前の予約分だけで営業製造するのはレベル10、等。
あとはこれの判定人を誰がやるかが重要ですが・・・当然この判定基準は「群盲象を評す」の群盲さんではなく、象全体を見えている人でないといけません。
もしそうだとすればプラスフードで実際にユーザーさんへ
無料配布する加盟店さんはレベル何になるのか興味深いです。
皆様だったら何レベルに相当すると思いますか?
割引販売と違って無料で配布するので、それと同じレベルではない筈です。

今はどの取組もレベルが同じとして評価されていますが、レベル分けを判断してみる視点がSDGsを評価する人に必要だと考えています。
そしてこれが表裏一体でSDGsの提言者も自己の振り返りとして必要な要素になってくる筈です。


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