つゆき

趣味は語学学習と掃除 教養はありません

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最近の記事

謙虚さに関する私見

「謙虚さ」には種類があると思う。 一つは、自己肯定感の低さに伴うもの。あまりいいことではない気がしてしまう。 もう一つは、自分の立ち位置を客観的に観測したうえで発生する、理想と現実のギャップに基づくもの。 向上心ともいうべきか? ここで思い出した作品がある。 中島敦作『山月記』では、李徴は「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」のもとに、虎と化した。「人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。」という節で言及されているのは、今見ればソクラテスのいうところの「

    • 『アルジャーノンに花束を』読後感想と、今年のこと。

      名作と呼ばれるにふさわしい作品であったと、言える。 あらすじは調べればわかるので割愛。 チャーリイの変化がただただ悲しかった。 作中の『知識を求める心が愛情を求める心を排除してしまう』という発言は、『アミ 小さな宇宙人』(エンリケ・バリオス著)の中の『愛の度数と科学の度数のバランス』と通じるところがあると思う。エンリケ氏はこの本の中で、愛の度数を科学の度数が上回ることで争いが発生して世界が自ら滅びに向かうという話を展開している。 高校生のころ、勉強が好きだった。学年で数

      • Da, cause i luvvvvv u

        Miliというアーティストについて。そして、知識を得ることの利点についてひとつ。 一番好きな曲は「With A Billion Wonderful Of <3 」(Mili feat. DE DE DE MOUSE) 歌詞は検索してくれ、神なので。 この曲を初めて聴いた時、私は修行僧に恋した(それか好きな人が修行僧になった)女の子目線の曲だと感じた。彼の教義に合わせつつも、ちょっぴり自由に振る舞う、可愛らしい様子が脳裏をよぎる。 また輪廻転生や空の概念を上手く使った面白い

        • 湯用浴衣を作る話【後編】

          続きました。前回↓ https://note.com/pml/n/n15d9f9c679d5 袖をつける 袖にも背縫いのような糸印をつける。袖を身頃のように見立てて、背中側の端に寄せて、糸端を表側に出してつける。この時、袖山(用尺に裁断した袖布を正確に二つ折りにした時にできる折り目)を整えてアイロンや和裁こて等の熱で抑えることを忘れない。袖山と肩山を合わせて、袖が身頃に乗るようにして作りたいため、身頃の布端を5mmほどはみ出させて縫う。その後折り伏せ縫いをする。 袖下

        謙虚さに関する私見

          東方の私

          蓬莱山輝夜(東方永夜抄)が好きだ。 かつてサブカルチャーは私の苦手とするところであった。忘れもしない高校1年生の夏、初めて部活のメンバーに連れていかれたアニ〇イトが怖くて怖くて仕方がなく、ひとりで泣いて帰った思い出が今も心に残っている。この話をインターネットで知り合った友人にしたところ、「それでオタクカルチャー嫌いにならなかったのはすごい」と言われてしまった。 まあその当時好きだった人と同じ世界を見たかっただけなんですけどね! 東方Projectにハマったのは高2の頃だっ

          東方の私

          罹患にまつわる詳細な記録(随時更新)

          SARS-COV-2に罹患した。これはその詳細な記録である。 ※これは個人の体験であり、また個人の感想を大いに含みますので、万人に同じ症状が出るとは限りません。 【1日目】 「なんか喉痛いなー」という感じがある。エアコンを効かせすぎているせいかな?と考えて、特に何もせず。 発熱などはなし。……だったが、夜中になっても喉の痛みが改善しないどころか、37.5℃の発熱を確認。明日は仕事を休む旨を伝えて、就寝。 【2日目】 病院を受診したが、混んでいて1時間後の再来を要請される。

          罹患にまつわる詳細な記録(随時更新)

          10代って、つらいよな。

          10代の頃はマジでしんどかった。 と書くと、ただ20歳越えてからしんどくなくなったように聞こえるけれども、そうではない。 10代(特に17、18、19)と20歳越えてからのしんどさは全くの別物だと思う。 子どもはいつ大人になり、大人はいつから大人なのだろう。太宰治はかつてこう言った。 『大人とは、裏切られた青年の姿である。』 共産党じゃあるまいし青年とか言われてもいまいちピンと来ないが、どうやら子どもと大人の間にワンクッション青年という期間が置かれているという認識らしい。高

          10代って、つらいよな。

          湯用浴衣を作る話【前編】

          旅館などで提供されている浴衣は湯用浴衣といい、一般的な浴衣とは構造を異にしている。具体的には筒袖身八つなし、サイズ対応のために反物幅いっぱいにして作成するなど、リラックスウェアとしての役割を全うできるよう工夫されている。そこに一般的な着物にありがちなマナーやルールは、ほぼないと言ってよいだろう。 そんな湯用浴衣を寝巻きにして、そろそろ1年になる。冬は下に長袖やタイツを着るのである。なかなか便利でかわいいので、自分用にこれの作り方を軽くメモして置こうと思う。 裁断 和服の

          湯用浴衣を作る話【前編】

          何でもない日

          今日がそうだと思い出して、これを書いている。 昔好きだった人の誕生日だった。 松任谷由実さんが歌っているように、『どこかで祝ってる』んだろうと思う。だからこそ『おめでとう』と改めて言えるんだろう、とも。 優柔不断なくらい優しい人だった。ということを覚えている。 私が好きで好きでたまらないというアピールをしまくってなし崩しに交際をOKしてもらえて、でも長くは続かなくて。その後なんやかんやあって結局ただの友達に戻って。何でもない顔して20歳の同窓会で一緒に写真撮ったりしたな…

          何でもない日

          趣と効率

          『野菊の墓』という伊藤左千夫の小説がある。あらすじは青空文庫にもある作品なので省くが、これに記載されている内容を報告書にまとめれば、Wordを1ページまるまる使うことも無くすぐ纏まるだろう。現代は効率が重視される。とあるアニメで、AIという設定のキャラクターがダンテの『神曲』を読み、そのことを他のAIのキャラクターに「非効率的だ、データとして取り込んだ方が早い」と揶揄されるシーンがあった気がする(二次創作かもしれない。記憶が曖昧だ)。例え話などのノイズが多く含まれた文字の羅列

          趣と効率

          ころしたくないもの

          7月の朝露に濡れる青々とした葉のように、感性をみずみずしいままに保つ方法が知りたい。 ふと見上げた空の雲に感動したり、ごみ捨てを忘れずに済んだことにホっとしたり、掃除して綺麗になった排水溝に水を流す喜びだったり、アプリが落ちるバグを偶然発見したり、そんな小さな喜びに心が打ち震える敏感さや繊細さを失いたくない。 心が毎日、日常という風雨に晒されて、岩石のように凝り固まっていくものならば、この感性の硬化は、不可逆なのであろう。人間は慣れる生き物で、忘れる生き物でもある。それは

          ころしたくないもの

          バベルの塔は目に見えない

          同じ母語を持つもの同士で言葉が通じて、同じ概念を共有できるのって奇跡に近いと思う。 ウィゲントシュタインは、その著作『哲学探究』の中で、会話とは言語そのものの意味ではなく、日常生活を通して学ばれるルールに沿って展開されているゲームであると語った。言葉の意味そのものではなく、生活の中で必要とされるからこそ、道具として会話が意味を成すものであると。 詳しいことはもっと詳細に学んでいる人に任せるとして、こんな話もある。旧約聖書の中に記述がある「バベルの塔」だ。人間が天まで届く高

          バベルの塔は目に見えない

          死んだら消えるもの、残るもの

          古本屋に行ったら『純粋理性批判』の下(上・中・下があり、家には上のみ)と、もう1冊、めちゃくちゃ面白そうな本を見つけて衝動買いしてしまった。 『自殺について』(ショウペンハウエル著、斎藤信治訳、岩波文庫)である。 第一章が「我々の真実の本質は死によって破壊せられえないものであるという教説によせて」というタイトルなのである。 最高か? そうなのだ。死んだ程度で人間の何かが失われる訳では無い。柳田国男は民間伝承を保持する無名の民のことを「常民」と呼んだが、名前を残していないか

          死んだら消えるもの、残るもの

          ひとり暮らしのあなたへ

          単身者世帯が増加している。ひとり暮らしは家電需要を高めるため、経済的な要請であるとの見解を聞いたこともある。これは病気になっても他に家の中に頼れる人がいない、そんなひとり暮らしのあなたに贈るメッセージである。 排水溝掃除におもうこと 排水溝の状態にはその人となりが出る、と思う。汚いままの人はそういう細かいことを気にしない人なんだろう。キレイな人はマメな人。デフォルトのパーツを外して別のゴミ受けを設置し百均のネットなどを被せている人は家事上級者だなと思える。 掃除は仕事で

          ひとり暮らしのあなたへ

          最終学歴:ファッション系、ブランドについて語る

          「ファッションブランド」というと、どういうイメージが浮かぶだろうか。 パリなどのコレクションでモデルさんに奇抜な格好をさせ、ドヤ顔でインタビューを受けコンセプトの解説をしているデザイナーさんやアートディレクターさん、そんなイメージだろうか。 実際、いくら彼らがランウェイでアイデアを爆発させても、それが売られる(受動)・売れる(可能)とは限らないのだ。ランウェイでの服は車で言うコンセプトカーのようなもので、そのシーズンのブランドの方向性を示しているにすぎない。 ブランドものの

          最終学歴:ファッション系、ブランドについて語る

          田舎の空気は新鮮か?

          田舎に住んでいる。ラジオもあるし車もめちゃくちゃ走っているが田舎である。 「田舎の空気は新鮮でおいしい」という言葉がある。これを聞く度にいつも、美しい緑の景色に騙されてるだけじゃないのかと思う。「◯◯という地域はここに比べて臭い」というちょっとどうかという言葉も。 そもそも空気の新鮮さとはなんだろうか。 シアノバクテリアが光合成を初めておおよそ27億年、酸素はここまで重宝され現行の生物になくてはならない元素となった。しかし27億年前は酸素を使って同化する生物がほとんどいな

          田舎の空気は新鮮か?