少し前、『花束みたいな恋をした』を見に行った。

終始泣いていたような気がする。
たぶん、私と昔の恋人に似ていたから。
あんなにも運命的な出会いはしていないけれど。

＊

私と昔の恋人も5年くらい付き合っていた。

幸せな日常も、
就活が上手くいかなくて苦しむことも、
言いたいことが言えなくてすれ違っていくことも、
2人のためだと思っていたことが実はそうではなかったことも、

別れ際、今までのことを思い出してすがりたくなってしまうことも、
やっぱり好きで好きで仕方がなかったということも、

それでも、もうどうしようもなかったということも。

リアルすぎて、痛いほど、わかってしまった。


だから、涙が止まらなかった。

やっと少しずつ私の記憶から彼が薄れていたのに。
また、ぶわっと戻ってきてしまった。

付き合った分だけ忘れるのに時間がかかるというくらいだから、
そんな簡単に、私は彼を忘れられるはずがないのはわかっていたけれど。
これから先、他の人と付き合ってもきっと忘れないんだろう。

それでも、なんとなく私の中から早く消してしまいたかった。

でも、この映画を見て、その気持ちが少し変化したのかもしれない。

無理に忘れなくてもいい。
麦と絹みたいに、楽しい思い出を消さずにちゃんと閉まっておこう。

そんな風に。

＊

最近、人に誘われてよみうりランドに行った。
そこには、私の好きな空中ブランコがあった。
ふと彼との思い出がよみがえった。

昔、彼との関係があまりよくなかったときに、
「突然だけど、私、実は空中ブランコが好きなんだよね、知ってた？」ってぼそっとこぼしたことがある。
「へぇ、知らなかった。」でその会話は終わってしまった。
後日、仲直りしようって言う恋人にサプライズで連れていかれた遊園地。
そこには大きな空中ブランコがあった。


そうやって私に愛をくれる人だった。