巨女ノ国 ~#015~

 【一番大切なものは、命や時間ではないのか?

 命と時間をかけてつくるべきもの__それは、未来ではないのか?

 未来をつくるには、新しい世界に飛び立つ必要がある。だから、彼らは希望を失わずに東へ東へ、飛び続けていくのでした。】

 そしていよいよ、後戻りのできない地点(point of no return)が近づいてきました。

一人目「いよいよ、もう後戻りはできないぞ。みんな、覚悟はいいな?」

 全員、無言で頷きました。もう、とっくに覚悟は決まっていたのです。今更不安になるメンバーは一人もいませんでした。三人目は、その場の沈黙を振り払うように、ぽつりと発言しました。

三人目「point of no return__後戻りのできない地点は、小人村にいる時にすでに通過していたんだ、と僕は考えている。もうあの村に未来はない。あるのは、現状維持とみせかけだけの平和。それは生きていると言えるのか、ずっと疑問だった。140歳まで生きることは、希望ではなくリスクに成り下がってしまっている。この先の希望と可能性を失うくらいなら、僕は喜んで別な世界へ飛び立つさ。生き方や進む道を自分で決めることができるのが最大の自由、だろ?」

 皆、力強く静かな笑顔で頷きました。

 その時です。少し先に、小さな小さな小屋を見つけました。何もない大地に、一軒の小屋。

二人目「おい、あの小屋はなんだ?ずいぶん小さいが・・俺たちと同じ、小人サイズだな。」

四人目「小人村の人が住んでるのかな?降りてみようよ。」

 五人は、ドローンで小屋に近づき、三日ぶりに大地に降り立ちました。

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