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讃岐國・金毘羅ふねふね(旅で★深読み)

中国山地の中の街・津山に立ち寄った後、瀬戸内海を渡って四国に上陸、丸亀の謎のゆるキャラ「骨付鳥じゅうじゅう」と、学生時代の先輩に会いました。

翌日は夕刻の同窓会まで自由時間です。
まずはホテルに案内が掲げてあった中津万象園なかづばんしょうえんに行くことにしました。これは、丸亀藩主・京極高豊が作らせた回遊式の日本庭園です。

丸亀駅からJR予讃線をひと駅だけ西に乗り、讃岐塩屋駅で下車、JR四国の多くの駅がそうですが、ここも無人駅です。
海沿いの道を西に10分あまり歩くのですが、この日は全国的に天気が大荒れで、ここ温暖な讃岐でも、橋を渡ろうとすると海から猛烈な寒風が吹き寄せる。
帽子が飛ばされないよう抑えるが、自分自身が強風で車道まで飛ばされ、トラックに跳ね飛ばされて、美しくもはかない生涯を終えるのか、と(大げさでなく!)思ったほどでした。

ところが、中津万象園なかづばんしょうえんの門前で
ガーン!
この日(水曜日)は定休日なんだそうです。
……事前に調べておけばこんなことはなかったのに。
人生で何度もある、いい加減な性格を呪う瞬間です。幼児期からまったく進化していない。この性格のために貴重な人生をどれだけ無駄にしたか……。
仕方がないので無断で境内にちょいと分け入って、写真だけ撮ってきました。
(まあ、いいや……これで、行ったことにしよう)
うん、このテキトーな性格のおかげで、人生で貴重な時間を貯金している面があるかも……。

固く閉ざされた門に残酷な宣告が!《本日定休日》
名園っぽいシーンをこっそり垣間見る

……とぼとぼと讃岐塩屋駅に戻り、寒風の吹きすさぶホームで稀にしかやって来ないワンマン電車を待つ。

ちなみに、地名の由来は江戸初期に播磨国・赤穂からの移住者によって塩田が開墾されたから。その赤穂にも「塩屋」の地名があります。
讃岐には高松市にも「塩屋」があります(琴平電鉄志度線に「塩屋駅」)。

「JR塩屋駅」は神戸市垂水区にあるので重複を避けるため……

というより「塩屋」という地名は新潟県上越市、三重県志摩市から沖縄県大宜味村に至るまで、全国に散見されるようです。「塩屋」とは、製塩に使用する小屋を指します。

気を取り直して琴平行の電車に乗り、金毘羅権現に向かいます。

JR琴平駅前は既に参詣通りが始まっている気配

小雨が降り始めましたが、かまわず、
「こんぴらふねふね~おいけにほけて~しゅらしゅしゅしゅ」
と口ずさみながらズンズン歩きます。

《刷り込み》とは恐ろしいもので、小学校の部活「鼓笛隊」でこの曲を演奏しながら行進する練習を何度もさせられたために、その後半世紀以上に渡り、折に触れ口ずさんでいる!
……それにしても、元々は民謡だったにせよ、既にお座敷小唄と化していたこの歌を小学生に練習させた顧問教師(生涯独身の男性)の意図はなんだったんだろうか? お座敷遊びが好きだったのだろうか?

金毘羅参りは2回目で、前回はもう15年前、家族で石段の数を数えながら奥の院まで上がりましたね。

お顔にはボカシをいれましたが……。

参道を歩き始めてすぐ右手に、地酒「金陵」の醸造元があります。おめえさんは昨夜呑んだぜ、と敬意を表して中をひと回りさせていただく。

蔵元に入ると巨大な酒と酒桝が……

それにしても、この参道も平日とはいえ、シャッター商店街と化しており、前回来た時とはえらい違いでした。
うーん、3年来の流行り病で参詣客が激減し、土産物店など接客業が影響を受けるのは避けようがないけれど、そうした場合に給付金よりも、業種転換支援の方に税金を使う仕組みを(今回は仕方がないとして)素早く作らないといけないのかもしれない。

参道もシャッター商店街ではないですか!
大門。ここまで365段。

あ、そうそう。「こんぴらふねふね」の歌詞が間違っている、と思われた方もいるでしょうね。
正確には「追手おいてに帆かけて」つまり「追い風を受け帆を上げて」ということなんですが、小学生だった私はずっと「お池に帆かけて」つまり「池に船を浮かべて」シュラシュシュシュ、と遊んでいるって信じていたのですね。
だから、今でも思わず口から出るのは、
「おいけにほかけて~」
なんですね。
この手の「歌詞を勝手に解釈」が非常に多いのは、耳か脳かどちらかに問題があるのかな?

参道の石鳥居下には「しあわせさん。こんぴらさん。」と
12月の半ばですが、まだ紅葉が美しい

さて、ここは丸亀、酒ばかり吞んでいてはいけない、やはりうどんです。
参道入口まで戻って(というのは、途中のうどん屋は閉まっていたので)「算額茶屋」に入りました。

お顔にはボカシをいれましたが……。

「暖かい海老天ぶっかけうどん+温玉乗せ」という、定番らしき気配を注文。レモンが入っているのが新鮮かな。

美味しくいただきました!

ところで、「算額」というのは、和算の問題が解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを祈念して解法を書いて奉納した額なんだそうです。
店の中を眺めると……

左側が「算額」らしい……
「幾何学問題が解けた!」と思われる図が3つ含まれる復元算額のようです
こちらの「こんぴら歌舞伎」訳者図絵も興味深い……

さて、この後は、以前来た時も乗りたかった(けれど乗れなかった)琴電に乗って、高松に行きます。

長くなったので、今回はここまでで……。

この後は……

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