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朝マックとふたつの映画(街で★深読み)

同居人が朝早く家を出て行ったので(……と書き始めると、いろいろ憶測を呼んで面白いかもしれないな……)久しぶりにひとりで朝マックに出かけた。

ハンバーガーとコーヒー、いわゆる「コンビ」というのを頼もうと、メニュー&価格を見比べてみれば、なかなか興味深い。
➀ ソーセージエッグマフィン ¥350
➁ ソーセージマフィン ¥240
➂ エッグマックマフィン ¥300
多くの人が脳内で行う演算:
➀と➁の差、つまり「目玉焼きのプラス料金」が¥110(これはプロセスコストが大きいのだろう)、
➀と➂の差、ソーセージ(薄っぺらいハンバーグ)の方が薄いベーコンをはさむより¥50高い。
これらを瞬時に比較して判断から決断へと進む。
「ソーセージエッグマフィンのコンビでホットコーヒー」
「店内でお召し上がりですか?」
── ああ、日本のマクドナルドって、素晴らしい!

初めてアメリカでマックに入った時(「テイクアウト」しようとしていた)、不機嫌を絵に描いたような女性店員に(メニュー表を指さしながら)なんとか注文を伝えた後、彼女は不可解な言葉を吐いた。
私の耳に入ったその言語をカタカナで表現すると、
「フォヒャトゴ」
(後に、「For here (or) To go」であると判明)
4回ほど聴き返したら、彼女は私を視界から追い払うしぐさをして、
「ネクスト!」
と後ろの客に叫んだ。
アメリカでは英語を理解しないモノは人間扱いされない。

仕方なく列に並び直して、同じ注文をした後、
「I would like to take out. 」
のようなことを付け加えた。
すると店員は、
「はあ?」
と人を小馬鹿にしたような顔で、
「Six twenty」
ぶっきらぼうに手を出した。

少子高齢化の進んだ日本で、住宅地の朝マックは店内食の半数ほどが老人である。自分の姿は見えない仕組みなので、もちろん私自身は「老人」に含まれない。

「ソーセージエッグマフィン」を頬張りながら、マックがらみのふたつの映画を想い出した。

**********

ひとつは、監督自身が「1日に3食・30日間、マックだけを食べ続けたらどうなるか?」と実践したドキュメンタリー:

この映画の大ヒットでファストフードが「社会悪」としてやり玉に挙げられたが、実は肥満や成人病蔓延の背景にあるのは、アメリカ社会(貧困層だけではない)における「食育」の欠如と、(銃規制が進まないことにもつながっている)「自由」に対する考え方である。
例えば、(好きでないから、という理由で)野菜を食べない子供、そして大人でも、米国には非常に多い。ピザに載っているトマトやピーマンをゴミ箱に捨てる子供を親は叱らない。
その親も嫌いなものは一切食べず、
「バイタミンは錠剤で取るからいい」
と澄ましていたりする。

もうひとつは、中高年になったバットマン主演の「The founder(ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ)」:

この映画は傑作だった、と今でも思う。
「Founder(創業者)って、一体なに? 誰?」
多くの成功した事業には、大なり小なり、発明家/アイディア創出者といえる創業者と、ビジネスモデル確立者的な創業者がいることだろう。
両者が幸福にも一致している友人とその会社を知っているが、きわめて稀有な例といえよう。

そしてそれは、事業に限らず、個人商店から宗教団体、さらには国家、そしてオリンピックのような国際事業に至るまで、複数&多種類のFounderが存在している。

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