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その中の世界 ──《残像》と《忠告》(家で★深読み)

何の前フリもなく、3日続けてテレビドラマに関する短いコントネタ風記事を書きました。

いずれも、我が家でドラマを見ながらの会話にかなり忠実に書いたエッセイですが、実際は、ボケ(♀)とツッコミ(♂)が実は逆、つまり、実生活でのボケ役はたいてい私です。
いや、「役」でなく、ホントにボケているのかもしれませんが……。

コロナ禍で引き籠り生活が長く、たまの仕事も飲み会もリモートで、現実世界の人間と面着で話す機会がどんどん減ってくると、同居人の次に親しい人間は、なんといっても毎週必ず会う、連続ドラマの登場人物です。
その《登場人物》も、《配役》と《演者》とが混然一体になってきます。
(婚前一体じゃないよ!)

ドラマを見ているうちに、おそらくどこからか何者かが《降臨》してくるのでしょう、不思議な現象が起きてきます。

***

(1)混然一体となった「配役/演者」について《論評》し始めます。

「このヒト、軽い感じに変わったね? 刑事の時は硬かったけど」
「奥さん、確か事件に巻き込まれて亡くなってたんだよな、え、違う? 生きてる?」
「こいつ、サラリーマンになったら、とことん性格悪くなったな。ついこないだまで純朴な高校生だったのに」

その俳優が別のドラマで演じた「配役」が、脳内で

《残像》

となっているのです。

もちろん、半分は「ギャグ」として言っていますが、はじめは突っ込んでくれている相方も、やがて、
「うるさい! 聞こえなかったじゃないの! 黙っててよ!」
怒り出します。

***

もうひとつは、
(2)ドラマの中の人物と《語り合う》ようになってきます。
いや、語り合う、なんてものじゃなく、

《忠告》する

── お節介を言う ── ようになるのです。

「ああ、それ言っちゃおしまいだよ」
「いや、そいつを信用しちゃあ、いかんだろ!」
「そっちに気をとられてちゃ、危ないぞ!」

こちらも当然、
「うるさい! 話しかけるのは、心の中だけにしなさい!」
と叱られます。

「永遠の小学3年生」と言われる所以でもありますが……。

***

私も石器時代の人類ではないので、テレビという「箱」(今や「板」?)の中で繰り広げられるあれこれが現実でないことは、当然認識していますが、
➀ 画像の精度が上がり、
➁ 画面が大きくなり、に加えて、
➂ 比較対象だった「現実世界」との交流が少なくなると、
状況が変わってくるようです。
メタバースの世界はまさにそうでしょうね。
完全に「迷子」になりそうです。

ドラマにのめり込んでいると、次の番組でまったく別のキャラを見て、
「えええっ、どうしたの? 仕事変わったの?」
と思わず問いかけてしまうのは私だけ、── でしょうか?

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