と〜、ふ〜
朝起きると頭の芯が痛くて、仕事ができそうになかった。
メールで欠勤の連絡をし、頭痛薬を飲んで布団に入った。
すっかり熟睡したらしく、目が覚めたのはお昼近くだった。
まだ起きたくないな…と思っていると、遠くでかすかに「パー、プー」という音がする。
耳を凝らしていると、その音はだんだん大きくなって、お豆腐屋さんだとわかった。
窓の外を見ると、白い軽のワンボックスがゆっくりとこちらに来る。
慌てて階段を下り,リビングの窓から手を上げたのだが、車は家の前を通り過ぎてしまった。
財布を手に追いかけると(体調悪いのに、ダッシュはできた)、車はお隣の家の前に止まっていた。
少し前のこと、最近隣の奥さんを見ないけどお元気なのかなと思っていた。
その日の昼間、珍しく家にいた夫が、お豆腐屋さんが来て隣の奥さんが買っていたと話してくれた。
これだったんだ。
お豆腐屋さんは、豆腐や油揚げだけでなく、お惣菜も売っていた。
夕方になるといつもいい匂いがしてくるお隣さんも、「白和えは自分で作らないから」と言いながら選んでいる。
ひじきやこんにゃくなど数種類の中から、私は厚揚げと湯葉のお惣菜を選び、木綿豆腐も買った。
結婚したころは、アパートにも酒屋の御用聞きさんが来て、お酒のついでに勧められて調味料買ってたことを思い出す。
ありとあらゆる商品が並ぶスーパーに対して、限られた品物の中から選ぶ移動販売もなかなか楽しい。
久しぶりの「と〜、ふ〜」。
体調悪い日に助けられた。
ふだん木曜の昼間は家にはいないけれど、また出会えるといいな。
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