北(Yoshi)の詩集

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僕のルンバ④

まるで まるで 永遠のような、忘れらない音楽があります。カタルーニャはとても優しく迎えてくれます。いつも、いつも。ここに素敵な歌詞があります。今でも忘れられない夜です。その夜は僕にとって永遠なのです。 ああ、ようこそ、通り過ぎて、もう誰もいない それとも、はい、あなただけが欠けていることに気づきました あなたも来てください、私たちはあなたを待っています、誰でも入れるスペースがあります 時間も空間も、太陽が昇る夜は関係ありません。 ああ、ようこそ、通り過ぎて、もう誰もいな

    • 僕のルンバ③

      過去記事、僕のルンバ①②があって、ジプシーキングスしか知らなかった自分が、初めてルンバ・カタラーナ(カタルーニャの発祥のルンバ)を知ることになりました。 そして初めて観た動画がこちらでした。 この方はルンバ・カタラーナの王と呼ばれた人で、名前はPeret。この人の動画を観て驚いたのはギターストラップがないのに、ギターを弾きながら回したり離したり、まるで自分の体の一部のようにして歌うその姿でした。そして歌もギターもリズムをパーフェクトなんです。この魔法、一文は一見に如かずです。

      • 僕のルンバ②

        物事は左から右へ、そんな簡単には進みません。 でも僕のルンバ①より以前に、僕はルンバ・カタラーナを聴いていました。それは偶然でした。そして以後に気がつくのですが、Gato Perez(猫)の歌詞に日本と中国という言葉のワードが聴こえていました。そう、 「ルンバ・カタラーナは中国や日本から来たものではありません。」 僕はいつか歌いたい!ルンバ・ハポネッサは、バルセロナから来た!と。そして僕の耳もたまたま正確でした。 カタルーニャ語ではチナ(中国)とハポ(日本)です。 それ

        • 僕のルンバ①

          僕のルンバ。① 僕がバルセロナに行ったキッカケはYouTubeでこの動画を観たからです。それまで僕はジプシーキングスしか知りませんでした。 そして、カタルーニャにこんな楽しいルンバがあることも知りませんでした。さらにそしてこの曲がルンバ・カタラーナの名曲で、その和訳バージョンだということさへ知りませんでした。 でも、めっちゃ日本語、しかも日本の女性も歌ってる! https://youtu.be/7IUsE647OeI?

          青い海で透明な水を掬った 言葉にならない思いは 塩辛かった 思い返せば 生きていることと 死んでいることが 同時に押し寄せるような 津波だった 痛みも悲しみもなく 最後に母を犯した 俺はそれを 許し受け入れた 奴らは罪から逃れるように 努力する 公衆便所の落書きはテロリスト 高らかな潮騒 伸びやかな産声 わーい、俺は海だー! 耳を澄ますと聞こえてくる

          牛乳配達員は牝牛を配る

          夕焼けは 銭湯の煙突の煙を言い当て蝉の15時 夏風邪の木漏れ日を掻き分け こぎ急ぐ自転車へ追いつこうとする 頬は夏の花に染まり 迷子の牛を数えた ほんとうは家出したんだ 心がわりしたらしい しとやかさは職業ではない 人から聞いた話だけど クビになったらしい とうぶんは失業保険でやっていくそうだ お母さんが酷い目に遭わされたのかい? いや 牛のはなしだ 見知らぬ時間に出逢えればよかった なんどかタクシーを拾おうとしていたね あなたの中に あなた自身が存在するように 彼女だって

          牛乳配達員は牝牛を配る

          我が熱

          春も光風、草にしっとりとした、 匂いが近づいてくる 銀色に砕けた夜空に浮かぶ、 ほっそりとした三日月は、 指先の中で、貴女の重力に撓んでいる 廃線の駅は、口の中に解け、 その甘味を、ニ匹の氷は知らない 時刻表は、ウィスキーに乗り、 魚のふりをする代わりに、 言葉に連絡しないグラスに、嫉妬をぶつけた 真珠色の、アスファルトは、 ベンチに凭れ掛かり、 花の中は、償いを諦め、 濡れては乾き、生まれては死に、 その甘味を、胃は知らない

          罪業に如くはなし

          悲しみは夢に落ちてゆくようである。笑みに羽ばたく蜻蛉の空が、薄明りに集まっている。紅葉の幼木に一匹が、ぴたっと止まった。撓みながら、互いの命を揺らし合えば、風は古より興り、景色に色を与え、心の淵に宿る。意味が音を伝い、束の間を昇ってくると、波は海へと繰り返している。月は季節を慰め、無常の儚さを灯している。郷に帰るものの旅末に緑を擡げる道草の色も、遥かなるものである。 知らないうちに人々は、多くの言葉を人生に捧げている。私たちの読点は、より良い句点へ、今日も加速している。夕暮れ

          罪業に如くはなし

          兎の聴躍

          瘤の有る生物に跨る敦煌の空はカシュガルへ降り立つ古風な仕来りに昇る使い古された月に鮮度を与える魅惑的な道は光を放つ交差点に殺到する足跡に擦れ違う文化は実り多く寛容なオアシスを夢で覆うタリム川の濁りや澄んだ水を押し流す星群を清浄の地の国の山肌へ跳躍する明け方の幻想に銷する肉の希望が言葉遊びに満ち欠ける観念の死に費用を掛けない愛の庭師は魂を先頭にエベレスト山頂を飛翔するアネハヅルの翼に明滅する瑕疵を放棄しながら炎と酸欠と心咎めだけを道連れに硬質な骸の間近に訪れる偉大な子供や遠く離

          こわれてゆくんだよ

          筏 我がいとしの、プリンセスのために、歩けなくなってしまいました。行きたいところも、なくなりましたので、いかだを作り、漕ぎだすことにしました。たくさんの木を、切り出さなければなりません。デジタルな場所から、たくさん木を調達します。いかだの準備ができたら、海へ向かって漕ぎだします。世界はとても孤独で悲しいので、いちばん好きな場所に行くという考えは、既にあります。わたしはいかだで難破します。わたしはいかだに溺れます。 橋 古い橋のたもとで、季節はふたたび出逢います。風の喜び

          こわれてゆくんだよ

          あかるみ

          日差しのなかで時間が解けてゆくね 桜が咲くと雨が降り風が吹く 日々を哲学しようなんて考えていないさ ただ、誰かの夢の中で僕が生きているのなら 眠りの持ち主に届けてみたい ほろ苦い恋の言葉 酔うために綴った詩 さようならを繰り返す君へ 手作りのおはようを 青空に抱きしめられて蝶が舞っている 自由を押しつけるつもりはないんだ 懐に広がる野原で君は花を摘み冠を編み、妖木の枝にかぶせると 王はひとりでに生まれてくる 僕の手に触れる逃げ水もなく 君は意味のお妃さまになる 白く霞むドレス

          コロナウィルス

          みんなで感染すればいい みんなが感染しちまえば 治った人を励まそー コロナー コロナー 感染しても怖くね ヒトリボッチにゃさせないぜ 俺がお前を守ってやるぜー コロナー コロナー 心と体を大切に お年寄りも若者も 愛し合おうぜー わー 今やマスクは~ コロナよりも 視線から 俺を守るぜ だけども それは何を 守っているのか わかんないぜ でもきっと~ 俺の中にある 汚い気持ちを マスクは~ 俺の体に 閉じ込めているのさ~

          コロナウィルス

          放熱

          月は約束も無しに昇り 虚ろな大地に実りを与える 体温に眠りはなく 運命に拓かれた心に 陰りはない 両手に祈りを包みこみ 願いの意味を遠ざける 巫女の舞に召喚された未来 過去から祖父を呼び寄せる うやぁ、混乱するジャングルの 邪魔と癒の統計学 メガネ猿がフルーツと同じ数の 条約を交わしています 鍵と鍵穴の関係に結付いた 繊細な果肉を絞り 厳密な甘味によって月を点す フィラメント 義母達の活着の緑夜

          Minoría

          墓石にキスをして涙を流し 天国の前でしりもちをつく わたしたちは永遠に家族 どこへ出かけるときも一緒 あなたは月わたしたちは星 悲しみが深ければ 漆黒の闇に浮かぶ船 わたしたちの帆は眩しい 風は雲をかきわけ 太陽の下で影に堕ち 光に紛れ 財布をスリ盗る わたしたちには時間がない わたしたちには約束がない わたしたちには国境がない 今に毎日を押し込め 今日も旅をする 幸せの指し示すほうへ 明るいほうへ そろそろ僕の言葉が 失速すると予感している君 既成概念に引かれた 君の人生は

          月の民

          月は学びに登ってくる 路地裏のバーから また空に歌が生まれた 南の砂埃を歌う人々 故郷の血に想いを馳せる人々 天国に声を上げて 叫びながら メランコリックな天使になる 新しく勇ましい セメントと石灰の部屋が 赤い月が 肌の色に満ちてゆく 夕暮れ時の窓辺 孤独が掛かる服の袖から 喜びが町中へ堕ちてゆく 古い家を照らすランタン 壁を探している人々 希望と病の中で 永い景色の迷子になった ホットパインの甘い香りは 波のうわさだった 私は彼らによって 静けさをすべて失う

          母参道

          僕はお母さんを知らないから お母さんに逢うための比喩は要らない 白鳥のように長い首をもたげたり 馬のたてがみのようにゆれている 想いはお母さんを支える楼閣だった 子鹿のように軽快に 跳ねあがる僕の心臓へ 研ぎ澄ました爪先を立てた 希望と絶望の かわるがわる波音が 海の底へ沈んでゆく 記憶になれば化石になれる からだじゅうのお母さんが言っている 僕を捨てたあの償いを 岸壁に砕ける羊水が削りとる 暗闇を照らしながら まっすぐ突き進む満月の参道に 今夜も人の往来がある もう僕のお母