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(ショートストーリー)天使の集いに誘われて

こんな夢だった。
友人宅でのホームパーティで、私は素敵な女性に一目惚れした。恋をしたというのではなくて、他の人にはない美しい雰囲気に魅せられたのだ。この一度きりの出会いで終わらせたくないと思い、勇気を出して声をかけた。また会いたい、もっとゆっくり話がしたいと思い、「今度二人で会いましょう」とランチに誘うと彼女は快く応じてくれた。

一週間後、彼女にふさわしい素敵なおしゃれなレストランでランチ。いつもはどこへ行くにもジーパンだけど、久しぶりにきれいなブラウスとスカート、アクセサリーを身に着けて出かけた。
彼女は美しく、聡明で、優しくて、話をしていると楽しくて、あっという間に時間がたった。
別れ際、彼女は自分のことを「天使だ」と言った。そして
「今度、私の家でホームパーティするからいらっしゃいよ。20人くらい集まる予定で、天使のお友達が2人来るの」と

1か月後、私はそのホームパーティに参加した。「天使のお友達」はすぐにわかった。他の人より輝いて見える、美しい、華やか。甘くいい香りの中にいるかのようで、お近づきになりたい、そう思わせる雰囲気があった。

私はその「天使のお友達」2人に話しかけた。2人とのおしゃべりはとても楽しくてまたゆっくり会いたいと思った。すると2人は言った
「今度、天使のお仲間の集まりがあるのだけど、あなたもいらっしゃいよ。ひとつ決まりがあるんだけど、白い洋服を着ておしゃれしていらしてね」と。
天使の集まりには誰でも呼ばれるわけではなく、天使数人がこの人ならと認めた人だけが誘ってもらえるらしい。

私は誘われてうれしい反面、天使の集いを想像して躊躇した。キラキラ輝くような華やか場に、私はふさわしくないような、くすんでしまうような気がしたから。

その後も天使の集いに誘ってくれたけど私は断った。予定があいていても。
天使のひとりが言った
「次の機会には是非いらっしゃいね。天使の集いに参加すると、愛に包まれて美しく輝く存在になれるのよ」と。
その言葉は魅力的だったが、どうしても場違いな感じがして気が引けた。

ある日、私は思った。私も天使になれるのに、絶対無理だと思いこみ、自分で道を閉ざしていたのかもしれない、と。
スカートの裾がヒラヒラと舞うように軽やかに、私の回りをいい香りが漂うように優雅に、おしゃれに着飾って楽しく、自分の美しさを認めて自信をもって。
天使たちが誘ってくれたのだから、自分の素質を信じよう。天使の集いに堂々と参加できる日がそのうち来ると思う。

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