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【詩】いきましょう(草間小鳥子)

しっかり人間
やっているほど ひずむ
町の歩幅 水中の呼吸 田園の脈拍
それぞれの身体性を
ひとつの脆いハード(肉体)が受け止める
時間や距離 言語 共通単位にぎゅうぎゅう無理させて

質量があるからどうしたって時は流れて
自分の影にぐるぐるシッポを追われている
「肉体を起点にすると だまされるよ」
青いうちに枝から落ちてもやがて熟す木の実のように
生命の大本を絶たれても
つとめを果たす思念はあるか?

呼吸の仕方 わからなくなったら
森へ行ったっていい
森は概念なので触れられないかわりに
拒まれることもない
森は生き死にに責任を持たない巨きな外縁
ほら キノコの進軍だ
円になって 輪になって ついに線となって
波及する鉱脈だ

キリキリねじ巻く四足歩行
いざとなれば膝だって使う
認知をこえた自然の一部だと観念して
おろおろと中をのぞき込め
骨から解き放たれた思念がよい土へ還ったら
カラダがあるうちにできなかったこと
たくさんしよう

(草間小鳥子)


以前から、具体的な運動についてより深く考えるという課題を持っていたのですが、夭折した画家・中園孔二の「場所との約束を果たす」という考え方に影響を受け、この頃、自分の皮膚感覚をより研ぎ澄ましたいと感じ、いろんなものを触っています。

↓制作メモです(いつものことではありますが字が汚いです)

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