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聴こえる人と聴こえない人が一緒に働く職場での気づき 〜その4〜

本当に便利なんだよ!と話してから2年。周りにApple Watchユーザーが増えました。何気に親近感が湧きます(とはいえApple Watch高いよね)。

Apple Watch発売された時はあまり必要性を感じていなかったのですが、今は装着してないと仕事ができないくらい必要な存在になっています(とはいえデートや大事な時とかはApple Watchさん、ごめんなさい、おやすみなさい)。

このApple Watch、電話がかかってくるとブルブルッ!と震えます。耳聴こえないので正確にはどんな音がするのか知りませんが、たまに電話がかかってきます。

電話は基本的に出ないし(というか、耳が聴こえないから出れない)、テレビ電話もあまり好きではない…それでも仕事上、必要な時はテレビ電話をかけたり受けたりします。

そういえば最近、電話リレーサービスが話題になっていました。

アメリカに行った時「ろう者が電話してる!」と感動したのですが、あれから20年後、日本国内で電話リレーサービスが公共インフラとしてスタートすることになったのですね。

とはいえ、新潟県内では「電話で予約しておいたので大丈夫!」という感じで気軽に周りがリレーサービスを使っているのはまだ少ないです。コロナ禍もあり、電話が必要な場面があまりないというのもあるかもしれません。

そんな中で、時々、手話を知らない聴者から「何かあれば電話ください」と言われることがあります。

さっき、私、耳聴こえないので筆談してくださいってお願いしたばかりなのに「電話くださいね」って、それはないでしょう。と突っ込みたい場面に遭遇します。
相手側は無意識に、悪意はなく、普通に「(用件は終わったので)それでは、何かあれば電話ちょうだいね」というニュアンスなのだけれど。

でも不思議なことに、いつも一緒に働いているスタッフの一人が「うすいさん、電話きましたよ。代わりますね」と受話器を持ってきてしまうことがありました。

私のキョトンとした表情を見て「あ!聴こえないんだった」と気づくので、受話器を受け取らずに済むのですが、不思議な感じです。いつも顔を合わせているにもかかわらず聴こえているように見えるのかなと。すごく前向きに考えれば、聴こえるとか聴こえないかの垣根を超えての関係性ができているってことで。

平成生まれの世代は、携帯電話やスマホがインフラになっているのもあり、電話に対する苦手意識を持っているそうです(全員が全員ではない)。電話ってすごく便利じゃない?と聞くと「便利なのは便利だけれど、あまりよく知らない人に電話かけるのも何だか…それに電話だと時間を取られちゃう感じがあって好きじゃない」という答えが。ひと昔は、友達や好きな人の家に電話するとき、家族が出るから否応無しに話し方に気をつけたり言葉を選んだりしていたそう。

一方、ろう者にとって電話は未知の世界。受話器の向こうにいる人と一体どうやって会話ができるのじゃ?という、とっても不思議な、きつねにつままれるような感覚があります。未知の世界なので、手に負えない。聴者のスタッフが電話しながら「あの、確認したいことがあるんだけど…」とろう者を呼び止めることがあります。呼び止められたろう者はキョトンしてしまいます。受話器の向こうが誰なのか判断する材料が全くないのでどうしたらいいかわからない、そもそも電話がどういう時に使われるのかを実体験したことがないから答え方に迷ってしまう。それくらい、未知で不思議な世界に映っています。

電話の世界について、お互いに話してみると意外な発見があるかも。今週も頑張りましょう。

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