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映画:怪物


怪物を観てきた。

脚本、映像、演技、衣装、音楽、小道具、何をとっても素晴らしかった、凄かったとしか言いようの無いこの映画。

どうしても観たてほやほやの今の気持ちを残しておきたくて、noteに書き留める。

まず、大人にフォーカスしてしまうとしんどくて病んでしまうので省略。
私も自分が知らぬ間に怪物になってしまってるかもだし、人間って怖いよね。

坂元さん、是枝さんの描く人間の闇がいつもいつも痛いところをつくというか、秀逸過ぎて怖くなる。


そして子役にフォーカスを当てると、もう凄かったの一言。

彼らがどこまで理解して演じたのかは分からないけど、あの頃の不安定さがあまりにもリアルで凄かった。
湊と依里はきっとこの世に存在してると思わせられた。

昨今の性的マイノリティブームというか、LGBTQブームというか、そういうの認めようぜ的な世間の流れに嫌悪感を抱いていたけど、怪物はそれに抗うというか、わざわざ認めさせようとしてないというか、なんと言えばいいか分からないけど好感を持てた。

最近、そういう人増えたよね、と聞いた事がある。

それは違うと思う。
「増えた」のでは無くて、今までオープンに出来なかった人も公言できる世間の流れが出来たから、相対的に増えたように感じるだけ。
この点に関してはブームの賜物だと思うけど。

でも「そういう人」っていう時点でやっぱり偏見というか、恋愛感情や性的欲求は持ってて当然、そしてそれらは異性に抱くもの、体と心の性は一致してるのが当たり前、という概念が俗に言う「普通」なんだろうなと。

性的マイノリティについての直接的な描写はないけど、間接的に訴えてくるものがあって中々にしんどかった。

そもそも私は性的マイノリティという言葉があまり好きでは無い。でもこの表現以外に上手い表現が無いから使わざるを得ない。

男の子なんだから、女の子なんだから。
こういう言葉も凄く苦手。

人間なんだからどういう心を持っていても良くない?他人には関係なくない?と思ってる。

そりゃあこの世に同じ人間なんて居ないんだからさ…

皆違って皆いいって、私は小学校の時に習ったよ。


子役の子がどこまで理解してたか分からないと書いたけれど、観てる途中でもしかしたらこの映画、子役に対する心理的虐待にあたるのでは?

と内心ハラハラしてしまった。
だけどクレジットにもインタビュー記事にも、子どもの心と身体の健康を守る最大限の努力をした事が明記されてて、少しほっとした。


もし私が小学生の頃にこの映画を観たとしたら「よく分からなかった」という感想を抱くと思う。

でも可能なら、性教育、LGBTQへの理解うんぬんの前に思春期直前の小学生〜思春期真っ只中の高校生にこの映画を観て欲しい。

LGBTQブームの中を生きている今の子達はどういう感想を持つだろう。

久しぶりに深く考えさせられる映画を観た。

何故か最後には涙が流れたけど、やっぱり子どもは宝なのよ。

大人は彼らを正しく導くべきなのに、それが出来ない我々。


怪物だーれだ。

頭の中で子ども達の声が反芻してるけど、もしかしたら私も、あの人も、皆怪物なのかもしれない。

いやー、凄い映画だった。



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