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【おはなし】鏡の中のPrince #02

前回のおはなし

店に戻ると
同僚のスタイリストがすり寄ってきてささやく
〔彼女、絶対お前の事好きだよな…〕
『えぇ?』
〔お前、気づかないの?相変わらず鈍感だな
女の子にあんな顔させといて〕
はぁと大げさにため息をついて
同僚は店の奥に引っ込んで行った
もちろん彼女はとっても魅力的な女性だ
話も合うし
でもそんな目で見たことなかった
あいつの勘違いだろ

アオイside

予定より早く 「次」はやってきた
急に決まった同窓会
会の前にアオイ君のセットの予約を取り付ける

『いらっしゃいませ』
今日の笑顔も最高
『あ、おめかしして…凄く素敵だね』 
同窓会だから、若作りでパステルピンクのワンピースを選んだ
でもアオイ君が頭の先からつま先まで「素敵」なんて言いながら眺めるもんだから、逃げるように鏡の前に座る

『何か希望ある?』

「……んー……アオイ君の好きな感じにして」

『え?あ…あーおまかせって事ね』

「好き」ってワードに正直ドキッとした
あいつにあんな事言われてから、ふとした時に
彼女の事が頭をよぎるようになって
…なんかオレ変だよな…ダメダメ 仕事に集中だ

アオイ君side

「楽しみだなぁ アオイ君の好みがばれちゃうね はははっっっ」
冗談交じりには言ったものの、私にとっては重大
アオイ君の好みが立体的に出来上がるのだ

『はい 出来上がり お疲れ様でした』

やっぱりプロだ
ささっと、少し残念になるくらい手早くアレンジを済ませた
割とシンプルで、その中にも女性らしさがあふれるヘアスタイルだ

「ふーん…こういう感じが好きなんだぁ」
ちょっと冷やかすように言ってみる

『あ…改めて言われるとなんか恥ずかしいなぁ うん あんまりフワフワしすぎず、シックだけど女性らしいかわいらしさがあるのが好きかな』

「そっか…私もそんな女性になりたいな」
思わず口からすべり落ちた言葉だった

『ウサギさんはもうそんな女性だよ』
 へ?…今なんて?
ちょっとあっけにとられて背の高い彼を下から見上げると、心なしか顔を赤らめているように見えた

気のせいかな?なにはともあれ、今日はアオイ君好みの女で出陣よ!
「ありがとう じゃー行ってきます」
私は駅へと向かう

なんか…ヤバかった…
オレ顔が熱くなったんだけど…
で、なんか口走ったよな…
店の奥にニヤリと笑う同僚が見えた

アオイ君side


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