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過去の恋愛大決算③ のっち編〜チェリーと井上陽水〜

皆さん、素敵なバレンタインデーをお過ごしでしょうか。

4日連続更新中!脱3日坊主。

バレンタインウィークは過去の恋愛大決算をしていきたいと思う。今の自分がこれから素敵な恋愛をしていくために。

今日のお話は、ちょうどハタチの頃のやや赤裸々なお話。

年上ばかりに目がいかなった私が唯一年下の子と付き合った時のこと。

彼はスピッツが大好きだった。そう、チェリー。

よく図書館で遅くまで勉強していた休憩時間に外に立て散歩をした時に歌ってくれた。

そう、そして当時彼は、女性経験がなかった。

私が初めての女というわけだ。責任重大である。

誰しもが必ず通る、初めての経験。

結構初期の頃の経験が、そうした場合の、価値観の土台を作るような気がした。

そういう行為が素晴らしいことと思うか、嫌なことだと思うか。大きな分かれ道である。

のっちは大学の後輩だった。当時アメリカに留学中だった私は、一度日本の大学入学してから、2年間アメリカへ留学していた。毎年同じ大学から後輩たちがやってくるのだ。

1年アメリカ生活を終えた頃に彼はやってきた。

本当に頭が良くて、絵に描いたような爽やか好青年だった。

同級生の友達がのっちの友達のことが気に入ったらしく、休みの日や授業の後は、4人で一緒に遊ぶようになった。

そのうち2人であったりすることも増えたが、仲のいい先輩、後輩という一線は超えない関係が続いた。

そんな時、同級生の友達とのっちの友達が付き合い始めた。なんとなくその流れもあり、

ある日エレベーターで自習室に向かう時に、告白をした。なんとなく、お互いにいいなと思うような感じはあったので、改めて言葉にして確かめたという感じだった。

こうして付き合うことになった。

毎日一緒にいて、楽しかった。なんとなくオープンなアメリカの雰囲気もあり、何度かそういう男女の雰囲気になったのだが、なかなかコトが進まなかった。

私はI am ready で準備万端だったが、彼の方が何かためらっている様子だった。いや、それとも私とはそういうことをしたくないのか。関係が深まるにつれ、不安の方が強くなってきた。

動物的本能むき出しの姿をさらけ出してこそ、男女の関係だと思っていた。

好きな人と触れ合いたい、もっと皮膚1枚越しまで近づきたいという欲求は自然なことのような気がした。

いや、私の方がおかしいのだろうか。もっと高尚なプラトニック的なものを彼は求めているのだろうか。

なんとなく女性して魅力がないのか、受け入れてもらえないのは、少し切ないものである。

この年頃だと、男性の方が積極的なのではないか。なんて思い込みもあった。

そんなある日、彼が言ったのだ。

実は、そう言った経験がないということを恥ずかしそうに告白してくれた。だから心の準備ができるまで、待っていてほしいと。

「なるほど、そういうことだったのか。」

そういうことで、3ヶ月の間、彼が I am readyという状態になるまで、待つことになった。

なんともじれったい時間だった。

でも、本当の意味で相手を大切に思うということは、相手の意志を尊重していくことだと思った。それ以降は、一切私の方からは、触れないことにした。

そんな時、NYに旅行に行こうという話が出た。NY行きのチャイナタウンまでの夜行バスで行くのだ。当時片道3000か4000円ぐらいで行けたのだ。0泊2日の日帰りでも行けなくはないが、当然旅行となれば、泊まりが伴う。

そして彼は、言った。

「NYに行った時に」

NYは物価が本当に高かった。小さな部屋だったが、少し奮発して、窓から川が見えるリバーサイドな素敵な場所に決めた。

少しずつ歩み寄って時間を重ねて信頼を気づいた上でのその行為は、なんだかとても神聖な儀式のようだった。

ある人は、そのことを陰(女性)と陽(男性)のエネルギーの交わりだと言った。

ある人は、言葉を使わないコミュニケーションだと言った。

そうして、マンハッタンのアッパーウエストサイドのホテルリバーサイドで、「誰も知らない夜明け」が明けたのだった。

目覚めの朦朧としている中で、明け方の光を見ながら、井上陽水のホテルリバーサイドの歌を思い出していた。

目の前で眠る爽やか青年を見ながらとても精神的に満たされた気持ちになった。その一方であの艶っぽい井上陽水の声が頭を巡った。

まるで、神聖さと欲望のコントラスト。

愛は矛盾する両方を含んでいる、なんとも不思議なものなのだ。

どちらか1つだけでも成り立たないし、満たされなかった。

両方が揃って初めて2人の関係の完成形が見えた気がした。

チェリーを口ずさむ彼と井上陽水みたいなホテルリバーサイドという不思議な組み合わせだが、私にとってなぜかとても「愛」を象徴しているような気がした。

その後のっちとは、最終的に半年ぐらいで別れてしまった。当時私は夢を叶えるために、勉強するために遠い異国の地に来たのだ。恋愛体質の私は、うまく恋愛とのバランスが取れなくなり、私から別れを告げた。相手にも辛い思いをさせてしまった。

「仕事(学生だから夢?)通と俺どっちが大事なんだ?」

私は夢を選んだ。よくドラマや漫画で女性が男性に言いそうなセリフを、私は男性に言わせてしまった。

なんだか最初から、実際の性別と、性格の指向性として、男性性と女性性が逆だったかもしれない。矛盾しているようで、でもなんだか成り立っていたのだ。

愛とはきっとそういうもの。相反する矛盾をはらんでいるもの。

だからこそ、頭だけでは理解できないのに、愛おしくて、狂おしいのかもしれない。

この人は絶対出世するという確信があった。社会人になって人づてにきいたところ、外務省に入って活躍しており、幸せに暮らしているようだった。

こうやってホテルリバーサイドでの1コマを彼はたまに思い出しくれることはあるのだろうか。それとも、辛い切ない思い出として記憶されているのだろうか。

それとも全くもう忘れられてしまったのだろうか。

Googleで検索したらそのホテルはまだ存在しているようだ。またもしNYに行く機会があったなら、訪ねてみたいと思う。

その時私の隣には、誰がいるのだろうか。

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