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2023年4月第5週の振返り(決算振り返り)

4月24日(月)から4月28日(金)までに買い増しした銘柄と株数は以下の通りです。

【主力候補】
・三菱商事×1株
・三菱UFJ×20株
・東京海上×3株
【準主力候補】
・信越化学工業×1株
【その他】
・全国保証×1株
・日本電気硝子×1株


今週は東京ガス・ヒューリック・JPX・信越化学工業・アステラス製薬・住友林業・日本電気硝子・コマツの決算発表がありましたので、以下簡単に振返っておきます。


〇東京ガス(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の経常利益は前期比約3倍の4088億円
②24年3月期は前期比66.5%減の1370億円見通し
③5300万株(発行済の12.2%)・1130億円を上限とする自社株買い発表
④配当は24年3月期も1株あたり65円で変更なし

23年3月期の最終利益見通し及び総還元性向5割(※24年3月期から総還元性向4割)という還元方針から追加還元は確実な状況でしたが、発行済の12.2%を上限とする大規模な自社株買いを発表しました。同社の自社株買いとしては過去最大規模です。

決算説明会で同社の佐藤CFOは「(中長期で)減配を避けるという配当方針と総還元性向の目標に沿った結果、過去最大の自社株買いにつながった」と説明しています。

個人的には増配も期待していましたが、配当は65円で維持。上記の佐藤CFOの言葉からも減配しないという強い意志を感じます。ちなみに、過去の配当実績を振り返ると、同社は3年に1度増配する規則性増配銘柄。次の増配タイミングは25年3月期。期待しましょう。

なお、23年3月期の好業績は、調達する液化天然ガス(LNG)の大部分を価格が安定している長期契約で仕入れており、ガス料金が上昇するなか利幅が拡大したことが主な要因です。これだけで営業利益を約2100億円押し上げています。ただし、一過性のものと言ってよいでしょう。

一方で来期24年3月期については、LNG市況が悪化に転じ、長期契約で仕入れるLNGとの価格差による利益が大きく縮小する見通し。電力販売の減少やガスの販売単価下落も想定し大きく減益予想となっています。


〇ヒューリック(1Q決算)

【決算概要】
①1Q経常利益は前年同期比11.7%増の317億円に伸長
②通期計画の1320億円に対する進捗率は24.1%

同社の中核事業である不動産事業が堅調。オフィス等の不動産賃貸収入は安定的に推移。また、販売用不動産の売上も順調に推移しています。


〇JPX(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比7.2%減の463億円
②24年3月期の最終利益は前期比5.7%増の490億円見通し
③24年3月期の配当は63円→57円に減配(23年3月期の配当63円のうち10円は記念配当)

同社の配当方針は配当性向60%程度。24年3月期のEPS見通しが93.93円ですので、そこに60%をかけて24年3月期は1株配当57円となっています。

ただ、同社は期初に予想を保守的に出し、期末にかけて増配してくる傾向にありますので、ちょっぴり増額修正期待を持っておきます。実際、23年3月期はそのパターンでしたし、21年3月期~23年3月期は配当性向を70%まで高めて還元してくれています。


〇信越化学工業(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の経常利益は前の期比46.9%増の1兆202億円
②2期連続で過去最高益更新
③24年3月期の業績および配当予想については未定

23年3月期は素晴らしい業績と株主還元(大増配)。同社は4つの事業を展開しており4事業とも増収増益でしたが、特に主力の塩化ビニール樹脂を手掛ける生活環境基盤材料事業が好調でした。

一方、27日の決算説明会で、斉藤恭彦社長は塩ビ市況について「総じてなぎ模様。米国の春需が遅れており注視している」と話しており先行き不透明感も漂います。実際、1~3月期営業利益は1899億円と前年同期比で3%減っており減益は9四半期ぶりです。今期は前期ほどの為替恩恵を見込めない可能性もあります。ですので、暫くは株価がもたつくor下落基調となるかもしれません。

なお、同社はいつも本決算時の来期見通しは未定としています。おそらく1Q決算時に業績見通しおよび配当予想を出してくるでしょう。


〇アステラス製薬(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比20.4%減の987億円
②24年3月期は前期比2.3倍の2270億円
③5期ぶりに過去最高益更新見通し
④24年3月期の年間配当は60円→70円に増配する方針

配当投資家にとって最も喜ばしい増配を発表してくれました。60円→70円の増配ですので約16.6%の増配となります。増配率も素晴らしい。また、同社は23年3月期において、2,618万株(金額として500億円)の市場買付けによる自己株式取得も実施しており(自社株買いはこれまでも断続的に実施)、株主還元意識の高さは流石ですね。

業績については、23年3月期は各種減損損失としてその他の費用が重くのしかかりフルベースでは減益となりましたが、コアベースでは増収増益を達成しています。

来期24年3月期については、主要製品の一つであるパドセブが、米国におけるシスプラチン不適応の尿路上皮がん患者における一次治療の追加適応症取得による貢献を中心に、グローバルで大きく成長する見通し。また、XTANDI/イクスタンジやゾスパタも引き続きグローバルで増加する見通し。以上から、コアベース・フルベースともに増収増益予想となっています。


〇住友林業(1Q決算)

【決算概要】
①1Q経常利益は前年同期比28.7%減の255億円
②通期計画の1200億円に対する進捗率は21.3%
③業績予想・配当予想に変更なし

円安の進行により増収となった一方で、前年同期は米国戸建住宅事業が特に好調に推移していたこともあり、利益は減益となっています。

元々今期は前期と比較して業績が落ちそうだというのは分かっていたこと。とはいえ、決算説明資料によれば、①米国住宅市場は、回復の兆しがみられている②米国受注戸数は、期初想定を上回るペースで推移③足元の住宅ローン金利水準(23年1月-3月、6.1%~6.7%で推移)がニューノーマルとして受け入れられつつあり、様子見をしていた顧客の購入マインドの改善が窺える等々明るい材料も見受けられます。今後じっくりと進捗を見守りたいと思います。


〇日本電気硝子(1Q決算)

【決算概要】
①1Qの経常損益は16億4800万円の赤字に転落
②併せて上期(1~6月期)の同損益を従来予想の30億円の黒字→30億円の赤字に下方修正
③通期の業績予想、配当予想に変更なし

1Qの経常損益は赤字、上期(1~6月期)の同損益を赤字に下方修正と残念な決算発表となりました。以下、少し細かく見てみます。

【1Qの損益推移】
①FPD用ガラスを中心とし た稼働率低下による原価高が大きく影響
→営業損失を計上
②為替差益等の営業外収益がありましたが、営業損失を補うには至らず
→経常損失を計上
③受取保険金や投資有価証券売却益を特別利益に計上
→親会社株主に帰属する四半期純利益を(かろうじて)確保

装置産業の宿命と言うべきでしょうか。需要増減に苦悩していることがよく分かります。ガラスの製造窯は一つ数百億円の建設費がかかるうえ、常時1600度を維持する必要があり、コストが非常に重いのです。販売不振(需要減)ならどうしても採算が悪化してしまいます。

そして、2Qにおいても引き続き稼働率低下等による原価高が利益を押し下げる見通しとなっており、今回下方修正に至りました。

一方で、会社予想では需要は年後半にかけて回復していく見通しとなっています。

同社は20年以上非減配かつ好財務。配当政策はDOE。過去赤字に転落した時も減配していません。業績悪化が中長期にわたらないという留保付きではありますが、減配可能性は低いと考えています。現在69株保有。決算を受けて急落することがあれば喜んで少しずつ買い増ししていきます。


〇コマツ(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比45.1%増の3263億円
②24年3月期の最終利益は前期比8.4%減の2990億円
③23年3月期の配当は従来計画の128円→139円に増額修正
④24年3月期の配当は139円維持方針

元々2Q時点で従来計画の96円→128円と大幅増配を発表していたコマツ。本決算で128円→139円と更なる増配を発表してくれました。配当投資家にとって最も喜ばしい瞬間ですね。コマツは業績悪化時には減配を覚悟しなければならない会社ですが、好業績の際にはこうしてしっかりと株主に還元してくれる優良企業です。

23年3月期の売上高は26%増の3兆5434億円、営業利益は55%増の4906億円となり、いずれも過去最高値でした。好業績をけん引したのは値上げ。北米のインフラ投資、中南米や東南アジアの資源開発など旺盛な需要を追い風に値上げを推進し、1200億円を超える増益要因となっています。

ただ、大切なのは来期見通し。

【24年3月期見通し】
①売上高 3兆3200億円(4.6%減収)
②営業利益 4910億円(0.1%増益)
③最終利益 2990億円(8.4%減益)

減収減益予想となっています。以下、セグメント別に少し細かく見てみます。

【セグメント別見通し】
✅建設機械・車両部門
①金利上昇の影響もあり一般建機の需要は減速見通し、為替は円高に想定
→減収予想
②円高や販売量の減少及び固定費の上昇の影響を、販売価格改善で吸収
増益予想
✅リテールファイナンス部門
主に円高の影響から減収減益予想
✅産業機械他部門
半導体産業向けエキシマレーザー関連事業の売上げは引き続き堅調に推移 、自動車産業向け大型プレス機などを中心に売上げが増加
→増収増益となる見通し
※想定為替レート1ドル=125円

以上から、24年3月期の売上高は減収、営業利益はトントン、最終利益は金利上昇による支払利息の増加などにより減益見通しとなっています。

来期は減収減益とはなっていますが、こうしてみるとさほど悪い決算ではないというのが率直な感想です。

なお、堀越健CFOは28日の決算記者会見で、2024年3月期に関し「販売価格の引き上げを継続する」考えを示しています。円高に振れても値上げで吸収、万一円安が維持されれば上方修正もあるかも、そんな期待が持てますね。



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