大好きだった遊び人と久々に一緒に朝散歩した

彼氏と別れるとボロボロになる、典型的なタイプ。
「男を忘れるには男」と信じて疑わず。
出会い系のアプリを複数ダウンロードしては自身のプロフィールに映る「500+」の文字を何度も確認して自己肯定感を上げることで、なんとか生き延びる。

毎週土日は違う男の人と会い、ちやほやを楽しむ。ただ20なりたての頃と少し違うのは、いいなと思わなければ体を許さずタクシーで即帰るところ。
家に帰って「初回でホテルに誘われるなんて、やっぱり私はそれくらいの女なんだ…」と自己嫌悪に陥る。
体を許さずなんて、当たり前かもしれないけど、19や20の頃は片っ端からお持ち帰られてた。それがマナーだと思ってたんだよね。断る勇気もなく。

一昨年、ハマりにハマった人がいた。
顔が大好きで、話し方も笑い方もどタイプ。
毎日ビデオ電話して、初めて会った時はコーヒーを飲んで、少し買い物に付き合ってもらったくらい。誠実に感じ、嬉しく思った。

2度目に会ったときは、さすがに一晩過ごしたけど「この人は私のこと好きでもなんでもないんだな」と感じ取り、苦しく思った。
朝を一緒に迎えて、コーヒーを飲んで、前夜のデザートの残りのエクレアを一緒に食べて、朝のニュースを観ながら笑いながら話して、とっても幸せだった。それでもわかる【脈なし】。

その後、だんだん男性から下に見られるのがうんざりになってきていた頃にもう一回くらい会ったかな。その人はとっても感じやすくて、始めてしまえばあっという間に終わり。事後に家に何時間も居られるのも嫌になってきた。
体目的で会える女になるのが、とっても嫌で、会う予定を1年半、毎月断ったけど、この間久々に会ってみようかなと思い立った。

というのも、最近めっきり性欲がなくなって、ご無沙汰で、行きつけのバーのマスターに月1くらいは女として必要だよ。と言われ、少し刺激が欲しかったタイミングというのもあった。

久々の再会は、確かにちょっぴり刺激的だった。
でも昔の恋心や、久しぶりのシチュエーションなんてほんの数ポイント+でしかなくて、やっぱりもうこの人への気持ちは完全に冷めてしまったんだな、と。
しっかり切る良いきっかけになりました。わたしの体はその人の体をあまり覚えていなかったらしく、それが救いだった。

朝は敢えてコーヒーを淹れなかった。ひとりでは毎朝飲んでいるけど、その日はやめた。
あの時の幸せな朝のひとときの思い出を白塗りしてみたかった。黒じゃなく、白。

いつかまた思い出して恋しくなってしまわないように。できる限り何もしない朝にした。

最後だなぁ、ありがとねえ。かっこいい人。と思いながら朝一緒に散歩した。
手しゃっこいねとか言いながら、赤や黄色に色付き終えた落ち葉をくしゃくしゃと踏んづけながら、
「じゃ、また?」
「うん、ありがと」
と今までのように手を振って別れた。
その足のままどこの女の子の元に行くんだろなってちょっと思ったりもした。
でも終わり。ありがとう。

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