見出し画像

国の借金よりも若者の借金の方が問題ではないか

本日はこちらの記事。

奨学金は怖くて借りられない、国の支援は届かない「年収5、600万世帯」の苦境

コロナ禍の減収が教育費も圧迫している。苦境に喘ぐ親と学生たちの悲痛な叫びは、高等教育費の負担を家計に押し付けてきたこの国の根本の問題を照らし出す。AERA 2020年12月14日号から。

新型コロナウイルスは本当にいろいろな社会問題を浮き彫りにしているなぁと強く感じます。同時に政府が支援をすれば(お金を配ることが出来れば)ある程度解決する問題も多いというのも強く感じます。

今回は奨学金についてです。

私も奨学金を借りているので完全にポジショントーク(?)になると思います。「奨学金なんか屁でもないくらい稼げる人材になればいい」「奨学金を借りてまで大学に行く必要があるのか」「成績優秀者として給付型奨学金を受ければいい」といった自己責任論はご容赦ください。

私が思うのは「これからの日本を支える若者に多額の借金をさせるという社会の在り方」に対する疑問です。

もちろん、さまざま能力のある人、稼ぐ力がある、学歴に関係なく仕事をやっていく力がある、勉強が得意、などなど奨学金が苦にならないような人もいると思います。

そしてそうした人材が増えれば日本の没落もある程度は収まるのかもしれません。しかし、実態問題としてそうしたことはほぼ不可能でしょう。

97年以降実質賃金が下がり続け、世帯年収も低下。一方で大学の学費は変わらない、あるいは高くなっている。そうした中で家計に占める学費の負担が大きくなり、奨学金を借りなければ大学に行けないような人が増えているのが事実です。

奨学金は借金ですから、当然社会に出て稼ぎを得たとしても、一定分は奨学金の返済に回ります。利子分が誰かの所得にはなりますが、返済した金額が消費に回らず経済を停滞させる要因の一つとなるでしょう。

さらに日本は長期のデフレに陥っていますから、貨幣の価値が上昇しています。そのため借金の返済の負担というものは重くのしかかってきます。

インフレになれば貨幣の価値は目減りしていき、借金の負担は減っていきます。所得も上昇していくでしょう。

新卒の初任給について見ていきましょう。


画像1

図4-1 新規学卒者初任給(男性)  1976年~2019年
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0404.html

90年代半ばあたりからは右肩上がりから水平に近づいているのが分かると思います。20年あるいは30年近く新卒初任給はそれ以前の上昇を見せていません。

その中で奨学金受給者は増えているのですから、若者の負担というのはかなり大きくなっていると言えるでしょう。


学費をアルバイトで稼ぐ

「親からの経済的支援も受けられず、貸与型奨学金も利用できなければ、学生にとってはアルバイトが命綱です。それが第3波でさらに減少すれば、彼らはますます窮地に立たされます」

アルバイトを生活費や学費に充てている学生も多く存在しています。アルバイトを社会経験とポジティブに考えることも出来ますが、学業よりもアルバイトを重視してしまう、そうせざるを得ない学生が出て来ていることは問題ではないでしょうか。

さらにいえば、飲食店・コンビニなどアルバイトが主要な働き手であり、学生なしにはお店が回っていかないようなところも多々あると思います。アルバイトといった非正規雇用はあくまで補助的な役割のはずが、いて当たり前、いないと成り立たないといった企業が増えていることも問題かと思います。


国の借金よりも若者の借金を問題視すべき

新規国債発行額、国債発行残高、財政赤字などなどをいわゆる「国の借金」といって問題のようにあげつらっていますが、本当に問題なのは「若者の借金」ではないでしょうか。

少子化の原因は経済的な理由(実質賃金が下がり男性が女性を養えないなど)です。若者の借金が増えている状況では少子化も改善はなかなかしないでしょう。

政府が少子化問題を解決したいのであれば若者の借金問題に取り組む必要があると思います。

具体的には、財政出動によりデフレ脱却することです。そうすれば実質賃金も上がっていき、借金の負担は減っていきます。

それに加えて大学への交付金を拡充し、学費をこれ以上上げる必要がないように、あるいは下げることが出来るくらい支援するべきと思います。

教育は将来への投資です。投資を怠れば将来が良くならないことは当然でしょう。

コロナ禍で新規国債発行額を拡大したところで何も問題が起きないことが明らかになりました。これを機に今まで怠ってきた支援、投資を行い若者が希望を持てる社会へと転換していってほしいなと思います。(あと単純に奨学金の負担を減らしてください)

若者の借金が減っていくことを祈ります。

いただいたサポートは就職活動の交通費などに充てようと思っています。