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NISA始められないおじさん

NISA始められないおじさんをご存知だろうか?

NISA始められないおじさんとは、コスパの良い買い物を善とし、定期預金を愛し金融投資を一切しない、デフレ社会に完全適合した生き方しかできなくなってしまったロスジェネおじさんたちのことである。

ロスジェネ世代が社会に出る以前、日本は空前絶後のインフレ社会であった。株価や不動産はもちろん、絵画やゴルフ場会員権までもが数千万数億円にまで値上がりしていたバブル時代。サラリーマンの給与も右肩上がり、町工場の社長たちもウハウハ。そんな日本の黄金時代の後に待ち受けていたのがバブル崩壊によるデフレ社会と就職氷河期であった。

ロスジェネ世代がホワイトアウトで足元すら見えない地獄のデフレ社会に足を踏み入れて以降の30年、日本社会はデフレ社会であり続けた。ハンバーガーは100円を切り、牛丼は300円。ユニクロなどのファストファッションの登場で衣類も1万円かからずに全身が揃えられるようになった。土地や不動産の値段は暴落してから伸び悩み、ド田舎のリゾートマンションは無人の廃墟と化した。株価も低迷を続け、企業は社員の採用や設備投資よりも内部保留の確保に躍起になった。その結果、有効求人倍率が1.0を切る就職氷河期時代は10年以上続くこととなった。

デフレ社会では労働力やモノの価値が下がりお金の価値が上がる社会だ。そのため下手に転職せずに働いて、とにかく現金を溜め込む後ろ向きムーブが最も簡単でかつ利益になる。そんなデフレ社会で長く生きてきたロスジェネおじたちは、転職や投資に後ろ向きで、万代やダイソー、ユニクロやモンベルなどコスパの良いお店で買い物をして、現金をひたすら溜め込むNISA始められないおじさんとなっていったのである

しかし、そんなデフレおじさんたちにとって試練の時代が訪れた。それが30年ぶりに訪れたインフレーション社会である。

ウクライナロシア戦争に端を発したガソリンの急激な値上がりから始まったインフレの波は、円安時代を合わさって巨大なインフレーションの津波となって日本社会を飲み込んだ。バブル期に匹敵する不動産価格の上昇、家電製品、食料品、衣類、ガス電気……全てのものの価格がわずか数年のうちに一気に1.2倍近くに値上がりしたのである。月末に引き落とされるクレジット会社からの金額が明らかにおかしい。不正利用を疑って確認の電話をしてしまうレベルだ。

インフレ社会とはお金の価値が下がり労働力やモノの価値が上がる社会のことである。つまりインフレ社会では定期預金やタンス預金でお金を寝かしていてはどんどん損をしてしまうのだ。NISA始められないおじさんにとって大ピンチである。定期預金の鰹節より薄い金利では到底インフレ分を補えない。しかしこのままではせっかく貯めたお金がガリガリにやせ細ってしまう。

この大ピンチにデフレおじさんに残された道はただ一つ。そう金融資産や不動産資産など、現金以外の資産を持つことである。お金の価値が下がるインフレ社会では逆に株や不動産の価格は上がりやすいのだ。

事実、日本の株価は急上昇を続け、ついにあのバブル期と同レベルに肉薄するまでになっている。日本株だけでなくアメリカ株、金やビットコインまで最高値を更新した。上がってないのはデフレおじがコツコツ貯めてきた定期預金の金利だけだ

社会実情データ:日経平均はついにバブル期をとらえた。

国もインフレーションを抑えることよりも、貯蓄を株式市場に投資してインフレ分稼ぐ方向へ国民を誘導している。デフレ時代にすっかり委縮してしまった日本国民の投資熱を盛り上げるため、アベノミクスやNISA、新NISA(従来のNISAと何が違うのかはよくわかっていない)と様々な経済政策を発動し、何時まで経ってもモジモジして投資をしない筆者を含む情弱国民に『いいからさっさとNISA口座作って長期運用しろ!間に合わなくなっても知らんぞ!』と発破をかけている。

政府がインフレ社会と投資社会を後押しする理由は少子高齢化対策に他ならない。労働力の価値が上がり、お金の価値が下がるインフレ投資社会は若者に有利で高齢者には不利である。つまり政府はインフレを利用して高齢者から若者への所得転移を狙っているのである。少子高齢化により社会保障制度が破綻秒読み段階に突入しているとはいえ、選挙のことを考えれば口が裂けても年金支給額を下げます!なんてことは口にできない。だがインフレが進み全てのモノやサービスの価格が倍になれば、年金は実質半分に減額されたことと同じになる。

さらに国民から集めた年金も株式市場で運用されているため、株が上がれば上がるほど国も年金を受け取る国民も潤う。もはや株式市場を盛り上げることは国策なのだ。円安を放置するのも外国人投資家がお安い日本株に群がる現状を継続したいからではないのか?と勘繰ってしまう。おそらく今後数年間は株価の上昇トレンドは続くだろう。株高と円安は高齢者の貯蓄や不労所得を削ぎ、若者の労働所得の価値を引き上げる少子高齢化ジャパンの国策なのである。

しかし、これだけ金融投資をすべき条件が揃っても全身デフレ人間たちはNISA口座を開設していないのが現状だ。ロスジェネ世代である40~50代のNISA口座開設率はわずか20%弱。8割のオジオバは金融投資をしていないのである。

IFA:40代はNISA口座を持っていない人が8割

なぜここまでお膳立てをして貰っているのになぜロスジェネ世代は金融投資をしないのか?なぜ俺たちはSBI証券か楽天証券に申し込んでNISA口座を開設できないのか?

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