見出し画像

東京が沈む日

東京の一極集中がさらに加速している。

コロナ禍に広まったリモートワークにより、東京一極集中が是正されるのではないか?といった空気が盛り上がったのも束の間、コロナ騒動の終結に合わせて再び東京への転入者が急増している。

2022年の東京転入者数は4万人弱、東京首都圏(東京、神奈川、千葉、さいたま)の合計転入者数に至ってはなんと10万人という凄まじい数字をたたき出した。毎年少子高齢化により60万人の日本人が消滅しているにもかかわらず、東京は人が急激に増え続けているのだ。

総務省:2022年の東京への転入者数はなんと4万弱。首都圏で約10万人が増加。

さらに注目すべきは東京に住む人々の年齢だ。過疎化が進み街にあるのは高齢者向けの整骨院と老人ホームばかりの地方とは違い、常に地方から活きのいい若者が供給される東京には現役世代が非常に多い。日本全国の人口ピラミッドと比較してみると、20~50歳の現役世帯の人数がずば抜けて多いことが見て取れる。

東京都:全国と比較して東京は20~50代の現役世帯が非常に多い。


東京が全国から吸い込んでいるのは人間だけではない。そうお金である。大阪では2500億前後の大阪万博経費に四苦八苦しているが、東京オリンピックに投入された予算は1兆4283億である。まさにけた違いだ。昭和の時代に大阪に本社を構えていた大企業のほとんどが東京へ本社機能を移転している。都道府県別GDPでも東京が2位以下の大阪や愛知にダブルスコアをつけて圧勝。大阪愛知の後には東京首都圏の神奈川や埼玉が続いている。

東京の小池都知事が東京都全ての自治体、全ての世帯の高校授業料無償化政策を発表したことが話題であるが、そんなことが出来るのも、東京都が圧倒的な税収を持っているからに他ならない。この政策でさらに若い現役世帯が東京都へ引き寄せられることになるだろう。

EREMINEST:都道府県別GDPで東京は2位以下を大きく引き離している。


多くの大企業と税金を予算とする公的機関が密集する東京では、市民の稼ぐ年収も当然地方に比べて高い。特に子育て世帯の世帯所得は凄まじく、東京に次ぐ大都市大阪と比較しても勝負にならないほど大きな開きがうまれている。東京では子育て世帯の過半数が世帯所得1000万以上なのに対し、大阪の子育て世帯の過半数が世帯所得700万円以下だ。

政府統計:東京の子育て世帯年収マス層は1000-1250万、大阪は500‐700万と大きな開きがある。


このようにデータを見れば見るほど東京の一極集中は加速しており、この流れは今後も続くことが予想される。政府も口では地方創生などと言っているが、本音の部分では地方を諦めているとしか思えないほど、東京の一極集中問題に関しては無策である。人口減少期に東京首都圏へ日本人を集め、コンパクトシティを実現してそこからまた人口増加タームまで凌ぐつもりなのだろうか?そうなると東京はまさしく日本人にとっての巨大なノアの箱舟である。金も人も全てを東京に結集し、関東平野から再び日本は日の出ずる国へと復活を遂げるのだ。

哀れなのは見捨てられる地方都市である。国からの地方交付税交付金も削られ、若者が東京へ移動したせいで税収は減り、街にはジジババの社会保障制度にぶら下がる整骨院や老人ホーム、個人医院しか残っていない。公園はジジババゲートボールパークとなり、数少ない子供たちはボール遊びすらさせてもらえない。

なすすべなく沈む地方都市、ノアの箱舟として空に舞い上がる東京。

しかし、本当にそう上手くいくのだろうか?

ここから先は

2,619字 / 6画像

¥ 250

サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!