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被害者面するメンヘラ男たち

半天狗というキャラクターをご存じだろうか?半天狗とは人気漫画・アニメである鬼滅の刃に登場する敵キャラクターであり、老人のような外見ながらめちゃくちゃ強い分裂体を生み出して主人公を苦しめた鬼である。

鬼滅の刃に登場するボス格の鬼は、みな性格に差はあれどオラついた暴力性の塊のような存在ばかりである。しかしそんな中で半天狗は少し変わっており、本体はいかにも年老いた弱者男性のようなヨボヨボのジジイで、ずっと何かにビビって右往左往している。とても強い敵には見えない。

しかし自身に危害が及びそうになると、自分を守る分裂体を生み出して襲わせてくるのだ。そして分裂体が戦っている間に半天狗本体はひたすら主人公たちから逃げ続ける。半天狗は逃げながら「自分のような老人を襲うなんて酷い」と繰り返し、罪にまみれた過去の回想シーンでは「儂は悪くない、盗みや殺しをしてしまうのはこの手が悪いのだ」と責任転嫁を繰り返す。

高い暴力性を持ち犯罪に手を染めるような、本当にヤバい男の中には、半天狗のような『自分は悪くない、むしろ可哀想な存在なんだ』と言い訳をする人間が実はかなり多い。彼らは自分の犯して来た罪を酒やギャンブル、育った環境や身近な誰かのせい、挙句の果てには自分自身の””のせいにしてでも、自分は悪くないと主張する。彼らはいつも自分が悪事を働く理由を、誰かや何かのせいにして責任から逃れようとするのである。

この他責性はメンヘラ女と非常に似通っている。情緒が不安定で他責性の強い女性をメンヘラと呼ぶが、さしずめ彼らは男性版メンヘラというべき存在なのだ。メンヘラ男たちは被害者面が得意なだけでなく、女性にはないレベルの暴力性までも兼ね備えている。彼らはいざとなったらメンヘラ女の何倍もの膂力で暴れてくるので非常に危険である。

ツイッターでは女性の他責性や加害性がクローズアップされるあまり、加害性メンヘラ男子の危険性が軽視されがちだ。「男は女より弱者男性に優しく責任感がある」という言説をよく目にするが、残念ながら弱者男性を包摂してくれるような男気強者男性よりも、弱者男性をボコボコにして虐めたり、手下にしてこき使い責任をなすり付けてくるメンヘラ男子のほうが割合としては多い。

被害者面が大好きな他責性メンヘラ男子たちは、常に自分の悪事を押し付ける対象を求めている。彼らは同情されることが大好きであり、言葉巧みに可哀そうな自分を演出し、手を差し伸べてくれた人間にたかってくるのである。彼らの被害に遭いやすいのが共依存傾向が強く、自己肯定感の低い男女である。

パワハラ男の決め台詞である『俺をこんなにも怒らせるお前が悪い』『お前のせいで俺はこんなに苦しんでいる。俺が怒るのはお前のせいだ』といった言葉をまっすぐに受け取ってしまうタイプの人たちだ。自己肯定感が低い人間ほど、メンヘラ男の他責を真に受けてしまい、その罪悪感から搾取されてしまうのである。男女問わず、自分に自信が持てないタイプはメンヘラたちの格好の獲物なのだ。

そんな危険極まりないメンヘラ男たち、彼らはヤンキーやワルの世界に非常に多く存在している。ネットの一部界隈は不良や極道者に対して強くて甲斐性のある男という幻想を抱きがちであるが、それは大きな間違いだ。

我慢や譲り合い、協調性や社交性が求められる一般社会から脱落したものが集まる不良の世界ほど、情緒が不安定で他責ばかりしている女々しくて危険なメンヘラ男の巣窟になっているのだ。弱者男性がフラフラと近寄っていけば骨までしゃぶられて捨てられるのがオチである。

また以外にも会社やスポーツ界といったホモソーシャルの世界でのし上がる男の中にもメンヘラ男は潜んでいる。体育会系メンヘラともいうべき彼らは、上手く自分の犯した罪を他人になすり付けて、美味しいとこどりをして組織で有力なポジションを手にいれる

彼らの部下は後輩になった人間はその激しい気性に振り回され苦労するはめになる。体育会系メンヘラは通常のメンヘラ男とは違い、世渡りのうまさや行動力、無限の体力など男性特有の”強み”を持つ場合が多く、非常に危険な存在だ。

メンヘラ女の加害行為が被害に遭っている当事者以外からは「可愛いワガママ」として見逃されるのと同じように、メンヘラ男の加害行為も「面倒見の良い男の指導」として見過ごされることが多々あるのである。試合中に選手が血まみれになるほどの暴力を振るっていた某プロ野球監督も、周囲からは面倒見の良い熱い男、”闘将”などと呼ばれ、故人になるまで界隈で持ち上げられ続けていた。

そして恐ろしいことに、ヤバいメンヘラ男ほど自分がメンヘラであることに気が付いていないものも多い。それどころか自分を優しい人間と誤認している場合まである。

休日に部下を呼び出して指導したり、部活で後輩が倒れるまでしごいたり、家庭で妻や子供に怒鳴りつけ殴ったりしていても、彼らは自分のことを”いい人”であると認識し、周りにもそのように自己紹介するのである。ネットで有名な医療事故を起こして病院を転々としている医師も、週刊誌の突撃取材に対して、「自分はまともな医者であり悪いのは病院側だ!」と猛抗議した。本物ほど自覚していないのか、そう思い込みたいだけなのか、自身の抱える問題点に対して彼らは盲目なのだ。

さらにメンヘラ男はパッと見るとその他責性とは裏腹に男らしくて決断力があるように錯覚してしまいがちだ。自己中心的で責任転嫁が得意な彼らは、通常の男子よりもアクティブだ。何故なら失敗しても他人のせいにすればいい、と開き直ているからだ。真面目な男子が失敗しても大丈夫なようにセーフティネットを準備してから行動するのに対して、メンヘラ男は失敗したらカモを代わりに突き落せばよいと考えているのである。

そんな身近に潜むヤバいメンヘラ男に対して我々が出来る最善策が、事前のその危険性を見抜いて近づかないことである。メンヘラ男を見抜くためには、彼らの特徴を知ることが大切である。メンヘラ男が持つ特徴として最もわかりやすい部分が……

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