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No.7 ケアンズの英語って実際どんな感じ?【教えて!ゆずぽん】

【Preface】

I!! GOT!! A!! COMMENT!!!!

Hello from Cairns!
久しぶりにいただいたコメントに望外の喜びが溢れております、とある常夏に生きる柑橘ですこんばんは。

オースラリアは方言が強くて、聞き取りにくいとかありますが本当ですか?私も3年後ぐらいに旅行したいです。

Makiさん

嬉しい。こういう素朴な疑問系は本当に嬉しいです。話題の提供ありがとうございます。

てな訳で、3年後のコメント主さんが少しでも安心してオーストラリアを楽しめるように、柑橘がわかる範囲で回答しようと思います。
ケアンズ限定だけど。


【Who Am I?】

とりあえず英語に関しての私のスペックを簡単に。

  • 高校1年時点で偏差値37だった英語を克服して英米文化学科へ

  • 文化文学ではなく英語学の面白さに目覚めてしまう

  • 18歳で始めた塾での英語講師にハマり、気づけば10年

  • 中高の英語教員免許取得

  • TOEIC925・英検1級

語彙とコミュ力は平均以上、リスニングは平均以下って感じの学校英語叩き上げタイプです。試験で足を引っ張るのはいっつもリスニング。

詳しくは以下の記事へ。

【What is the Aussie(Cairns) English Like?】

せっかくいただいた質問を潰してしまうようで恐縮なのですが、何を隠そうこの私、オーストラリアではケアンズという僻地の箱入り娘ならぬ箱入り柑橘もいいところでして。出荷予定があるような身でもないので、ケアンズ特化でふらふらと人生を謳歌しております。

そんなわけで、私の体験談は「オージー英語」と呼ぶよりは、「ケアンズ英語」の方が適切です。他のエリアに住んでた人に話してみて、一応一般的なオージー英語の特徴らしきものも紛れているかもしれません。けれど、他のもっと大きな都市部とか、逆に名前も知らない小さな町とか、ケアンズ以外では直接のデータをとっていませんので、あらかじめご了承ください。

【Pronunciation】

発音に関して、役に立ちそうなレベルでのお話は2つ。

①rの発音はイギリス準拠のだらしないバージョン。

アメリカ英語では基本的にrを巻き舌気味に発音することは周知の事実かと思います。
対して「日本人にとってはイギリス英語の方が簡単」と評する人の多くが挙げる根拠として、この「rの発音」があります。
イギリス英語では、単語の先頭のr以外は原則として巻きません。だから、waterも「ウォーたh」みたいに、空気が抜けるような音になります。

オーストラリアは歴史的にみてもイギリス英語の影響が大きいのですが、そこにケアンズの亜熱帯常夏なんくるないさーマインドが加わった結果、巻かないrがだらしなく伸びる感じになっています。舌の巻き加減ではなく、イントネーションでrを表現するイメージです。

Cairnsも、ケアンズというよりは「けぇ〜んず」と、さまぁ〜ずのように発音したほうがそれっぽかったり、
thereも、theまで発音した後にそのままだら〜っと口を開けたまま音階だけ上げ下げする感じなんです。
この辺は近日配信開始のyoutubeで紹介しているので、公開されたらリンクも貼っておきますね。

ネイティブの「生けぇ〜んず」が聞きたい方は、以下のリンクからどうぞ。

https://ja.forvo.com/word/cairns/#en

②二重母音がズレる。

[ei]は[ai]っぽく発音され、
[ai]は[oi]っぽく発音されることがあります。
全ての単語に適応されるわけではありません。

lateはイトに聞こえるし
Claye(人名。クレイ)はクイに聞こえるし
G'dayはグ
mateはイっ

ただ、あくまでも「ズレる」のであって、完全に「ai」になってしまうわけでもないことは、下のリンクforvoにてご確認ください。

https://ja.forvo.com/word/mate/#en

niceに至っては、チャットではnoiceとふざけて書いてくる人までいます。
ほんま勘弁してほしいね。

【Vocabulary】

オージーの語彙が英米と比べてもちょっと変わっているのは有名な話だと思います。

HelloやHiの代わりにGood day!の短縮系G'day!
guysなど呼びかけの代わりにmate
No problemも言うけど、No worriesを多用したり。

もうちょっとマイナーなとこに行くと、

  • Good for youではなくGood on you

  • MacDonaldをMaccas

  • ゴミ箱はbin

  • and you?の代わりにyourself?

  • youの複数形としてyouse

などでしょうか。

そして何と言ってもオージー英語の特徴に上がるのが、短縮

  • breakfastはbrekkie

  • afternoonはarvo

  • barbecueはbarby/barbie

  • ThanksがTa

もはや原型をとどめないものも多々あります。
オージースラング辞書まで出てるのが面白いところ。

最近突っ込みたくなったのはこちらの短縮系です。

独自語彙に関しては、ここに書いていたらキリがないので私が実際によく遭遇するものたちをいくつか羅列しておきます。

  • cuppa と言ったら a hot beverageや、大体はteaやcoffeeを指し、

  • rubbish は garbageのこと。

  • heaps はイギリス英語から来ていますが、a lotと同じ意味で、

  • bush はforestやoutbackなど、人が住んでいない茂みをざっくり意味します。

  • mozziesはbushにheapsであろう mosquitoesのこと。

  • reckonはアメリカではもはや死語レベルに古いと言われてしまうらしいですが、こちらでは常用でthink代わりにも使われます。

もっと知りたい人は、こちらのサイトをぼんやり眺めてみても面白いかもしれません。

【Whose English is the Hardest to Catch?】

さて、ここからは、どちゃくそ主観のランキング方式でぶっちゃけていきまっせ。
聞き取りにくい英語ランキング〜!!!

【No.1 The Local Elderlies】

はい、映えある第一位に輝いたのは、地元のじーちゃんばーちゃん。はっきり言います。
マジで何言ってるかわからん。

私がかれこれ1年以上お世話になっているminicar rentalsには、まさにこのカテゴリーに入る方々がおられます。

いまだにちょこちょこ何言ってるかわからん。

流石に1年もいるとね、「この柑橘、話せる割にこっちのいうこと聞き取れてねーな」という感じで、私という一個体に対する相手方の理解が多少は深まるわけで。去年の今頃に比べればはるかにコミュニケーションが取れるようになりましたし、仕事中の指示もスムーズに理解できるようになりました。

でもそれは、

私が仕事の流れを理解してるから推測の精度が上がったとか、
この人たちの英語にちょっとは私の耳が慣れたとか、
相手が私に多少の配慮をしてくれるとか、

色々な適応の結果の賜物です。そう、純粋な英語力の向上などでは決してない。

初対面のローカルのおじいおばあ、うーん、正直に言おう、特に麦わら帽子をかぶって裸足でそこら辺を歩き回る、DIYより日曜大工という言葉が似合うようなおじ(い)たちに関しては、初手で聞き取れることはまずないです。

1つだけ、心に留めておいてください。
ケアンズの英語は津軽弁みたいなもんじゃけぇ、わからんくても気にすんな。

良くも悪くもケアンズって、自然の豊さが売りの田舎の小さな観光地方都市なんです。ケアンズ狭し、あっちゃこっちゃに顔を出している私などは3人辿れば知人に繋がる自信すらあります。

そんなケアンズに根付き、常夏を生きてきた彼らの英語は、今なおインターネットの普及の煽りもそこまで受けず、元気に方言。
ただでさえ発音や語彙が独特なオーストラリアの、far north(極北)と呼ばれるエリアがケアンズです。

訛ってないわけなかろうが。

もちろん、日本人と一緒に仕事したり、ホストファミリーとして多国籍の英語学習者たちとたくさん接してきた人たちはこの例に入りませんからね。

【No.2 The young men born and raised in Cairns】

以外にも2位にランクインするのがこの層。まあ主観だから許して。
地元からあんまり出たことのない田舎のあんちゃんたちです。

めっちゃ気のいい人が多いんだけど、私の耳が悪いせいもあるんだけど、ほんとごめんなんだけど、ちょっとなんて言ったかわかんなかった!

こんなことがよくあります。訛ってるだけじゃなくて速いんですわ。そして発音が雑。常に野球部の挨拶で喋ってるみたいな感じ。

感覚的にはこういう感じ…部分的に一番アクセントが強い単語は聞き取れるんだけど、そこ以外のリンキングと弱化がエグすぎて試験英語で鍛えたリスニング力如きでは相手になりません。てかこれはこっちの問題じゃないと思う…。

どのくらい聞き取れなかったかというと、How are you doing?が聞き取れなくて3回くらい聞き返しました。ほど2音くらいになっちゃうの。
ァユドゥィn みたいな。ほとんど太字のとこしか言ってないやんけ。無茶ゆーなと。思いましたよ。ええ。

【Postscript】

と言うわけで、コメントをいただいたテンションの高さそのままに、日頃の鬱憤…否、なんちゃって言語学徒としてのフィールドワークinケアンズでの興奮をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

これからケアンズに限らず、オーストラリアにくる人にとって、0.2ミリくらいでもいいので参考になれば幸いです。

方言に怯えても網羅しきってその地に赴けることなんてないので、知ってることとどんな違いがあるのか、ワクワクしてほしいなと思ってこの記事を書きました。

旅に出る理由は人によって様々だとは思いますが、新たな発見を求める気持ちは少なからずあると思います。その目の向く先を、街中や人だけではなく、そこの現地の人が使う言葉にも向けてみたら、また違った旅の楽しみ方ができるんじゃないかなー。
そんなふうに楽しんでくれたらなんちゃって言語学徒としては嬉しいな〜。
そうやって考えることで、英語への萎縮とか恐怖がちょっとでも軽減されたら英語の先生としてこれほど嬉しいことはないなー。

それでは、またどこかでお会いしましょう。

Be Yourself and Live Boldly.
See you later!



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