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帯に短し襷に長し〜No one can be perfect〜

【Preface】

Hi mate, how are you doing?
ケアンズでよく聞くご挨拶で始めて見ました。でも、一つだけ言わせてほしい。

全然字面と音がマッチせんのじゃ。

オーストラリア英語は訛ってるというのは割と有名な言説ですが、まあ実際問題一般的な日本人が学んできたアメリカ英語とは随分と発音がズレているので、無理もありません。でも、"ズレて"いるだけで、"かけ離れてる"わけではないんです。音声学上は。

オーストラリア英語が気になる人はぜひ上の記事にもお目通しいただくとして、今日はまたしても職場(レンタカー屋)で教わった慣用表現をご紹介します。今回はサクッと終わるよ。


【Busy or Quiet】

サムネ、タイトル、そしてこの見出しと、もういい加減私が紹介したい表現が頭に浮かんでしまった勉強熱心な方もいるかもしれません。今回私が教えてもらった表現は、「ちょうど良い時がない」というニュアンスの表現です。

店長ママが謎のFが連続するフレーズを言いながらレシートを握って私に近づいてきたので、教えてもらいました。

feast of famine

何回聞いてもママは絶対ofって発音をしてた。そのせいで、私は意味が理解できず「???」状態。
私の怪訝な表情から、彼女は私が単語の意味を知らないのだと思い、解説しようとしてくれました。ちゃうねん、一応それぞれの意味はわかりますのじゃ。ただofだと意味わからんくない?

そこで詰めても仕方ないし、そもそも仕事中なので、意味だけは確認して終わりにしました。

ニュアンスとしては、サムネでもタイトルでも散々仄めかしている通り、「適度にならないさま」を表現しています。

feastは「宗教的だったり、結婚式なんかも含む大規模な宴、そこでのごちそう」
famineはhungerの堅い単語って感じ、「飢餓」

でね、やっぱり真ん中がofだと意味がわからんのですよ。
だって、「飢餓祭り」みたいになっちゃうじゃん。ラマダンなの?でも断食を気が呼ばわりは違くない?あの人たちは選択して食べないし。あ、そういえば断食もf始まりのfastingっていうけど、なんでfastなのかを「なんか速いんか?それとも別語源か?」と疑問に思って調べたのを記事にしてなかったなー。

とまあ、脳内ではシナプスが暴れまくりだったので、仕事後に調べ直したらGoogleさんが控えめに教えてくれましたよ。斜体字で「もしかして:feast or famine」って。やっぱりね。

宴会か飢餓か、と、直訳ならこうなるんでしょう。
食べるものが余るほどあるか、足りないか。どっちかの状態ばかりで、「ちょうどよく」とか「過不足なく」になってくれないときに使うんだそうです。今回の場合は、この前数日間は貸し出しも返却も大してなくて、普段なら忙しいはずの午前中に店内清掃をする余裕があるくらい暇だったのに、俄にお客様が立て続けに来店しておおわらわ、とまあ、まさにfamineから急にfeastになったのでした。

「ちょうどよく忙しくはならないもんだねぇ」
この状況での店長ママの言葉として意訳するならこんな感じでしょうか。

日本語ではちょうど良い時に「過不足なし」なんて言いますが、この状況はいわば「過不足しかなし」です。

【By Extension】

裏とりがてら調べていたところ、この表現が、状況だけではなく結果についても使えるということがわかりました。success or failureより、もうちょい劇的な結果だった感じで、「一か八か」に対応する表現としても使えるんだとか。

feast:宴を開けるくらいの"大成功"
か、
famine:飢餓に直面するほどの"大失敗"

とまあ、こんな広がり方ですね。

Free-lancers generally live a feast-or famine life.
フリーランスでは一般的に浮き沈みの激しい生活を送ることになる。

形容詞として使うなら文面ではハイフンで繋いで「無理やりまとめて形容詞」にしちゃいましょう。会話では気にしなくて大丈夫ですが、普段よりちょっとだけ「一息に発音する感じ」で話すと長いけど形容詞なんだと伝わりやすいです。

波瀾万丈、なんて意訳も見受けられました。確かに平凡とか安定の対義語っぽいですもんね、この表現。食い過ぎか腹ペコか。腹八分目にできない私も、ある意味a feast-or-famine lifeです。食に関して。ちょうどよくって難しいね。

【Postscript】

てな訳で、今回は店長ママの発音に癖がありすぎたのか、彼女が覚え間違いをしていたのか、までは突っ込まずに調べて完結しました。でも口元見てても絶対ofのfの発音してたから、多分後者……。でも記事のネタをくれたことも、新たな表現を教えてくれたことも事実なので、いちいち指摘することでもないんですよね。

私も小学生の時は「あからさま」が「あらかさま」になっちゃってたり、高校生くらいまでしばらくは勉強の「勉」の字は「力」じゃなくて「ム」が乗っかってると思い込んでたり、まあそういう覚え違いみたいなもんでしょう。

英語話者全員が知ってる言葉を全て正しく読み書きできるわけないし、
日本人だって「読めるけど書けない単語」なんて死ぬほどあるわけだから。
普段使ってても、実はスペルがよくわからない単語なんていくらでもあるでしょう。ましてや予測変換とか自動修正機能に囲まれた昨今では尚更、正確なスペルなんて知らなくてもそこまで困らないし。

なぜか英語になると、母語話者がみんな正しい知識を持っている前提で話を聞いてしまいがちになるんだな、私は。そして多分、自分の英語への知識とか自信の足りなさから、「母語話者の方が正しいはずだ」みたいな変なバイアスがかかるんだな。

自分の中でのこんな認知の歪みにも気がつけたのでよかったです。母語話者だからってなんでも知ってるわけじゃないし、なんなら私の方が英語について知ってることだってありますよ、そりゃあ。かれこれ10年もそれなりに真面目に向き合ってんだから。

語学学習に関しては、基本的には四六時中famineで、たまに伸び率を祝してfeastを開くくらいがいいんじゃないかな、なんてぼやいて今回は終わりにします。

May you be yourself.
See you later.

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