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【合宿ふりかえり】ケア千第1回


【話題導入ならぬ近況報告】

Hello, Japan from Cairns!
クリスマスやら大晦日と、年末年始の時期になっていることをカレンダーや街中のデコレーションでは認識しているものの、どうあっても体感温度がそれを否定してくる常夏のケアンズからお送りしています。こんにちは。

ケアンズでの真夏の年末年始を過ごすのは今年で2回目ですが、やっぱり変。生まれてこの方30年近く、12月はマフラーやコートをモコモコに着込んで寒さに耐えていたわけなので、無理もないよね。

ケアンズのクリスマスの楽しみ方はまた機会があればお話しするとして、今回は年の瀬ということで、2023年のふりかえりと称して、ハイライトである発音&メンタル矯正合宿「ケアンズワーホリを千倍楽しむ方法」を取り上げます。丸一年振り返る記事は……色々ありすぎて無理な気がするけど、挑戦はしてみます。年表みたいに家とか仕事とかの大きい変化だけ羅列したやつ作ろうかな。

前書きが安定の脱線と暴走を始めたので、この辺りで本題に入りますね。
合宿で実際に何をやったのか、また参加してくれた生徒さんの感想、それから、私からみたその生徒さんの成長したところなんかも紹介させてもらっているので、このおしゃべり柑橘がどんな風に授業をするのか、ちょびっとでも感じていただけたら嬉しいです。

【前途多難っていうか、目前大難】

合宿初日は、朝8時半頃には生徒さんを家までお迎えに行き、9時からレッスンスタート!

の、はずでした。このために愛車も間に合うように修理に出してあったんですが、合宿開始前からまさかのトラブル発生。

ばあちゃんが壊れる。

修理屋から回収してものの数分、生徒さんの家の前まで走って行っただけなんですが、そこで一度停車してエンジンを切ったら最後、ばあちゃん(愛車)は2度とエンジンが掛からなくなってしまったのです。あ、この記事で初めて私の車の話を聞く人にとっては、驚かせてしまったかもしれません。「ばあちゃん」は、私の愛車の愛称です。分かりにくくてごめんなさい。

前途多難というか、まだ合宿が始まってもいないっつうのにこのトラブルです。卒論提出締切直前に限ってパソコンやUSBやプリンターが軒並み壊れる、なんて話は大学四年のときに耳にタコができるほど聞いたものですが、まさか人生初の自分で企画した合宿企画の初日の朝にそんなことが起こるなんて思わないですわ。まさにunexpected、all of sudden、藪から棒に青天の霹靂、out of blue。この合宿に間に合うように修理屋を選んで依頼したのですが、ハズレだったようです。急いては事を仕損じるとはよく言ったもの。

だからと言って、愛車如きでメソメソしているわけにも行きません。けれども、この合宿には車が必要不可欠なのもまた現実。そして、最優先すべきは合宿の開催。

というわけで、家の外で2泊3日分の荷物を持って準備してくれていた彼女には陳謝し、飛んで行ったのはそう、バイト先。何を隠そう、私はレンタカー屋さんの子です。店長に事情を話し、差し当たり3日間の間は車を貸してもらいました。もちろん社割で。愛車の直らなかった修理代が嵩んだことで、まあまあ無茶なお願いをせざるを得ませんでした。

残高足りなくて預かり金払えないんだけどごめんだけど3日間車貸して

私の愛車のことも、合宿を計画していることも、ちょこちょこ話をしてあったこともあって、店長が快く貸してくれました。本当に善い人たちがやってる良いレンタカー屋さんです。ケアンズでドライブするときはぜひminicar rentalsへ!(そうですバイト先自慢兼宣伝です)

【単刀直入とはいかない本題突入】

愛車話は別記事にしようかとも思ったのですが、合宿初日のスケジュールがずれ込んだ原因でもあるし、あとはあれです、単純にばあちゃんへの弔いも兼ねてご紹介しました。車だけどね、ワンピースのメリー号とか、トイストーリーとか、付喪神信仰は比較的強めに持ってるのです。

さて、いいかげん合宿自体の内容に入っていきましょう。

🌟Day1:発音強化「筋肉を目覚めさせる」

前書きでご紹介したnoteから持ってきたんですが、我ながらタイトル設定がただの脳筋のそれだよな……。でも、本当にやったことをタイトルにしています。

【1.Introduction】

さーいきなり発音指導!口周りの筋肉動かしてくよ〜٩( ᐛ )و!
といきたいとこですが、英語と日本語それぞれの発音の仕組みと、イギリス英語でもアメリカ英語でも、もちろんオーストラリア英語でもなく、国際基準の英語の発音を練習する理由とその方法、いうめちゃくちゃ大枠の話から入りました。書いてても思うけどテーマを言語化すると硬いね。こんなタイトルの講座あったら私なら受けたくないです。でも、根っこの根っこから徹底的にやるってこういうこと。そして、ここがわかると、「日本人は英語の発音が苦手」という一般論の理由が理解できます。

発音ってなんなん!?の答え

「なんで出来ないのか」を知って、それに納得すると、無駄な自己非難をやめられます。「えーじゃあ出来ないのしょうがないんじゃん」と、開き直れるんです。ある意味の絶望でもありますよ。だって出来るようになりたかったらやっぱりゼロから練習するしかないってことだから。でも、裏を返せば、正しい方法で練習すればできるようになるってことでもあります。研究されて、理論がきちんとあるっていうのはそういうこと。すでに道を拓いてくれた人がいて、それに触れられるようになっているってことです。「発音道」とでも呼ぶべき王道を、一歩ずつ進めばいいんです。まあそれが果てしなく孤独な道のりに見えちゃうから、みんな簡単で楽しい近道を探しちゃうわけですが。何かの習得において、抜け道近道は「脇道に逸れる」と読んで字の如く、迷子への第一歩になることが多いです。急がば回れってね。

この「やればいいのはわかってるけどめんどくさい、難しそう、わかんない」とぐずりたくなってしまう山道を、楽しく、かつ分かりやすく人に合わせて噛み砕くのが私の仕事です。

英語をきれいに発音出来ないのは、あなたに英語のセンスがないわけじゃないです。単に日本語と英語という言語の特徴の違いのせいで、普段日本語喋るときには使うことがない筋肉を、使わない形に動かす練習をしてこなかっただけ。闇雲に真似して、なんとなく再現できちゃう人もいますが、みんながそうやってできるなら英語学習業界はこんなに盛り上がってないわけだし、そもそも私自身が、それではどことなく納得がいかない。

なんかまだ「日本人の英語」の域を出られていない気がする。

生徒さんはこんなモヤモヤを抱えていたので、それを晴らすところから始めました。なんたって、この合宿は発音がきれいになるだけじゃなくて、自信がつくものでなければ意味がないので。

初日の冒頭1時間ほどで私が生徒さんに伝えたことをまとめるとこんな感じになります。

「はい、こういうところに私たち日本人が英語の発音を上達させる難しさがあるって分かりましたね、そしてなんで君が今まで自分の英語に納得いってなかったかもわかったね。だから無駄に凹むのはやめて、あと真似してればできるようになるとか安易な解決策も諦めてもらって、今から地道に正しい発音を正しい方法で練習していくよ!!」

【2.Vowels】

さて、現実を突きつけて山道を登っていくほかないと骨の髄まで叩き込んだところで、いよいよ1つ1つの英語の発音を練習していきます。
まずはやっぱり母なる音、「母音」から。
「あ⇨え⇨い⇨お⇨う」の順に、日本人がこの母音と認識してしまう英語の発音は、実際にどんな単語でどう違うのか、を、英米の発音を聴き比べたりもしながら練習していきます。

簡単な一例を挙げると、「同じ"あ"でも口の開き具合で英語では別の音として認識されるよ!」とか、そういう話です。そしてこれを、ネイティブの口元を観察して、鏡の前で私と二人で口を見比べてみて、練習していきます。

普段無加工の自撮りに慣れている人でもない限り、自分がどんな表情をしてるかとか、口がどのくらい開いてるかとかって、案外脳内イメージとは違うんですよね。そもそも日本語はあんまり口を開けなくてもしゃべれてしまう、いわば「腹話術向きの言語」なので、口を開けていない自覚がないのも無理はありません。だって普段はそこが口を開く最大値だから。

自分の中では口を大きく丸く開けてるつもりでも、鏡で見ると実際は全然開いてなかった、なんてことはザラにあります。だからその現実を、鏡の前で私と二人でやっていくわけです。「置いてくるもの:恥」の理由がわかったかと思います。

可愛い・見やすい・分かりやすいと三拍子揃ったノート。
作:むぎちゃん (@picimobnic)

【3.Zumba】

冒頭のトラブルで2時間ほど開始が遅れたとはいえ、午前中の11時から16時くらいまでほぼノンストップで発音の話をし、口周りの筋肉を活性化し続けました。当然口が疲れたよね、じゃあ今度は体も動かさないとバランス悪いよね!ということで、夕方からは青空ズンバクラスで1時間みっちり踊り狂います。

この記事を書いている柑橘が、時折インスタでライブ配信やってたり、自らを「世話焼き妖怪ズンバババア」と名乗ったりしてはいるものの、「ズンバって何?」という人が万が一にもいるといけないので、ズンバの説明を引用しておきますね。

ズンバ (ZUMBA)とは、コロンビアのダンサー兼振り付け師であるアルベルト・ベト・ペレスによって創作されたフィットネス・プログラムの名称であり、世界的に有名なエクササイズである[1]
ラテン音楽を中心にして世界中の音楽で行われるダンスプログラムであり、クンビアサルサメレンゲレゲトンを必須の項目としてエクササイズが行われ、そこにマンボチャチャ、ソカ、サンバアシェミロンガ、バチャータなど他のラテン音楽、ヒップホップ フラメンコロック、タンゴジャズスウィング、ベリーダンスボリウッド (インド舞踊)などが加わる。さらに2016年からは JPOPが追加された。エアロビクスなどのその他のフィットネス、エクササイズプログラムに比べて、ダンスステップを基本としており、クラブなどでの「実用性」にも富み、それが昨今の人気に繋がっていると見る向きもある。
また、ズンバという言葉に特定の意味はなく、ブランド名として名付けられたものである[2]

wikipediaより

実はこれも、恥を捨てる訓練の一環。残念なことに「日本と違って」と言わざるを得ないのですが、こちらの人たちは「自分が周りからどう見られているか」を気にしない人が多いです。だから、「周りと比べてうまくできるかどうかじゃない、私が楽しいかどうか」という空間が出来上がっていて、すごく心身の健康に良いアクティビティです。筋肉だけじゃなく、自分軸まで鍛えられるなんて、最高ですよね。

単純に、青空の下でインストラクターの見様見真似をしながら体を動かして汗だくになり、芝生に寝転がった時の開放感は、体験した人にしかわからないものです。

そして何と言っても、その後のアイスがまた美味しいのなんのって。
「ダンスなんてやったことないし…」
「運動音痴なので…」
とかぐずぐず言ってる人、次の質問にもnoと言えますか?

罪悪感ゼロで最高に美味しい地元のアイス食べたくない?

【Review】

こんな盛り沢山な初日を過ごした生徒さんの声がこちらです。

今日は待ちに待ったゆずポン(@YuzuPonglish)主催のケア千に参加しました😆
1日目は母音の発音矯正をしました(私が質問をしすぎて子音まで行かず) 虹(グラデーション)に例えて日本人が発音に対して雑な認識をしている、ということを教えて貰いました😆
基準のIPA(あの発音記号です。私はIPAすら知りませんでした‥)のマスターのために鏡の前でゆずポンとお互いの口・舌の動きを見ながら発音を修整してもらいました! 参加する前に『恥』を捨ててこい!と言われた通りにまわりを気にせずとにかく練習した一日でした😆
正しい発音を練習して正しく聞き取れるようになりたいな!! 明日は子音・対話です、復習して寝ますオヤスミ!


ちはる@ケアンズワーホリ🦥
(@5nrEzUlePG92814)

全体的な生徒さんへの気持ちは最後に書くとして、ここで1つだけ言わせてほしい。

質問にしすぎはないし、そもそも開始が2時間遅れたのはうちのばーちゃんのせいやで!!!!!

当日の私の雑なふりかえりツイートはこちら。

🌟Day2:続き+英会話強化「即興を諦めて人事を尽くす」

2日目は流石に朝何のトラブルもなくスタートできました。みんなで泊まってるからね!車のせいで開始が遅れるなんてことにはならんのです。

【1.Consonants】

軽く朝ご飯を済ませた後は、コーヒーをお供に子音の練習をしていきます。

正直、こっちの方が難しいだろうな〜と思っていて、そこは想定通りでした。ただ、母音と比べると子音の違いの中には「まあこの辺りはネイティブの中でも揺れがあるし、今はできなくても大丈夫」というものもあります。

そもそも、前日初めてIPA(International Phonetic Alphabet)とかいうやつの存在や、有声音・無声音の違いを知り、自分がある音を作るときにどんな風に舌や唇が動いているかを意識した訳なので、詰め込みすぎというならもちろんそうです。でも、それが合宿だし、この合宿の目的はこの3日間で「全ての発音をできるようになること」ではなく、「正しい発音の知識と、その練習方法を身につけること」なので、ゴリゴリと進めていきます。

とはいえ、「聞いて再現してね」では意味がありませんから、きちんと日本語の似ている音と比較したり、母音と同じように鏡の前で練習したりと、より具体的な方法で標準的な発音に近づけていきました。

標準的な発音かどうかのチェックは、私個人の耳などではなく、AIを使います。私も愛用しているELSA speakという発音矯正アプリです。

人間と違ってAIは良くも悪くも忖度なしに発音を採点してくれます。そして、その発音に方言や国などによる偏りがありません。英語圏の特定の国や地域に強い憧れがあり、そこの人たちのようにしゃべりたいというなら現地の英語母語話者から発音指導を受けるのがベストですが、母語話者以外のいろいろな母語を話す人たちに通じる英語を身につけたいのであれば、やっぱり「英語の標準語」を身につけた方が良いので、随所でELSAによる発音チェックを入れながら進めていきました。

ちなみに持ち物を使ったのは昨日。こればっかりは参加しないとわかりません。

hの発音に苦戦を強いられたり、casualという単語の発音が、まさかの私を含めて誰一人としてELSAから合格をもらえずに3人でゲシュタルト崩壊を起こすくらいcasualを連呼したりと、意外なところの落とし穴に一緒に嵌まったりしながらも、一通りの子音を練習していきました。そして相変わらずノートが綺麗。羨ましい。

【2.Characteristics】

書記係に加えてシェフまでこなす多彩な友人による美味しいピザを食べた後は、「文章の中で起きる英語特有の発音の変化」を学んでいきます。

check it out って「チェッケラッ!」って聞こえるのなあぜなあぜ?みたいな話です。
この辺りを意識できるようになると、発音がグッと「英語っぽく」なるのは有名な話ですが、ただ「こう聞こえる!」をカタカナで言うのではなく、理詰めで「そうなる理由」を確かめていきます。

例えば、アメリカ英語ではwaterが「わらー」にしか聞こえないですよね。これは、日本語でいいので「た・た・た・た」「ら・ら・ら・ら」をゆっくり言ってみるとわかります。

「た」と「ら」って、口の中の動きがとても似てるんです。
今やってみてくれた人に質問です。「た」と「ら」では、どちらの方が発音するときに「強く弾く感じ」がしたでしょうか?

「た」だったはずです。
となると、waterを「うぉー"た"ー」ではなく「うぉー"ら"ー」と発音するのは、「た」になるほど舌に力を入れなかったから。発音をサボった結果という訳です。

この辺りの発音の癖は、必ずしも再現できるようになる必要はありません。やたらつなげて発音しても、むしろ伝わらなくてただカッコつけてるダサい人になってしまうリスクすらありますから。
この知識はどちらかというと、リスニングに役立つものです。こういう癖があることを知っておけば、知らない単語だと思ったものが意外と思っていたのとは違う発音で聞こえただけで実は知っている単語だった、なんてことがよくあるのです。

私の身に実際に起こったこの手の体験は以下の記事をどうぞ。

日本語でのこういう発音の変化にも触れつつ、最後は今までの学習を踏まえ、文章を英語っぽく発音する練習です。

今回の生徒さんもそうだったのですが、日本人英語を抜け出せない人の特徴の一つに、「単語単語を読んでいる」というものがあります。単語ごとの発音が丁寧すぎるんですね。

日本語はあまり単語と単語の発音が連結するという現象が起こりにくい作りになっているので、どうしても頭の中で1単語ずつ読み上げてしまい、結果単語と単語をつなげて読むことができなくなってしまいます。

画像の発音練習から例を出すと、④のtime of itを、「たぁい・も・びっ」と、単語とは似ても似つかない区切りで読む練習です。「たいもびっ」とひらがなでいきなり言われたらなんかのアニメのタイトルかと思ってしまいそうですが、実際こんな発音になっちゃうことは、リンキングという発音の現象を学んで、クジラ語で言ってみるとわかりますので、興味がある人はやってみてくださいね。

あ、クジラ語というのは、ファインディングニモでドリーが鯨に話しかけるのに使っていたしゃべり方です。英語の発音を学ぶのに重宝しますよ。

【3.Aqua Zumba】

一通りの発音学習を終えたので、使いすぎて熱くなった口を冷やすため、海辺にアイスを食べにいきました。向かう道中では、生徒さんの希望で「好感度を上げられるお願いの仕方」を伝授。アイス屋さんで私が実際に使って見せたりもしました。

その後はやっぱり頭と口と、首から上しか使ってないから首から下も動かさないと!ということでアクアズンバへ強制連行。水中で行う分、陸ズンバよりも強度は低く、音楽に合わせてゆらゆら漂うところが多めです。

【Review】

流石に2日に入って心身ともに疲れが出たようで、翌朝に2日目の振り返りを送ってくれました。口と頭を酷使した挙句、2日連続1時間の運動もしてるからね、当然。
ふたりともめーっちゃいい笑顔の写真もたくさん撮ったのですが、それは私のアルバムの中にだけにしておきます。著作権フリー(個人利用に限る)とか言ってる変人は私だけでした。

昨日は、子音を終わらせてパームコーブに行きました
道中は相手に不快にさせない丁寧な「お願い」の仕方を教えてもらいました。そして人生初のアクアズンバ!水温は思ったより高いし楽しかったなあ〜!またYMCAやりたいな!頭いっぱい使って体動かしていっぱい食べて充実した一日でした!

ちはる@ケアンズワーホリ🦥
(@5nrEzUlePG92814)

🌟Day3:実践力強化「これぞ本当の”修学旅行”」

前日までの2日はあまり「英語圏での合宿」っぽくはなかったかもしれませんが、2日間引きこもって強化した発音と、学んだ表現を実践する時間です。このために車を3日分かしてもらったと言っても過言ではない。
ということで、最終日の遠足の様子もざっくり振り返っていきましょう。

【1.Granite Gorge Nature Park】

ケアンズの奈良公園とはここのことです。鹿せんべいならぬワラビーチップスを$2で購入し、保護されているワラビーたちに自由に餌付けをして触れ合うことができます。

もう少しケアンズから近く、かつ有名なキュランダというところにあるコアラガーデン(小さめの動物園みたいなもの)にもふれあいコーナーはあるのですが、正直そこの子たちは狭いところに押し込められて、奇声を発しながら近づいてきては美味しくもない干草を差し出してくる人間たちにうんざりしているので、人間立ち入り禁止エリアから出てくることは滅多にありません。

しかし、こちらの自然公園のワラビーたちは、特に制限もなく自由に動き回れる上に、自然の生息環境に近い岩場でほぼ放し飼いになっているので、動物園とは違います。

やたら食いしん坊なのが1人いました。

ね、奈良公園みたいでしょ。

ここの景色は、まさに「悠久の大自然」
エアーズロック改めウルルに代表されるオーストラリアのイメージそのものです。
超暑い日の超暑い時間帯に行ったので、完全に貸切状態でした。最高。
暑かったけど。

君らがワラビーみたいだよ
この後背中の格子模様にしっかりガッツリ日に焼けてた。

ただの観光やんけ!という声が飛んできそうですが、聞いて驚け、車内でもこの渓谷の探検中も、終始話題は英語の発音の特徴とその練習。

新しい看板なんかで英語を見るたびに、2日間の知識を総動員しながら綺麗に発音していくという、写真ではわからない「発音漬け」なのです。

【2.Skybury Cafe & Roastery】

野生動物とのふれあいと、悠久の自然の一端に触れた後は、私イチオシのカフェでランチ&学んだ英語表現を実践へ。コーヒー農園が経営しているカフェで、コーヒーはもちろんのこと、同じく栽培しているパパイヤを使った料理にも定評があります。
バルコニーにあるブランコにゆったり揺られながらアサートン高原をぼんやり眺めていると、「ああ、私が求めていたのはこういう休日だったんだな」としみじみ思わずにはいられません。

めでたく彼女のLINEのアイコンになりました。

スタバみたいにグッズ展開もしているので、ちょっとTシャツを見たりコーヒー豆製品を見たりして、ようやくお昼ご飯を決めます。

後ろに山盛りになってるのがグリーンパパイヤサラダ。めっちゃ美味しい。
チーズバーガーももちろん美味しいんだけど。けど!

美味しいランチにそれぞれ舌鼓を打ち、いやーいい合宿だったね〜!と帰路へ……
じゃないのよ。本当の"修学"旅行だっつったろ。
一番大事な「実践」をするべく、表現と発音のおさらいをしていきます。

今回彼女にミッションとして課したのは、
「半端な数のスイーツをお願いすること」

実は私も生徒さんも、一度ここへきたことがあり、このお店のスコーンの大ファン。そして今回お手伝いに来てくれている友人も、お菓子作りが好きで、このスコーンを楽しみにしてきました。

が。このお店のスコーンは通常2つで1皿。

右上が通常のスコーン。2つとクローテッドクリーム、そしてパパイヤジャムです。

私たちは3人。3皿頼むほどの余裕は胃袋にないし、2皿頼んで4つになってしまうのであれば、そのスコーン1つ分のスペースに違うスイーツをおさめたい……!!たすけて、ゆずえも〜ん!!!

テッテレー!!
ちょっと聞きにくい事を丁寧な言い方で店員さんに尋ねる表現〜!!!

Would there be any chance of ~ing…?
ひょっとして〜してもらえたりなんかしませんか??

訳は筆者による

すみません、一気に1万文字以上書き続けているせいでついに脳みそがランナーズハイならぬライターズハイになってしまったようです。続けます。

メニューにないカスタムを頼むのって、ちょっとハードルが高いですよね。日本語で、よくいくお店とかならまだしも、英語でとなるとなおさら。
てことで、ミッションとして最適な訳です。
ちょっと緊張するくらいじゃないと、挑戦にならないからね。

カウンターに注文に行く前に、席で小声でロープレを繰り返し、いざお願いしにいきます!

ミッション中の生徒さん(撮影:私)
を、撮影する私(撮影:友人)
映ってないけどすっごいニヤニヤしてる

お店の人もとてもにこやかに対応してくれていて、一安心で見守り撮影をしていました。

この写真がその結果を物語っています。

クリームとジャムまで一人一つサービスに添えてくれました。
Mission Complete!

【3.Zumba】

さあ、晴れて最終目標のミッションも達成!
じゃあやっぱり食べた分動いて帰らないとね!!!

ということで、最終日までズンバ漬け。3日目の今日は陸でした。
本当は3日目は遠出で疲れてるだろうし、ゆっくりしようと思っていたのですが、なんか振り切れちゃったみたいですね。

【Review】

3日目の生徒さんの声がこちら。

3日間を終えての感想も長文(連投ツイート)にて寄せてくれました。

合宿に参加するまで、かな〜り発音には苦手意識がありました。
学生時代ノートに写し続けた謎の発音記号…永遠に言えない「sir」「certainly」…諦めた記憶しかありません。
そして『この発音あっているのかな?通じているのかな』といった不安と、これまでの自分の英語が通じなかった恐怖から、いつも不安で自信0の状態で会話していました。
ですが今回合宿で発音の基礎をしっかり丁寧に教えてもらったこと、間違えても絶対に笑わない、出来るまで手伝ってくれるので安心して発音練習に集中することができました。
ケア千の合宿を終えて私の今の発音はまだ完璧ではないしこれからも練習を続けていかなければいけないです。必要なのは反復練習と実践練習の回数だと思います。
合宿に参加する中でかなり「恥」自体も捨てられたと思うし、覚えた単語、表現、発音を使って、もっと積極的にコミュニケーションをとりたいなあ!と自信がわきました。 ちなみに、フレンドリーな店員さんとおしゃべりしたり広大な自然に生きる動物たちを観察したりとオーストラリアに住んでいることを再度実感する合宿でもありました。

ちはる@ケアンズワーホリ🦥
(@5nrEzUlePG92814)

【以心伝心といわず一筆入魂】

なんで英語合宿の見出しが四字熟語もじり遊びパーティーになっちゃったんですかね。まあいいか。でもそのせいで章立てごとの中身がわけわかんない感じになってる気がしますが。

この章では、私から見た生徒さんの変化を、忖度なしにぶちまけていきます。好き勝手、もとい章題通り魂を込めて書いたので、当人がお怒りにならないことを祈るばかりです。本人以外は飛ばしても問題ありません。ちょっとクサいこと書いてる自覚もあるし。あーあ。でもこれが本心なので、遺します。ちはるちゃんへ。

ぜんぶ手にいれる!!!

この合宿の3日間ずっと、なんというか、この一言に集約されるような、とんでもない気概を感じていました。そしてこれは、知り合った頃の彼女にはなかった貪欲さです。

知り合った当初は、それこそ「私は大丈夫だから」と一歩引くところのあるような、まあ有体に言えばお行儀よくしてるような、”いい子”という印象がありました。そうやってやりたいことを我慢して、鬱憤を勝手に溜め込んで、我慢しない人を見て勝手に苛立って、でもそれを解消する方法もわからないし人にぶつけるのは”いい子”のすることではないので、飲み込んで、消化しきれなくて、押し込み続けて、扱いきれなくなって爆発して、処理できなかったことにまた自己嫌悪に陥る。この繰り返し。よくある自意識過剰ちゃんです。

冒頭から悪口がすぎるって?
まず第一に、私もそうだったからわかる。下手したら彼女以上の羞恥心強め自意識過剰完璧主義者だったのでね。
第二に、彼女はもうこの負のループを抜け出しつつあるから、わざと煽るような言い方をしています。笑い話にしてやろーと思って。
実際何回か本人にも直接言ってます。
「自分の人生に大して大きな比重を占めるわけでもない、今たまたましばらく一緒に過ごすことになっただけの人に対してそこまで自己犠牲できるなんて、あんたも暇だねー!私にはとてもとても無理だわ」と。

でもこれももう、昔のことです。
この合宿での3日間、彼女はずーっと「なりふり構わずちゃんと全力でガッついて」いました。この合宿のテーマである発音に限らず、36時間、「自信を持って英語を話したい」という彼女の欲望に全神経を集中させているように見えました。
塾講師時代の受験生たちにお手本として見せたいくらい。「寝ても覚めても、自分の決めた目的のために過ごすってこういうことだよ」と。

合宿自体の時間割をざっとでも読んでくれた物好きな方はもうお気づきかもしれませんが、3日間とも、夜は授業をしませんでした。ゆっくり体を休めるもよし、シェアハウスの面々と交流するもよし、と、特に何も設定はしなかったのです。でも、彼女は暇さえあればその日のノートを取り出して鏡の前で練習を繰り返し、隙あらば私のとこに来てうまくできない部分のアドバイスを求めてくれました。そう、合宿前日にお願いした通り、きちんと恥を置いてこの合宿に参加してくれたのです。……置いてくるどころか、「かなぐり捨てる」の方がしっくりくるかな。

上手にできなかったらどうしよう、とか、今話しかけたら迷惑かな、とか、この質問は"ちゃんとしてる"かな、とか。
そんな無駄な自意識など一切なく、自分が望んだもののために、自分勝手に練習し続ける彼女は、本当にかっこいいなと思いました。まさに無我夢中ですね。四字熟語最高。

だからこそ、当然のように発音は上達したし、今までの彼女であれば飲み込んでいたワガママも、英語で、人に伝えることができました。
その結果が、モリモリのクリーム付きスコーンとあの笑顔です。みんなには絵文字でしか見せれてないけど。

忘れないでね。
一点の迷いもなく「やり切った」と思える時間を重ねることが、成長と自信につながるんだよ。
無我夢中って、かっこいいんだよ。

少なくとも、私はそう思います。
他の奴らがどう思うかなんて知らん。私がかっこいいと思うものが私の世界ではかっこいいものなのです。そして彼女は間違いなくかっこよかった。

真剣に向き合ってくれてありがとう。

【閑話休題ならぬ本音吐露】

あとがきなんで、あとがきらしくダラダラ喋らせてもらうことにします。

人にはそれぞれ、鵜呑みが得意な分野と、そうはいかない分野というのがあると思っています。だからこそ、いろいろな分野に置いて、「なぜそうなるのか」という仕組みの話は、好き嫌いが分かれます。だって別にそれ知ってたって、出来るようにならないじゃん。興味がないもの、私を例に挙げるなら、複雑すぎる機械とか料理とかに関しては、この考えです。動けばいいし、美味しければいいよ、と、そこまで掘り下げるだけの情熱も関心もないし、持とうと思ったところで持てません。だからシェアメイトの作ってくれるご飯に心底感謝もできる訳です。

だけど、真摯に向き合いたいと思ったものや人のことは、やっぱり「知りたい」「分かりたい」と思うものですよね。途中で全然理解できないところや、うまくできないところが出てきて、「あーヤダヤダ、やーめたっ」っていっとき投げ出してしまったりすることもあるけど、またしばらくするとそんな「ほったらかしにして、逃げっぱなしの自分」の方が嫌になってきて、だーちくしょうめ!と思いながらもまた出来なかったところに取っ組んでいく。

私にとって英語は、上に書いたような、切っても切れない腐れ縁みたいなものです。何度うまくいかなくても、自分の英語が通じなかったり、聞き取ってもらえなくて傷ついたりいじけたりしちゃうことがあっても、たまに訪れる「できた!」の快感がやっぱり忘れられなくて、またぐずぐずぶつぶつ言いながらも調べたり練習したりを繰り返しています。

英語と真摯に向き合いたい。
通じればいいと思ってきたけど、ちょっと欲が出てきた。
ちゃんとできるようになりたい。

この合宿は、そんなふうに、英語と本気で付き合おうと思った、過去の私みたいな人のために作りました。だから、生徒さんがそれを真剣に受け止めて、英語に真摯に向き合ってくれたことが、私は何より嬉しかった。

ポケトークだの、AIだの、Google翻訳にChat GPTだのと、「別に英語が喋れなくても英語圏での旅行くらいならなんとか行ってこられる時代」の中で、英語をやらなきゃいけない理由も、やったところで得られる利益も、昔に比べたら遥かに希薄になっていると思います。難しいのに特別なことじゃなくなっちゃった、というか。"わざわざ""いまさら"英語を一から勉強するくらいなら、それこそITとかAIの勉強をして、そういう現代の科学技術の結晶を使いこなせるスキルを身につけた方が、分かりやすく役に立つ人材になれるでしょう。同感です。

でも、私たちの身の回りがどんなに便利になっても、万能に思えるような道具が生み出されても、それらを使っているのは人間です。そして私たちは、心とか思いとかいう、目には見えない、体や行動にその一部しか表出しない何かを持っています。さらに面倒なことに、「わかってほしい」なんていう欲も持ち合わせている。これを伝えようと思った時、そこで選ばれる道具は、ことばだと思うんです。

苦労しても恥ずかしい思いをすることがあっても英語の勉強をやめなかったから、今この人と直接言葉を交わして、笑い合うことができた。

他にも色々あるけど、これが私の英語への原動力だったりします。コロナの後押しもあって、いろいろなものがリモートに、間接的になっているけれど、やっぱりメールより電話、電話よりビデオ通話、それよりも直接同じ時間と場所を共有することの方が密度が高いし、これだけ便利になっても、人は誰かに会いに出かけます。どの形であれ、人と人が言葉を交わす、この直接的な行為がなくならないことは、人がそれを必要としている何よりの証拠なんじゃないのかなと、思う訳です。

「できた!」って、すごく幸せな感情で、私がそれを味わうのに選んだのが英語、ひいては言葉だった、という話です。

てな訳で、この合宿は今後も「英語と真剣に向き合いたい!」「自分大好きは無理でも、自分が嫌いにならない私になりたい」なんていう、英語迷子や自分迷子の人のために続けていきます。

本気で変わりたい人は連絡ください。本気で応えます。

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