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カタカナ脳が自滅した話〜慣用表現沼に沈んで〜

【Preface】

Hello, from Cairns! 
日本で極寒を生き抜くみなさまこんにちは。常夏の柑橘ことゆずぽんです。
ケアンズは絶賛閑散期で、日々の生活もちょっと心配になるくらいにシフトが少ないですが、「じゃあ記事書く時間取れるってことや〜ん!」とおひさまもびっくりの明るさでこれをしたためています。

YouTubeも始めたし、現地のワーホリさん向けに英語の自習会も開催してるし、2ヶ月ぶりに青空ズンバも帰ってきたので、仕事がなくたってやることは尽きないのです。よければチャンネル登録よろしくお願いします。ニッチなケアンズを紹介していくチャンネルです。あともう1記事くらいは前書きでyoutubeの紹介をさせてもらいますが、もうちょっとしたら後書きに慎ましく書くくらいにとどめますので、何卒ご理解くだされ。相方くんの編集力とイラストレーターちゃんのデザイン力が高くて言いふらしたい気分なんだこちとら。

相変わらずだらだらと長い前置きもこの辺にして、今日も仕事中に体験したリアル言語体験を綴っていこうと思います。


【I'm loved by mozzies.】

突然ですが、皆さんは蚊に刺されやすい体質ですか?私は最強最高のアイドル様もびっくりの人気者です。蚊界で。どうせなら人間界でこのくらい求められてみたいものですが、などという戯言は置いといて。なんでもかんでも略したがりのオージー英語では、mosquitoも略すのです。mozziesと。1音分くらいしか変わらんやんけ。

でね、職場で私だけいっつも蚊に刺されるんですよね。同僚なんか、「この時期に蚊なんていない(だから刺されるはずない)」などという始末。だから、この日も洗車開始30分後の私の足を見せてやりました。

I've already got FOUR mosquito bites, just on my left leg!!
もう4箇所も刺されとんねん、左足だけな!

もともと日本でも割と刺されるし腫れる方だったのですが、耐性がないからなのか、こっちで刺されるとまー痒いし長引く。最低2週間くらいは思い出したように襲ってくる痒みと戦わねばなりません。

だからまあ、しょっちゅう私が言っている冗談があります。

I'm your repellent! 
私は君の虫除けだよ!

【You're a ギニピー!!】

そんな話をしていた時のことです。店長が私に向かって突然謎の単語を発したのは。

ぎにぴー????私が???

知らん単語が出てくることも、それを説明してくれることもままあることではあるので、私が何それ??と聞くと教えてくれました。

ギニピー is someone who does something first.
何かを最初にする人のこと

pioneer(開発者・先駆者)みたいなもんか?とそこでは理解して、一応仕事中なので休憩時間に調べてみることに。

で、出てこない。

ただ、休憩中も店長と同僚がギニピー問題に付き合ってくれ、「そもそもなんで俺らは1番手のことをギニピーって呼ぶんだ?」と、まさかの向こうが好奇心をそそられてくれたのです。

I thought we call those who do something first ギニピー because they are normally used in some medical experiments before a trial on humans.
私が思ったのは、最初に何かする人のことをギニピーって呼ぶのって。人間で試す前の医療実験に彼らが使われるからじゃない?

いつも通りうろ覚えの再現ですが、おかげでどうやら「ギニピー」が先駆者というよりは実験台だということが文脈からわかり、スペルも聞いてようやく「ギニピー」の正体が判明しました。

Guinea Pig:モルモット

いやピッグって言ってたんかい!!!全然最後のgいってないやん、てか伸ばしてただけじゃん「ぴー」って!もうちょっとでいいからgの存在感出してくれ頼む、いやGとも呼ばれる害虫お前らは呼んでないぞcockroach。

何が悲しいって、ここでの私は完全に「ギニピー」で1単語だと思ってたんですね。だってゆっくり言ってくれてもやっぱり聞こえたんですよ、ギニピーって。ギニー ピーッとかだったら、まだ違ったのかもだけど。ちくしょうリンキングめー!

もちろん私がモルモットの英語版を知らなかったのが最大の敗因です。モルモットは日本語カタカナ読みだけど、marmot(マーモット)が英語圏でも通じると勝手に思い込んでました。これオランダ語なんですね。

確かに日本人もモルモットに「実験台」のイメージはあるよね。同じ動物に同じニュアンスの代名詞として使ってるのに、呼び名が違ったのでした。

ただ、1つ前の章でお話ししたように、「私が生贄のように一人だけ蚊に食われる」という状況は、厳密な「実験体」という意味でのGuinea Pigではもはやなくなっているなあと無駄に感心したのでした。誰も実験してるわけじゃないし。
もう少しふんわりと「集団の中で1人だけ何かの対象になる」みたいな、「実験体」から、「一番手」へちょっぴり意味がズレたような感じだなぁ、と。日本語での「モルモット」は、一番乗り的な感覚はなく、完全に「実験体」でしかないので、それと比べると英語のGuinea Pigは意味範囲が広い気がします。

【Why are they called Guinea Pigs?】

じゃあなんでモルモットは英語圏で「ギニアのぶた」という名前で呼ばれてるの?

これが次なる問いだったので、言葉遊びみたいな文で検索してみましたとも。

Why are Guinea pigs called Guinea pigs?
なんでギニピーはギニピーって呼ばれてんの?

いくつか記事やら何やら読みましたが、結論としては、

ギニアの固有種でもなければ、豚科にも属さないよ!

真実は何処に……。まあ齧歯類だしね、彼ら…… レッサーパンダもパンダとか呼ばれてるけど熊科じゃないしね……別の言語になったときに、間違って流入してそのまま定着しちゃうことって多々あるんですよね。

てことで、こいつらが英語圏で「ギニアのぶた」と呼ばれるようになった理由はいまだ「諸説あり」のままらしいのですが、通説になっているのは、

・英語圏(ヨーロッパ)に流入した時にアフリカの代名詞(遠いとこ)としてギニアが使われて、一般の人がこの生き物がギニア産だと勘違いした
・もともとアフリカでは家畜だったことや、その鳴き声、姿形が豚っぽかったから「〇〇なぶた」と通称で呼ばれていた(これは他のヨーロッパの言語でのモルモットの呼び方にも共通してみられる特徴)

て感じみたいです。詳しく呼んで見たい方はこちらの記事がおすすめでした。

【Postscript】

というわけで、日常会話よりも試験問題とか、アカデミックな英語に注力してきた人間の末路、「ぎにぴーってなんやねん」をお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

慣用表現って、本当に学習者泣かせなんですよね。日本として英語を使って生活しているときも、日本語での慣用表現であることを意識せずにうっかり直訳してしまって怪訝な顔をされることは時折あります。首を突っ込むとかさ、厳密には突っ込んでるの頭じゃね?首だけ突っ込むってだるま落としみたいに首だけすっぱ抜いたんかい、とかね。

ただ、こういうところの違いに気づいたり、とある単語のルーツを辿るいいきっかけになったり、醍醐味でもあるんですよね。
「同じであること」を前提に他人と相対してしまうと、そこには「わかって当然」と、「なんでわかってくれないの」の減点方式しか存在しません。
でも、「異なること」を前提に人と接してみると、世界は打って変わって面白くなります。「え、そこ一緒だったんだ!」という嬉しい驚きと、「わかってもらえた」という喜びに溢れるから。

メールも電話もするのにこのご時世に文通までしている友人からの一言を紹介して、今回の記事は終わろうと思います。

こちらの心の持ちようと行動次第で世界は本当に色んな顔を見せてくれるなぁ

May you be yourself.
See you later.

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