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世界が我が家にやって来る!~「非日常」が「日常」の宿 ポンギー ~


日常と非日常なんて線引きできるものでもないし、誰かの非日常が他の誰かの日常になってることもあると思います。

アマゾン奥地の原住民が毎日森で狩りをしてヤシの葉の屋根で寝るのは、我々日本人としてはものすごく非日常だけど、

彼らにとっては満員電車で会社に行って、エレベーターがあるマンションで寝る生活は想像できないのではないかと思ったりします。

「普通」とか「一般的」なんて言葉もそう。

でも、ポンギーの日常は、明らかに普通の一般的な家庭にはない「非日常」なのではないかと思ってます。

私は金沢にある3部屋のみ(定員10名)の小さな宿、ゲストハウス ポンギーを営んでいます。

2009年にオープンしてから13年間、2022年の今までに約100ヵ国から国内外あわせてのべ3万人ほどのゲストさんをお迎えしました。




ポンギーの日常ってたぶん非日常的な生活なんだと思う


この宿を営んでいる生活がどんな感じかと言うと。。。

朝起きて寝ぼけまなこで2階のスタッフルームから1階の洗面所に降りていくと、もうすでに歯を磨いてるふわふわ巻き毛のフランス人男性からにっこりと「ボンジュー」のあいさつがあり、

そうこうしていると、早朝ランニングしてほほを紅潮させて帰ってきた青い目のアメリカ人の若者から「グッモーニン」と声がかかる。

6人座れる大きめのコタツでは冬なのに半袖のスペイン人の男性と九州からきた日本人の女性が、お互い母国語でないブロークンな英語で何やら楽しそう。

その隣のちゃぶ台がある部屋では、眼鏡をかけた笑顔が素敵なオーストラリアのご婦人が緑茶をすすりながら英字新聞で自分の国のニュースを見てる。



これがポンギーの日常なのです。

こちらから行かなくても、世界が自分の家にやって来てくれるのです。


コロナで外国の方がパタッと来なくなって、交流型ゲストハウスに泊まる人もぐっと減りました。

2022年の今はだいぶ雰囲気は違うのですが、オープンして 11年間はこんな感じでした。

当初は、まさかこんな風景が自分の家の中で繰り広げられることになるなんて夢にも思ってませんでした。

日本人はもちろん、外国人でも宇宙人でもOK!
という気持ちでやってきたら、いつの間にかこのようになってたのです。


外国人用のシェアハウス(みんなで家やマンションの一室をシェアして一緒に住むところ)も同じような感じだと思います。

でも、ポンギーでは長期滞在の方は受け入れていません。
みなさん1泊~2泊 で、「一期一会」の出会いの方がほとんどです。

例えが合ってるかわかりませんが、感覚的には、

「山手線の中では知らない人と話さないけど、ポンギーに来たらみんなお友達!」なのです。



一期一会の出会いだからこそ深い会話もできたりするのです


毎日、入れ替わり立ち替わり外国人や日本人のゲストさんが家の中にいます。


宿なんだから、そりゃそうでしょ。

と言われればそれまでなんですが、

ポンギーは自分たちが住んでる家を宿として提供しているので、自分もそこで生活してます。隠れる場所がほとんどありません。

(ゲストさんにとっては、ジジイが家の中にいてうっとおしいかもしれませんが。。)

ゲストさんにとっても、カーテンで仕切れるベッドや個室以外の場所は他の人との交流の場所になるわけです。

でも、それだからこそ短期間でも、いえ、短期間だからこそぐっと仲良くなったりする のです。

旅先で出会った人と深い話をしたことある人もいると思います。
一期一会の旅人同士だからのことですよね。


ポンギーは小さな家なので、ゲストさん同士が仲良くなりやすいし、我々スタッフもゲストさん同士を紹介します。

なので、今までとっても仲良かった友達のように、場合によっては家族みたいになるのです。

なんか、世界がポンギーの中にぎゅっと入って家族になる 感じ。

これって、あんまり日常的ではないと思うのです。

でも、これがポンギーのいつものことなのです。




自分と違うものを尊重する。コミュニケーションってやっぱり大事


世界中、日本国中からゲストさんをお迎えして思うことがあります。

人って、国や文化や習慣が違っても、ハートはみんな同じ

ということ。そして、

人って、コミュニケーションが大事

ということです。


ポンギーにはドミトリー(相部屋、2段ベッドが2つ)があるんですが、
それこそ、いろいろな国、いろいろな考えの方が一緒に寝泊まりします。

でも、隣のベッドでイビキをかいてる人がいても、

「あっ、彼は小さいころに見たアニメで日本に憧れて、一生懸命働いてようやく日本に来たんだなぁ。長旅にもかかわらず今日はたくさん歩いて観光してたから疲れてるんだろうなぁ」

とか、

誰かのベッドで朝早く目覚まし時計が鳴ってても
(みなさんにはなるべく小さな音にしてね、と言ってますが)、

「彼女は、ふだん夜勤でがんばってるんだっけ。昨晩は朝の兼六園を見るんだ!って目を輝かせてたなぁ。がんばって起きてね」

とか、人に対して寛容になれるんだと思います。


なので、やっぱりコミュニケーションは大事だと思ってます。

みんな英語で話すんですが、母国語でない人もたくさんいるのでもう文法も何も関係ありません。

私などは中学英語を思い出しながら、ともかく相手の想像力に期待して単語を投げかけてます。

それでもなんとかなってます。


自分にとっての非日常が、他の人の日常かもしれないし、その反対かもしれない。

だからこそ、お互いを尊重することが大切 かと。
自分と違ってても、相手の存在は大切です。


もちろん、迷惑なことをしてきたら、断固NOと言いますよ。

宇宙人がネバネバした足で泊まりたいって言ってきたら、
「まずネバネバをとってみんなの迷惑にならないようにしてね」とお願いはしてます。



一人ひとりが尊重し合うこころの延長線上に世界の調和があると思う


今、世界はますます きな臭く なってきてます。

でも、きっと世界の調和の原点はこの小さなポンギーのような、一人ひとりが尊重し合うこころの延長線上 にあるんじゃないかなと感じています。


世界がやって来る、非日常が日常になってる宿。

金沢の小さな宿ですが、人のこころにふれる宿としてこれからも続けていきたいと思っています。

紛争がなくなり、コロナも収束してはやくこの非日常の風景が戻ってきますように。



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