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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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記事一覧

【短編小説】蛇と朝

 人が寝ている。  通路のど真ん中で。  これが自分の生活圏外だったら素知らぬふりして素通…

【短編小説】ただ一人、静かに。

 小雨が降り続いている。  ノアもラスターも、「雨宿りになるような場所」を探す目的を忘れ…

【短編小説】宗教

「クラテラのユーザー、サービス終了のこと長期メンテって言って騒いでるの運営に失礼だと思わ…

11

【短編小説】ヒョウガと肉を食わない娘

 床に皿が叩きつけられる。ヒョウガがびくっと体を震わせた。女は首を横に振った。床に皿の破…

5

【短編小説】赤い空の下で

「死ぬかと思ったよぉおお!」  魔物退治に失敗した魔物退治屋の女が、アカツキに担がれた状…

5

【短編小説】ワインパーティー

 酒場・髑髏の円舞――。  その席の片隅でノアとラスター、コバルトはボックス席の片側にぎ…

7

【短編小説】願望

 彼女のことは、嫌いではなかった。話をしていて楽しいと感じていたし、底抜けの明るさに救われたことも多々あった。それはきっと俺だけではなくて、俺と一緒に旅をしていた魔法使いと盗賊にとっても同じだろう。特に魔法使いは同性ということもあって、彼女――ヒロインとは、とても気が合ったほうだから。  ヒロインはとても正義感が強く、また同時に行動力を兼ね備えていた。街の人々は彼女のことを「勇敢」だと褒め称えていたのだが、一行のリーダーである俺(巷では「勇者」なんてあだ名がついていたけれども

【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 4話(最終話)

「地区の医者はもう手が塞がっています」 「中級程度の治癒の魔術なら展開できますが……」  …

5

【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 3話

 ――数刻前。  地区の店はコガラシマルにとってちょうどいい。澄んだ冬の空気を思わせる肌…

3

【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 2話

 紅茶に湯気が立つ。  ヒョウガはどこか落ち着かない様子でレモンのはちみつ漬けを浮かべる…

5

【短編小説】己が信ずる夜明けへ向かって 1話

 庭先で趣味の園芸をしていたラスターは、こちらにずんずんと歩を進めてくる影に飛び上がりそ…

7

【140字小説】モテ男

   亀と鰯が話をしていた。二匹はそれぞれ陸と海の学校に通っているが、大変仲が良かった。 …

5

【140字小説】元気をサポート

 眼鏡が壊れた。ド近眼の私は、眼鏡がないとなにも見えない。突然のことだったが夫が代わりに…

4

【短編小説】恋の矢印

 少女漫画にあこがれた。大好きな彼氏くんのために手編みのマフラーを編む主人公にあこがれた。不器用ながらも一生懸命にマフラーを編む主人公は、時折編み棒を指に突き刺しながらもシンプルなマフラーを編み上げた。だけど表面はボコボコで、お世辞にも綺麗とは言えない出来。学校に持ってきたところまではいいものの、こんな不格好なものを渡すのは失礼だと感じて渡すのを諦める。が、それを目ざとく見つけた彼氏くんは主人公の前でマフラーを広げて「サンキュ」と言ってそれをつける。  ありきたりといえばあり