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【ショートショート】革命【スライダーの偉大な滑り方】

   革命

 スライダーのてっぺんから、スライダーキングは勢いをつけて出発する。ひゅん! とあっという間に滑り落ちていったが、特筆すべきはその体勢。堂々と両手を挙げ、しかし繊細に重力に従う。滑り終わりは勢いをゆっくり殺して立ち上がる。
 まさに王の風格。平民は思わず「俺にも偉大な滑り方を教えてください!」と頼み込んだ。
「うーむ。教えてやりたいのはやまやまだが、これは危険な技だ」
 ごくり、と生唾を飲み込む平民。しかし彼は諦めなかった。
「大丈夫です、頑張ります!」
「そうか……ではまず授業料として」
 すると突然、背後からゲンコツが飛んできた。
「このバカタレ弟!」
 女性は更に、二発ほどキングを殴った。
「年端もいかない子供に金せびってんじゃないわよ!」
「ひ、人聞きのわ……」
「やかましい!」
 女性はキングの首根っこを掴んで、彼を引きずって行ってしまった。残された平民――幼稚園児も、程なくして母親の声の方へと走って行った。


 毎週ショートショートnote
 お題「スライダーの偉大な滑り方」
 文字数409字



(こっそり宣伝)
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