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【設定資料】賢者の剣-奇才が遺した魔道具-

(ノアの本棚に「賢者の剣-奇才が遺した魔道具-」という本がある。賢者の剣の存在自体がファンタジーであるが、この書籍では大真面目な解説がなされているようだ。装丁も随分と重く、お堅い本だと分かる)


はじめに

 魔術を発動させる際には媒介となる魔道具があると便利、というのは今更語るまでもない。この魔道具は戦士なら武器の形を、料理人なら調理道具の形を――と、魔術を何に扱うかによって道具の種類は変わる。
 魔道具は、魔道具専門の職人の手によって作られる事が多い。しかし、あの有名な大賢者、カルロス・ヴィダルが遺した「賢者の剣」は魔術師のみならずトレジャーハンターをも巻き込んで懸命な捜索が行われているのだ。
 そもそも賢者の剣とは何なのか、そして、どうしてただの魔術師が作った魔道具がこれだけ注目されているのかを、紐解いていきたい。

そもそも賢者の剣とは

 賢者の剣は、カルロス・ヴィダルが作った魔道具のひとつである。彼は生前、彼の子供たちにそれぞれ一つずつ魔道具を与えた。その中でも長男のノアのために作った「賢者の剣」は、カルロス・ヴィダルの知恵の全てがつぎ込まれている可能性が高い。カルロスには六人の子供が居て、その中で最もカルロスに近しい形でカルロスの才を受け継いだのが長男のノアなのだ。
 尚、賢者の剣は「つるぎ」ではなく「けん」と読む。これはカルロスのこだわりで、理由は「韻を踏んでるみたいでかっこいいから」と生前本人が語っている。

賢者の剣の特徴

 カルロスが遺したヴィダル定理の証明記述欄に、賢者の剣のみならず子供たちへのプレゼントになった魔道具のデザイン案がある。
 それによると、賢者の剣は非常に難産だったらしく様々な絵画や小説を参考にしてアイディアを練っていたようだ。
 ただしここで見るべきはデザイン案に書かれた材料である。この世全ての魔力を宿すとされる希少な四彩石をあっさりと柄にはめ込み、スノープラチナで装飾。刀身はオリハルコンの上位素材であるプリズムオリハルコンを使用している……と、まるで子供が書いたファンタジー小説に出てきそうな設定が大真面目に書かれている。この希少素材の詰め合わせセットであることも、賢者の剣が狙われる原因である。
 尚デザイン案はいくつかあるが、カルロスがどれを採用したのかは分かっていない。

賢者の剣の在処

 さて、ではその「賢者の剣」の所在が分かっていない理由だが、カルロスが息子へ賢者の剣を贈る前に病に倒れ、肝心のノアが父親の死に目に会えなかったからである。
 カルロスはノア以外の誰かの手に「賢者の剣」が渡ることを嫌がったため、世界のどこかにこれを隠した。彼の生前の言動や、確実にノアの手に渡るようにしたいという願望から、

・カルロスの生活圏内
・家族の生活圏外
・古代遺跡の奥

 ではないか、という予想が立っている。
 かつてカルロス・ヴィダルの墓を暴こうとしたトレジャーハンターがいたが、カルロスが生前にかけていたらしき魔術のせいで彼はナメクジに姿を変えられてしまった。この変化魔術は独自の術式を用いていたため魔術協会の賢者ですら歯が立たず、彼を元の姿に戻すのに半年かかったという。このことから、カルロスの墓には手出しができないのだが、だからこそ逆に賢者の剣がそこに眠るのでは、と考える者も多い。


気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)