見出し画像

【設定資料】魔女と神と信仰


 ここでは三大宗教に関しての解説をしていく。
 まず三大宗教とは

 ・旧ヒュラス教
 ・新ヒュラス教
 ・邪神正教

 の三種であるが、邪神聖教ではなく「精霊神道」を置く派閥もある。

 さて、三大宗教を理解するためには、原初の魔女の物語を知らないと話にならない。なぜなら三大宗教はすべてこの物語を軸にして派生した宗教であるからだ。
 原初の魔女の伝説についてはご存知の通りかと思われるが、軽く解説をしておこう。
 昔、人々が魔力を持たなかった頃。国々の争いに疲れた少女が神に「争いを終わらせてください」と願う。その願いを聞き入れた神は少女に争いを止める力・魔法を与える代わりに、世に魔物を放った。という話だ。

 ヒュラス教(新旧)は「魔法を授かった魔女(聖女)」を信仰する宗教であり、邪神正教は「魔法を授けた神」を信仰する。

・旧ヒュラス教
 「穏健派」とも呼ばれる旧ヒュラス教は、世界で最も信者が多い宗教である。原初の魔女を「聖女」として神格化している。聖女は争いを止めた後、各地を巡る旅に出るのだが、この旅路を記録した書物がヒュラス教の聖書である。勤労に励み、決して怒りに身を任せることはなく、他人を許し、すべての人と手を取り合う。この教義を「きれいごと」と言って蔑む者もいる。一方で、全ての人を平等であり対等と見ることからアンヒュームへの差別的な考えは薄いが同時に配慮も薄いことが多い。
 週に一度、聖女に祈りを捧げ、聖女に愛されるような行動を取ることができていたかを懺悔する。

・新ヒュラス教
 魔力を持たない人間・アンヒュームが出てきた頃に旧ヒュラス教から分離した宗教。聖書の「すべての人」にアンヒュームを含まない解釈をしているため、アンヒューム排斥過激派がちらほら見られる。が、教典には「聖女の救いから零れたアンヒュームを救うために、聖女に救われる我々が彼らを導く必要がある」とあり、「アンヒュームを消そう」とは一言も書かれていないのである。
 聖女が救える人間には限りがある。彼女の言う「すべての人」には魔力が授けられ、そうではない人には魔力を与えない。という考えにより、一部宗派では「アンヒュームを救うためにはアンヒュームを殺し、再度聖女に愛されるチャンスを与える他ない」という解釈をしている。これを国教にしている国では常に人々の魔力を計測する装置が稼働しており、万が一アンヒュームであることが発覚すれば救済する(=殺害する)ことができる法律がある。これは国際的にも問題になっているのだが、国家元首は「信教の自由」を盾にとって国際社会からの追及を逃れている。

・邪神正教
 少女へ魔法を授け、世に魔物を解き放った神の善悪は解釈が分かれるところであるが、この神を「世界を滅ぼそうとした邪神」として崇拝するのが邪神聖教である。彼らにとって魔物に食われることは「理想の死」であり、一部の地域では禁教とされている。しかし「世界を滅ぼす」という最終目的が真の平等であるとしてアンヒュームの信者が多数いる。
 邪神正教の歴史は旧ヒュラス教の次に古く、教祖はトウラマヤ(古代語で終わり、終焉などを意味する)という男だ。彼は魔女が終わらせた戦で活躍していた兵士だったが、戦争の終結により職を失ってからは商売に手を出すも失敗。その後、「いつ終わりがきてもおかしくない、だから今を懸命に生きるべきだ」という悟りを得た。それ以降、各地を飛び回り教えを広めて歩いていた。その最初の挨拶「いつ終わりが来ても~」がたいてい彼の第一声となったため、民の間で「トウラマヤの人」というあだ名が定着し、そのまま「トウラマヤ」という名前になったようである。
 かつてはトウラマヤ教と呼ばれていたものの、勢力拡大を危惧した旧ヒュラス教の司祭たちが「トウラマヤ教が崇拝しているのは邪神」「あれが信仰する神と、我々の聖女に力を与えた神は別」とネガティブな宣伝を繰り広げた結果、トウラマヤ教は「邪神正教」と呼ばれるようになってしまった。
 ちなみに、この邪神聖教という呼ばれ方に反発して「神は正しい」という位置づけを取ったのが、新興宗教の一種「聖神正教」である。

コラム:精霊神道
 村や自治体によってはそのコミュニティに独自の宗教が生じていることがある。神ではなく、石や自然を崇拝するものや、原初の魔女も神と推察し、魔女と神を両方信仰する宗教もある。
 この中でも特にメジャーな宗教は「精霊神道」だろう。日輪島の東半分を拠点としている精霊族を信仰する神道であり、主神がいないのが特徴である。精霊たちは万象から二つの加護を得る代わりに、ひとつの「もの」を司る。彼らは人間とは関わらずに暮らしていたのだが、隣国アマテラスに攻め入られた結果、今は隷属国家が樹立しており、多数の精霊たちが奴隷として扱われている。そういった背景もあって、「精霊を信仰する」という文化は徐々に廃れつつある。
 だが、「全てのものに精霊がいる」という考え方に惹かれる者が多いのも事実で、そういった人々はアマテラスの精霊族侵攻により行き場を失った精霊たちに対する人道支援を積極的に行っている。



気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)