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恋人をかっこよく撮る方法

この1年間、隙あらば恋人を写真に撮ろうと狙っている。

キモ……と思われるだろうか。

それは何も、いわゆる「推し活」をしているわけではない(いや、まぁ大好きではあるけれど)。

彼、ここではYさんと呼ぼう、そのYさんに問題があるのだ。

Yさんは、カメラを向けると必ず、条件反射のようにあるアクションを起こす。

変顔だ。


鼻の穴を広げたり、大げさなウインクをしたり、不自然なアルカイックスマイルを浮かべたり。友達だった期間も含め、スマホのアルバムをいくらスクロールしても、そんな写真ばかり。

変な人だなぁと思いながらも、はじめは特に気にしていなかった。

しかしある日、Yさんが何気なく言った。

「いつ死んでも、ふざけた遺影になるようにしたいんだよね」

冗談っぽく笑うYさんだったが、わたしはその目を見て「あ、半分本気だな」と感じた。

そしてその印象は、Yさんの実家に遊びに行ってお母さんとお会いし、確信に変わる。

Yさんのまともな写真が一枚もないんですと愚痴ったら、まさかの「わたしも!!」と激しく同意されたのだ。

お母さんはYさんの幼少期の写真をたくさん見せてくれた。そこに写る少年はどれもこれも、変な顔や変なポーズでふざけている。

まともな写真(何をまともと定義するかは難しいが)が、幼少期の頃からほとんどないことに驚いた。徹底している。

恋人フィルターが厚くかかっていることを承知で言うと、Yさんは関ジャニの村上信五と、歌手の優里と、サッカーのロナウジーニョを足して3で割ったような見た目をしていて(これは本人にも伝えている)、黙っていればそれなりにイケメンだと思う。

だからわたしは、そんなYさんのかっこいい写真がほしい。その願いはYさんのお母さんとも共鳴し、わたしたちは結託してYさんのステキな写真を狙うことになった。

どうすれば、そんな写真が撮れるのか。

これまで日々、主に盗撮などしてその方法を探ってきたが、わたしはついに、解決の糸口を見つけた。

Yさんと神戸旅行をしたときのこと。

わたしは「iPhone 12 mini」を使っている。そのスマホで、明石海峡大橋を車で渡りながら景色を動画を撮っていた。

その最中、画面の右上に白い丸があったので、「何だろう?」と思ってポチポチ押してみたのだ。

そのときは何も起こらない。だが、あとでスマホのアルバムを見返して、おったまげた。

動画を撮るあいだ、

白いボタンを押したタイミングで
写真が撮れていたのだ…!!!

(もしこれが世間の常識だったら恥ずかしい)

この世紀の大発見は、Yさんのステキな写真を狙う会(会員2名)にとって非常に朗報だ。

動画ならば、カメラの前で常に変顔でい続けることは難しいだろう。必ずどこかで隙が生まれるはず。その瞬間に、白いボタンを押せばいいのだ。

勝利を確信したわたし。実験的に、旅行中もさりげなく動画を回し、スマホを見る表情や真顔を写真に撮ってコレクションした(キモい)。

まだ普段の笑顔は撮れていないが、Yさんのお母さんに良い報告ができる日も近そうだ。

恋人が変顔ばかりして困っている方に向けた、ライフハックでした。
(ここまでで旅行にまつわる7記事、おしまい!)

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