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ヒーローになった僕④

絵本を書きたくて、ここで物語を思いつたらどんどん書いていきます。このお話は、ある日突然雲の上に連れられて、地球の人助けをすることになった“僕“の物語。
主人公は子どもだけど、子どもにしかできない“想像力“の力でこの先もたくさんの人を助けていく、そんなお話にしたいと思っています。

〈前回までのあらすじ〉
雲の王国の女王?に頼まれて、助けを求める一人の男の子の元へやってきた僕ですが、どうやって助けたら良いのかわかりません。
実際に世界中の人を助けることは難しいけど、助けたいという気持ちを持つことが一番大切かもしれません。

僕の初めてのミッション

あれ?
声が出ない、なんでだろう。自分ではしゃべっているつもりなのに音が出ない。
僕はしょうがなく、身振り手振りで自分の思いをなんとか伝えようとした。しかし僕の意図が伝わるはずもなく、その子は終始不思議そうな目を僕に向けている。
どうしたらいい?考えろ、考えろ、どうすれば良いのか考えるんだ。想像するんだ。そうか、想像するんだ。僕ができること。

僕は自分にできることが何か本当にわからなくて、その子の指を抱きしめた。

(大丈夫だよ、大丈夫だよ)

そんなふうに伝えたくなって心の中で何度も繰り返していた。
どんな悩みを抱えているのかも知らない、名前も知らない、でも少し悲しい表情のその子に、僕は一生懸命思いを伝えた。

「へへ、ありがとう。」

本当に不思議だが、その子は僕の気持ちが全てわかったように笑うと、指でそっと僕の体を抱きしめ返した。
その瞬間、ふわっと心の中が温かくなり、懐かしいような愛おしいような気持ちで一杯になった。



簡単、なのかもしれない。

ただハグをしたたけで僕たちはもう友達みたいだ。僕は自分がこの子を助けることができるなんて思ってなかった。でも、僕たちは今嬉しい気持ちを共有して、笑い合っている。
今の瞬間だけは、この子の暗い表情を追っ払うことができたんだ。僕はなんだか自分が誇らしく思えて、もっと幸せな気分になっていた。



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