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人は裏切るが、酒は裏切らない。

美味しいお酒を飲んだ時の記憶というのは、本当に美しいものだ。「酔い」と言ってしまえばそれまでだけど、私が心のシャッターを切る瞬間はいつだって酒を飲んでいる。

歳を重ねるにつれて、人は簡単に嘘をつくことや、他人の気持ちなど到底理解し得ないことを思い知る。誰の心にも暗い部分があって、決して明かせない秘密が存在する(と、少なくとも私は思っている)。孤独で醜い生き物だよね、本当に本当に。

だからどんなに愛おしい人も私の思いどおりにはならないし、私だってそうだ。それでもひとりぼっちにはなれない、心の拠り所が欲しい。1人でも多くの誰かに自分の存在を認めてもらいたい。とんでもなくワガママ!なんてこったい!

無論、アルコールに溺れてしまうのは宜しくない。でも、あなたと初めてウイスキーを飲んだ日のこと、君と笑いながらビールを楽しんだ日のこと、少しだけ分かり合えた日のアフターミッドナイトの澄んだ青。私の思い出を鮮明にしているのは、いつだって彼らだ。

お酒が嫌いな人、飲めない人は、きっと別の方法で人生の素敵な瞬間を切り取って大切にしているんだろう。拠り所にしているものがなんであれ、とても綺麗で、尊い。私にとってのお酒のお話でした。

2019.8.29 植物

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