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私は私のリセットボタンを押す

バカみたいに真面目で抱え込みやすい性格だった。いつも後になってくだらないことだったと気付いては、自分の正義感を恥じていた。周りのみんなは、どうしてこんなにも鈍感なのか。どうして簡単に他人を傷つけるのか。私にはさっぱり理解ができなかった。

冗談が通じないという訳では無い。たとえ冗談であっても許せない事が私には沢山ある。人を貶して笑いをとる風潮や、容姿をからかう必要性が、どうしても理解できなかった。

道化になった。誰にも嫌われたくないし、友達は沢山欲しい。相手が面白がりそうなことをなんとなく言葉にして並べて、その場しのぎの人間関係を築くのは気持ちが楽だった。そうして、私は色んな私を作った。

立ち振る舞いや言葉遣い、服装を変えれば、「強くて舐められない私」になれる。「優しくて柔らかい私」になれる。相手がどんな話し相手を望んでいるのか、どんな相槌を求めているのか、私が知りたいのはその人についてではなく、その人が求める私についてだった。

人と会うのは本当に疲れる。私は馬鹿な振りをしてでも相手の優位に立ちたいと、どうしても望んでしまう悪い癖が治らない。

だから、私は私のリセットボタンを押す。
疲れすぎて倒れないように、心の隅っこの真面目な自分が死なないように。住む場所を変える。友人関係を変える。毎日見ていたSNSさえも辞める。そうやって自分自身を守ってきた。

本当に息が出来なくなるくらいなら、赤の他人なんてどうでもいい。自分だけバカ真面目になる必要なんかない。私は私と、本当に大切な人だけを愛してゆければそれでいい。

2019.09.13 植物

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