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働く価値のポートフォリオ_#2. 収入が増えて稼ぎが減るとはどういうこと?

働く価値のポートフォリオ

 第1回は、副題を「経済発展における欲求のシフト」として、マズローの欲求五段階説をベースに、世界的に欲求が高次化している現状を整理しました。第2回の副題は「収入が増えて稼ぎが減るとはどういうこと?」として、「働く価値とは何でしょうか?」に対する回答を考えていきます。

 ポートフォリオ(Portfolio)とは、元々は複数の書類をひとまとめに持ち運べるケースの意味ですが、クリエイターは作品集の意味で、金融業界では、投資家が保有している金融商品(現金、預金、株式、債券、不動産など)の一覧やその内訳の意味で使用されます。最近はジョブ型雇用という雇用形式が出てきていて、人生のステージにおいて、複数のジョブをポートフォリオとして持ちながら働くという考え方が出てきており、これをポートフォリオワーカーと呼ぶそうです。パラレルキャリアに近い概念ですが、複数のジョブのバランスを考えながら所持するという点が、ポートフォリオワーカーの特徴になります。
 最初の質問「働く価値とは何でしょうか?」の答えは、その人の欲求段階と職業観(キャリア・アンカー)からなるポートフォリオによって決まると、私は考えています。キャリア・アンカーは、その人の譲れない価値観を意味しており、8つの分類がなされています。このキャリア・アンカーとマズローの欲求は、下記のような関係性があると分析しています。自身が働くことによって享受している価値をどのように増やしていくかをに考えてみましょう。

働く価値のポートフォリオ

 このマップを印刷し、自己分析のために、自分が重視している価値観と欲求(重要価値)を青ペンでマークしてみましょう。もし、キャリアアンカーの概念や重要視すべき点が良く分からないという方は、下記の無料の診断テストを確認してみましょう。

キャリアアンカー

 私のキャリアアンカーの構成は上記のようになりました。純粋な挑戦や、技術的能力の行使、起業家的独創性の部分が少し高めのようです。

 次に、自分が不満を感じていて改善したい価値観と欲求(未達成価値)を赤ペンでマークしてください。赤と青でマークされた価値観と欲求が、あなたの重要視しているのにも関わらず達成できていない働く価値(重要未達成価値)になります。転職希望者は、転職によって青でマークした部分を損なうことなく、赤でマークしたものが得られるかを考えてみると良いでしょう。例えば、収入を重視していない方にとっては、収入がいくらアップしようが、重要未達成価値を埋められなければ、意味がありません。私も、収入を2倍やるからというオファーを頂いたことがありますが、トータルのポートフォリオの資産価値が失われてしまうため、断ったことがあります。「どうして断るのですか?」と聞かれましたが、「稼ぎ(働くことで得られる価値)が減るから」断ったのです。収入は働く価値のポートフォリオの1つの商品でしかありません。自分にとっての理想のポートフォリオの実現を考えていきましょう。

まとめ

稼ぎ=働く価値のポートフォリオを得ること。
収入は、ポートフォリオ(多様な稼ぎの総体)を構成する1つの商品であり、欲求段階やキャリア・アンカー、世の中の価値観の変遷によって、相対的な価値が変動する。自分にとっての稼ぎが最大化する働き方をデザインしよう。

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