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お酒をとおして時間の流れを感じた

ぼくはお酒を飲むと、いつも介護される側であった。20代の頃はイケイケでコンコンとお酒を飲んでいたので潰れることが多かった。そのたんびに先輩たちに介護されながら家帰っていた。

でも、最近は介護するほうが多くなってきた気がする。そして介護するってこんなに大変だったんだと、社会人になってはじめて社会の厳しさを知ったときと同じ気持ちになった。


先日も会社の人たちと飲みにいったときに後輩がつぶれた。まあウイスキーにテキーラ、コカレロを飲んでれば、相当強くないかぎりくたばっちゃうよね。後輩がつぶれたのは2軒目。知り合いがやっているバーに後輩と二人でおとずれたときだった。さっきまで元気だった後輩が急におかしくなって気づいたら寝てしまっていた。


タクシー呼んで帰ろうと思い、後輩を起こそうとした。微動だにしない。何も反応がない。マジか。これは寝てるというより気絶だな。しょうがないパワープレーでいくしかない。ラグビーのスクラム前のように気合を入れた。

なんとか担いで強引にタクシーに乗り込んだ。タクシーに乗せるだけでもこんなに苦労するんだ。人間が自分の力でなにも動かないとこんなに重いんだな、と勉強できた。


そして乗り込んではいいもののあることに気づいた。


ヤバい、こいつの家しらねーなー。


だいたいの家の場所はわかっているが正確な位置まではわかっていなかった。こんな夜中に、しかも自分もわりと酔っているなかで家を捜すなんて無理だ。しょうがない、知り合いの居酒屋に置いていこう。

と思ったけど、まあ迷惑だよね。酔っ払いを置いていくなんて営業妨害みたいなもんだよな。やっぱそれはできんな。


そうだ。

ぼくは後輩と共通の知人に電話した。知人はもうすぐ寝るところだったらしい。「○○が潰れちゃったから家を教えてくれ」。LINEで位置情報をゲットしてその家に向かった。

家の前に着いて後輩を担いで玄関前に連れていく。運よく玄関が空いていたので、よし、と玄関に放り投げて帰ろうと思った。

ん?待てよ。この家、本当にあってる?

たしかに位置情報ではここを指しているが、表札がないので確認ができない。もし違ったらえらいこっちゃ。朝起きたら知らねー兄ちゃん玄関で寝てるんだから。穏やかに暮らしている老人なら腰を抜かすかも。てゆーか住居不法侵入罪だ。逮捕される。それはいかん。どうする。そうだ。

玄関の家の写真を撮って、知人に送信した。

知人から「その家です」と返信がきたので安堵した。ヘロヘロだし酔いもまわっているなかで、よく頭が回った。自分を褒めながら帰宅した。


介護ってこんなに大変なんだ。しかもちょっと不安になるし。

いままで当たり前のように介護されて何事もなかったかのように家にたどり着いていたことの裏に、壮大なドラマがあったのだろうなと思う。

介護される側と介護する側。

すこしずつ世代が変わっていくことを感じた。

あっでも、50代のおっさんが酔いつぶれて大勢で運ばれていたこともあったな。たぶん。いや、確実に。一生かかっても完全には世代交代できないのだろう。以上。終わり。

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