スーパー帰宅部のことを思い出した
そこまで興味ないけど、イワサワ君を思い出した。
イワサワ君は高校のときの同級生で帰宅部であったが、とんでもない逸材だったことを今でも覚えている。
卒業以来、連絡を取っていないのでどこで何をしているかは不明だ。
たまたま同級生の結婚式のとき、イワサワ君が話題に上がったので思い出したわけだ。
彼は高校のときに初めてできた友達だ。最初の友達だけど卒業するときにはそれほど仲良くなかった。
今も連絡を取ることはない。おそらく今会っても3秒以上の間があってやっと気づくか、もしくは気づかないかもしれない。
先日、美容院にいったとき、その店の店長をやっていたのが僕の同級生だった。僕は気づいていたけど、相手は気づかない。
もはや名前を伝えてもわかってもらえないという悲しい結末を迎えたので、きっとイワサワ君に会っても同じ結末になるような気がする。
それでもイワサワ君のことを考えたのは強烈な印象を抱いているからだ。
それは「こいつ帰宅部なのに運動神経エグくねーか?」ってことだ。
見た目だけをみればザ・オタクですという雰囲気を醸し出している。オーラもなにもなくいわゆるイケてない組の一人だ。僕もその一人だった。
僕は人見知りだったので最初の頃はいつも孤立していた。みんなはすぐに周りと馴染んでいたので遠くで羨ましく思っていた。
何をきっかけに話すようになったかは忘れたがイワサワ君とよく話すようになった。連絡先を一番最初に交換したのもイワサワ君だ。
僕が高校で話す相手は所属していた野球部の仲間とイワサワくんだけだった。野球部の仲間は他のクラスメイトとも仲良くしていて、僕はそこに溶け込めることができなかった。だからひっそりと話していたのがイワサワくんだ。
ある時、イワサワくんが「俺って手がでかいんだよね」といってきた。
確かによく見ると僕より二回りくらいデカくゴツゴツした手をしている。さらによく見ると体格もいいではないか。肩回りはがっちりしていてふくらはぎは僕の2倍は太かった。
中学のとき何かやってた?って聞いても「何もやっていない」と答える。
なんとなく違和感を感じた僕はその違和感がハッキリと形になる瞬間を目の辺りにする。
それは年に一回体育の授業で行われる体力測定だ。僕の高校は色んな運動部あるが真面目に取り組んでいるのが野球部と陸上部だけ。だから野球部が平均より上に立つことが多かった。
僕もなぜか反復横跳びだけ学年一位で誇りをもっている。野球とどう関係しているのかはいまだにわかっていない。
もちろん野球部なのでハンドボール投げも得意ではあった。
イワサワくんと一緒に測定していた。
僕がハンドボール投げを測定し終わったあと、イワサワくんが投げた。ぎこちない投げ方ではあったが僕よりも遥か遠くに投げ飛ばし、まさかの学年一位を取っていた。
えっ?野球部より強くね。
短距離走でも走り方にクセはあるもののなぜか速い。
握力を測った。僕は45kgで平均よりやや上の数字だ。まさかと思ったイワサワくんは60kg。
どえー。お前帰宅部なのにパワフル過ぎない?
帰宅部=弱いという印象を見事に覆した。
総合成績でみたら僕よりも上だった。
なんで運動部に入らないの?それだけの身体能力があれば活躍できるのに、と思った。
イワサワ君は疲れることが嫌いらしい。努力とか暑苦しいことが嫌いなのだ。
僕はもったいないな〜と思うと同時にカッコいいとも思った。
僕はギャップをもっている人を尊敬してしまう傾向にある。
不良なのに頭がいい、おバカそうにみえて仕事ができる。オタクだと思ったらケンカが強い。
ワンピースのルフィみたいな感じも好きだ。
彼は今何をしているのだろうか?きっと自分の才能を生かすことはしていないのだろうなと思う。
近年、自分の強みを生かすことが大切だ、という風潮があると感じる。
でも、自分の得意なことが自分の好きなこととは限らない。自分が嫌なことから逃げ続ける人生も悪くないのかなーっとも思った。
イワサワ君、ごめん。久しぶりに連絡しようと思ったけど連絡先消えてた。どこかで会ったら声かけてね。気づかなかったら、さらにごめん。以上。終わり。
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