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グレーなことを話したい

困ったことがある。白でもない黒でもない、グレーなことを人に話すときにどうしたらいいのかわからない。ここでいうグレーというのは、ちょっと恥ずかしかったり王道からそれたようなことをいう。

というのも、床屋に行ってなんでもない爽やかな会話をしていたのだが、そのときに「初詣行きましたか?」と聞かれた。一見なんの不自然もないどこにでも飛び交うような質問なのだが、これが今のぼくにとってはかなりめんどくさい質問である。

結論をいうと、初詣には行っていない。いや、行った。いや、正確には神社にいった。いや、もっと正確にいえば神社の駐車場までいった。ここが今回のグレーポイントである。

家を出るまでは温厚な雰囲気で、はたから見たらドラマに出るような美しい夫婦像がそこにあったと思う。だがしかし、車の中でなんでこうなったのかも分からないくらい、些細なことで妻とケンカをしてしまい、駐車場まで行って係員に500円をむしり取られて帰ったのだ。


これは友達との会話なら笑い話で済みそうなのだが、あまりよく知らない人との雑談になると恥ずかしくて言えない。床屋のおじさんとの会話みたいに、大して仲良くもないし表面上の会話しかしない人にはなんて答えればいいのかわからない。


「行っていない」と答えれば、家族と行くってならないですか?とか、奥さんは行きたいって言わないですか?と聞かれると言葉を濁してしまう。「そんな話にならなかったですね~」なんていうのも不自然だし、そのていで話が膨らむほうがめんどくさい。

だからといって「行きましたよ!」なんて言おうもんなら、おみくじ引きました?とか、あのイベントやりました?なんてことを聞かれたら口がもごもごしてしまう。「いや、実は中に入っていないんです。駐車場で遠くのほうから礼してパチパチして帰りました」なんていったら、それこそ変わり者だと思われてしまう。


だから、ハッキリ返すと深掘りされてしまうので、ボソッと「いきまsi
tt……」と濁してみた。そうすると相手に話が切り替わって「私もいったんですけどね」なんて話の主役が相手にいったので安堵する。

でも、この濁し方もコミュ障だと思われたかもしれないと思うと、やっぱりウケ狙いで「妻とケンカして駐車場で帰りました~」なんて言えばよかったのかも、と思ったりもした。

でもやっぱり、ウケ狙いでかましたのに、鼻でフンっなんて流されたらこんにゃくメンタルのぼくは凹んでしまう。そのあとの会話で何も言葉を発せなくなってしまうのでやめよう。


じゃあどうすればよかったんだ?グレーって難しい。

てか、俺って難しい。以上。終わり。

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