幸せ

散髪から帰って来て、胃が重くて辛くて横になっていたら、知らず知らずのうちに眠ってしまっていた。

胃の痛みが取れて、睡眠に落ちたのだ。

これは半面、睡眠中にも胃の痛みがあって、十分な睡眠が取れていないことを意味している。

散髪屋のマスターに胃のことを話したら、ストレスだろう、と言われた。

そう言われて昔のことを思い出して、会社を辞めて、東京でプータロー生活をしていたときのことや、何もすることのない時間の幸せだったことを話したのだった。

ちょうど、テレビで、何もしないで、山奥でたったひとりで暮らしている人の様子が映し出されていた。

いやね、僕も、山の中で、ひとりで暮らせないかな、なんて思っているんだ、というような話もした。

マスターは、そんな計画があるのか、と言ったが、もちろん計画なんかじゃない。

タワゴトだ。

でもね、そんな妄想に耽って、タワゴトを喋るときって、幸せなんだよね。

現実を逃避することがさ。


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