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パイナップルは超強い。

 「1番強い果物」って、なんだと思いますか?
私はパイナップル一択だと思っています。パイナップルより強い果物なんて知らないし、思い浮かばない。
 これから先、「そもそもパイナップルとは」についてと、私のパイナップルに基づく経験を述べて、如何にパイナップルが強いかの話をしていきたいと思う。


そもそもパイナップルとは

【学名】
 Ananas comosus
【分類】
 植物界 被子植物門 単子葉植物綱 パイナップル目 パイナップル科 アナナス属 パイナップル種
【原産地】
 ブラジル
【生活】
 熱帯性、常緑多年
【『パイナップル』の由来】
 果実(apple)の表面(果表)に多数並んだ茶色い亀甲紋が松ぼっくり(pine)に見えること
【生態・概要】
・細長くてしっかりした堅さの葉っぱが放射状に伸び先端はトゲのように鋭くなっており、フチにもノコギリのようなギザギザがある
・基本的に同品種同士でタネを作ることができない
・受粉しなくても果実は大きくなり、熟す
・他品種と合わせると皮と果肉の間に小粒のタネを作る
・受粉しなくてもいろんな所から芽を出して新たな株となる
・果実は液果が円筒状に100〜200集まった集合果でで、花序軸、子房、花床、苞の基部などが可食部
 →普段食べている所は花の土台となっている「花床」と呼ばれる部分が肥大したもの
・肉のタンパク質を分解するブロメラインという酵素を持つ

 鋸のような棘のある葉を持ち、受粉せずに実を作り、無性生殖で個体を増やす……すごくない? あっ怖くない? 怖くないかぁ……そうかぁ……
 じゃあ次項から補強していきまぁす!

中学生のときの思い出

 私には、小学生のときから別の高校に進むまで当たり前に毎日一緒にいて、それはそれはよく遊んでいたような、とても仲が良い友人がいる。
 ふたりきりで砂浜鬼ごっこをしたり(超絶しんどい)、野良猫を追って暗くて狭い路地に行ったり、塀の上を歩いたり、線路沿いの茂みに生えているよくわからない実を摘んで食べたり、河内長野の全く知らない集落を歩いてみたりと、とにかくひたすら一緒にヤンチャしまくった友人だ。ちなみに大学生になった今でも(流石にそんな野生児みたいなことはしないものの)お出かけする仲。

 そんな友人と中学2年くらいのあるとき、偶然一緒に入った近所の果物屋でパイナップルを見つけた。その売り場には実も葉もまるまるついた立派なパイナップルが2種類あった。何ていう品種かなんて全く覚えてないし、見た目も完全に忘れた。

「どっちか買って食べよう」
『食べよ食べよ』
「どっちする?」
『両方買わん?』
「ええやん」

たしかこんな感じだったような気がする。結果的にふたりでふたつのパイナップルを購入した。半々で交換したら両方楽しめるし、てか値段一緒やから割り勘しやすいやん!

バカですか?
──はい、バカです。

 いつも寄せていただいている友達の家に持ち帰り、どうにかして剥いて、ペロリと食べた。半分ずつ交換して、ひとりひとつの計算。それも1日で。

バカですね?
──バカですね。

 甘くて、酸っぱくて、水分たっぷりで、それぞれとても大きかった。胃にブラックホールを飼いならしている我ら成長期運動部ガールズでも流石に大満足だった。

 問題はこの後だった。

 前述の概要でも示した通り、パイナップルにはタンパク質に働く酵素が含まれている。有名な話では主成分がタンパク質であるゼラチンを溶かすので生のままではゼリーに出来ないこと、酢豚にパイナップルを入れることでお肉を柔らかくしたり消化を良くしたりできること、などがある。

 ところで、私達の舌や口内は簡単に言えばお肉だ。タンパク質だ。おわかりいただけただろうか。
 私の舌や頬の内はパイナップルの酵素にやられ、その日のうちに酷くヒリヒリと痛みだした。晩御飯を食べるのが辛くなるくらいに口中がヒリヒリとした。ジンジンと言ってもいいだろうか。ただひたすらにどうしようもない、擦り傷のような感覚がずっと口にあった。
 翌日の朝、いつも通りその友人と登校しているときに話していると、当然友人もそんな状態だったらしい。

 パイナップルの殺傷能力の高さを思い知った日だった。(パイナップルを1人でイッキに1つ食べるのはやめましょう)


最近の思い出

 闇イチジョでも書いたように、昨夏、我が家の祖父が逝去した。台風の荒れる中、極めて親しい親戚だけが集まり、こぢんまりとしたお葬式が開かれた。読経とお焼香が済まされた後、棺桶に眠る祖父の遺体の元に、食いしん坊だった祖父の好物や花、果物が次々に詰められ、華やかに彩られた。

果物
──そう、そこにはもちろんパイナップルも含まれていた。

 棺桶諸ともすっかり遺体が焼かれ終わり、私と家族はあの菜箸のような長いお箸で骨壷に祖父の骨を納骨していった。
 もうお骨も全てきれいに残ってるわけではなくて、いくつかは灰となって形をなくしていた。しかし祖父の左足の足元にあたる、私からほど近いところに、爆弾のような炭の塊があった。
 祖父は身体に器具などを何1つ入れていなかった。母と確認しあった。しかし何度見ても棺桶に人工物のような、でもお骨ではない『なにか』が、もの凄い存在感を放ってどしんと座っていた。心なしかほんのりと甘い香りもする。不審に思って葬儀会館の係員に訊いた。

──パイナップルだった。

 こわい。やっぱパイナップルこわい。だってアイツ人間のお骨もまばらになるくらいの温度で焼き上げてもまだ骨組み残して香るんだぜ。おじいちゃんのいくつかの骨より強い。消しきれない、消し炭にならない、倒せない。ラスボスじゃん。


何が言いたいか

 結論として言うことは特に何もない。約20年ぼ〜っと生きていたら、偶然パイナップルが威厳と威力を放つシーンに二度も出くわしてしまったまでだ。強いて言うならここまで読んでくださった方に「パイナップルは1日にまるごとひとつ食べてはいけない」という戒めというか、教訓というか、注意を与えたい。

パイナップルより強い果物があったら教えてくれよな!

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