まわり道 6

「ちょっと、外出しない?  家の中にいたって仕方ないでしょう」

仕方なくはない。
むしろ、学校関係の誰かと鉢合わせたら怖い。
それでもし、噂になったら……
「あいつは学校行かずに遊んでる」
なんて言われたら、気まずくて余計行けなくなる。

あと、私は人混みの空気の独特な雰囲気が苦手。

香水と柔軟剤、制汗剤の人工的な香りに、
人の汗や皮脂の匂い。
湿っぽいジトっとした空気に
むせかえることがある。

人の声が全部私に突き刺さる感じがする。
人が怖い。
人は悪意を向けてきて傷つけて、
血が流れたとしても、
謝るどころか
さらにおもしろがって
さらに刺すような言葉を投げる

人なんて,そんなもん。
そんなことを思いながら、
私はお母さんの手を引かれて、
適当に街をぶらついた。

その日の夜は
四方八方の人の目が
私を凝視してる夢を見た。

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