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カタツムリたちの怒り

小学生のころの話だ。

私は自宅の前で友達と遊んでいた。
その日は雨があがったあとで道路は湿っていて、空もどんよりとしていた。

「ねぇ、ねぇカタツムリがいるよ」私は
お向かいさんの塀にぺったりと張りついている
カタツムリを発見した。そいつの殻を優しく掴み、そっと引っ張ると塀からペリッと離すことができた。

まなちゃん(仮名)が「そしたらさ、どっちが、たくさんカタツムリを集められるかゲームしようよ!」と素晴らしく面白そうな提案をした。うぅ、これは子どもの時だったから楽しんでできたが、今の自分なら絶対やりたくない。
「いいよー!あ、ほらここにもいるよ」
少し辺りを見るとあちこちにカタツムリがいるではないか。

「よーい、スタート!」

2人はあたりの道路や、家の周りをよく見て
歩き回った。すると、小さいカタツムリから大きなカタツムリ、全然動かないものから、よく動くやつまで見つけた。

見つけたカタツムリは、自分の家の前に集めればいいのに、たまたま1匹目をお向かいさんの塀で見つけてしまったために、その塀の前にどんどん集めることになった。
もしお向かいさんがその光景を見たら、今すぐやめてほしいと思うに違いない、、、。
家の前に大量のカタツムリたち。

あまり時間が経つ前にどんどんカタツムリは集められ、パッと見て何匹いるのかわからいくらいだった。気持ち悪いとかゆう感覚は全くなかった。むしろ、めったに見ることのできない素晴らしく貴重な体験を今まさにしているといった優越感でいっぱいだった。

もう、集めるカタツムリが見つからなくなってきた頃、ゲームは一旦そろそろやめようかという空気になってきた。私は諦めが悪く、キョロキョロと、まだ辺りを探していた。

「あ、大きいのいたよ!ほら!みてみてー!」
私は大喜びで、まなちゃんの方に向かって一目散に走った。

そう、一目散に走っていたもんだから、地面の方なんて全く気にしていなかった。なんと、恐ろしいことに、私は一生懸命にまなちゃんと集めたカタツムリの大群の所に足を踏み入れてしまい、思い切り踏んづけてしまった。

まなちゃんも私もカタツムリが死んでしまった悲しみと、ゲームがどっちが勝者かわからなくなった悲しみに包まれ、何匹とったか数えることもせず、その場を静かに離れた。
お向かいさんにとっては本当に迷惑な話だ。
この場をお借りして、当時は申し訳ございませんでした、、、。

あれだけ多くのカタツムリの大群を一気に
やっつけてしまったのはもしかすると人類で
私しかいないかも知れない。ある意味すごい。そんなことはどうでもよいが。

こどもはどんなことも怖がらずにやってしまうところが危険である。いくら不可抗力とはいえ、カタツムリの神様の怒りははかりしれない。

別の雨の日に、友達の家の塀に大量の巨大ナメクジがくっついてるのを見つけたときは、あのとき私が殺してしまったカタツムリが生まれ変わり巨大なナメクジに進化して現れたのかと思ったくらい驚いた。

大人になってから、雨の日に嫌なことことがあると、カタツムリの神様のお怒りなんだと思って静かに丁寧に生きることにしている。

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