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ミステリーはお好き?(2)ピーコートが着たい!

英国スコットランドの北東に位置するシェトランド諸島のうち最大の島、メインランド島(967㎢)を舞台にしたドラマ『シェトランド』。
冒頭、切り立った断崖と打ち付ける白い波、そして荒野。ケルト風の音楽が流れる。この詩情あふれるオープニングに引き込まれる。

ジミー・ペレス警部(ダグラス・ヘンシュオール)は愛する妻を亡くし、妻の連れ子である年頃の娘と暮らしている。彼はいつも疲れたような、悲し気な顔をしている。優しく思いやりがあり、正義感が強い。シェトランド署では3人の部下から絶対的な信頼を得ている。

制服ではないのだが、彼はいつもシェトランドセーターにブルージーンズ、そしてピーコートを着ている。猟師や船乗りが着る、ダブルブレストの短い丈の防寒用コートで、大きめの襟は完全に立てられる。色は濃紺または黒。彼はダブルの釦をきちんと掛け、両手をポケットに突っ込んでいる。このドラマを見て以来、ピーコートが欲しくてたまらなくなり、ネットで探してみたら、何と、ジミー・ペレス・モデルが売られていた。

住民みんなが顔見知りの閉鎖的な島でも殺人事件は起きる。狭い世界だからこその妬みによる殺人、麻薬、人身売買、自然破壊問題に絡んだ殺人など様々な事件をペレス警部の鋭い洞察力と、部下達の地道な聞き込み捜査で解決していく。

事件を縦糸とすれば、横糸はペレス警部を取り巻く人々、ーーー娘、その父親で妻の前夫、老いて痴呆の父、刑事達、そして島民達の暮らしが緻密に描かれている。人間描写に優れたこの作品はミステリーであると同時に人間ドラマでもある。

シェトランド署に行けば、ペレス警部や部下のトッシュやサンディーに会えそうな気がする。
メインランドに行きたいなあ。晴れた日にはノルウェーやアイスランドが見えるという。ピーコートを着て両手をポケットに、哀愁を帯びた顔をして、海沿いの道を歩きたい。

ジミー・ペレス警部

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