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ぽっぺのひとりごと(13)こどもの情景 「おぬし、できるな」

バスの中で、私のすぐ後ろの席にいた6、7歳の女の子がお母さんに訊いた。「あの漢字、何て読むの?」
「ああ、あれ。ハタチと読むのよ。20歳のことよ。」
「ふうん。20歳になったら酢物を食べるんだね。」
??? 指差された方を見ると、振袖のレンタルショップの大きな看板。
「二十歳ですもの」とあった。

また、バスの中で。すぐ前の席にいた5歳くらいの男の子がお母さんに尋ねた。「あの漢字、何て読むの?」
「あれは○○と読むのよ。」
「わかった!じゃあ次は○○いんたーろだね!」
な、なに? そのイタリア語のようなバス停。
見ると、「インターぐち」だった。
カタカナ、もう読めるんだ。えらいねー。

スーパーの花屋さんで。中学生男子とお母さんの会話。
「この花、きれいだね。何ていう花?」
「ベラドンナよ。この花、毒があるのよ。」
「ふーん。ベラドンナって、どういう意味?」
「イタリア語で、美しい女の人のことよ。」
「ああ、だから毒があるんだね。」
むむ、おぬし、できるな。

高校生男子と私の会話。
私:小鳥がきれいな声で歌うように、有名な歌手には鳥にあやかった名前が付いてるのよ。美空ひばりとか、エディット・ピアフ(雀)とか。
Kくん:もう一人いますよね。
私:えっ、だれ?わかんない・・・。
Kくん:マリア・カラス。
私:あっ、やられたっ!

製作費200円のベンチ

その日、ショッピングモールのATMコーナーはすごい行列だった。
そのお母さんの順番が近づいた時、3歳前くらいの男の子が、「ママ、トイレー。」と言った。お母さんは、「何よ!さっき訊いた時、行かないって言ったでしょ!」と怒って、機械の前に立った。
用を済ませて振り返ると、男の子はしゃがんで、赤い顔で力んでいた。
お母さんは叫んだ。「あんた、まさか!」
彼女は息子の腕をつかんでトイレの方向へ。
居合わせた人々はびっくり!
私は思った。「アンタ、マサカ」 あっ、ATMだ!

 

ぽっぺのともだちヘルガ

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