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「ドイツ縦断ひとり旅」(9) ディンケルスビュールへ  ちょっと不思議な路線バスの旅

2019年9月15日(日)晴れ

今日も快晴。日差しが強い。いかにもドイツのおじさんって感じの、優しいドライバーさん。スーツケースを上げてくれた。ディンケルスビュールまで6・50ユーロ(780円)。10ユーロ札を出して、おつりをもらう。16:20、到着。「アウフヴィーダーゼーン!」と言ったら、ドライバーさんもニッコリ、「ヴィーダーゼン!」と、手を振ってくれた。

ベンチがひとつあるだけの小さなバス停。すぐ傍の広場では「フード・フェスティバル」が開催されていて、たくさんの人とキッチンカーで賑わっていた。私はひたすら、教会の塔の方向を目指す。石畳の道はスーツケースを押すのには向いていない。まして、車輪が3つしかなく、持ち手が壊れているのだから大変。

旧市街への門が見えてきた。門をくぐると、前方にインフォの " i "マーク。良かったー! ホテルを世話してもらう。「なるべく安いの、50から60ユーロくらい」と頼んだけれど、空室がなく、「72ユーロ(8640円)のホテルはダメ?」と訊かれたので、「いいです、それで」と即決した。

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「ホテル・ゾンネ(太陽)」。お日様の看板。レセプションのテキパキした若い女性が、部屋までスーツケースを運んでくれた。ダブルベッドの部屋。けっこう広い。17:30になろうとしているので、さっそくゲオルク教会に行ってみる。

ディンケルスビュールも城壁に囲まれた街。見どころは街の中心にあるゲオルク教会。ここでは中央祭壇の上に祭られたゲオルク(英語ではジョージ)像があるのが特色だが、外にも、聖ゲオルクが竜を退治している小さな彫刻があるというので捜した。そして、見つけた。 首、痛っ!

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ネルトリンゲンは豚によって敵襲から救われたけど、ディンケルスビュールは子供達によって救われたという。1632年、街を襲撃しようとしたスウェーデン軍の隊長に子供達が、「私達の街を破壊しないで。ただ通り過ぎてください。」と、必死にお願いをしたので、街は救われたんだって。

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ぶらぶらと街を散策。この街も木組みの家が美しい。ドイツ語で「ファッハヴェルク」と呼ばれる木組みの家が大好きな私は、見て回るだけで幸せ。

19:50、部屋に戻り、朝のパンとゆで卵と水で夕食。これ、私の定番。 洗濯とシャンプー。今日も汗びっしょり。

2019年9月16日(月)うすぐもり

今まで番狂わせ続きだったけど、今日こそ予定通りに動くぞぉと、硬い決心。昨日降りた小さなバス停で待っていたら、813番は時間通りにやってきた。10:24、発車。 でも、昨日と違って、乗客の乗り降りが多く、終点、ドムビュールに到着したのは、予定を少し過ぎた11:10。

メガネのドライバーさんに、ここまでの料金を尋ねたら、「いいよ、いいよ、いらないよ。この後、ローテンブルクまでの切符を買えばいいよ。おまけしとく。でも、トップシークレットだよ。僕はポーランドから出稼ぎに来ているんだ。いいお金になるからね。じゃ、気をつけて!」 まあ、びっくり! お礼を言って下車する私の背中に、「内緒だよー。」と念を押してきた。

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誰もいないバス停のベンチに腰掛けて、今日はいい日だなあなんて考えていたら、807番バスはいつの間にか来ていた。11:29。 乗客は私ひとり。「ローテンブルクまで」と言うと、「ノー・ペイ」と言われた。は? ドライバーさんは券売機を指差して、「ブロークン」と一言。狐につままれたような気分で座席に座ると、すぐに発車した。

さっき私がベンチで待っていたとき、先程のバスの運転士さんの話している声が聞こえていたけど、その相手がこの運転士さんで、「タダで乗せてやろうよ」と、話がまとまったのだろうか・・・。わからない。

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ローテンブルクまで約1時間の旅。お一人様の貸し切り。ロマンティック街道を走っているかと思えば、ひょいと小さな町の中に入っていく。「あれ、これって逆戻りしてない?」と思えば、村の中をくねくね回っていく。どのバス停にも誰もいない。また、畑と森、小さな村を繰り返し、12:25、時間通りにローテンブルクのバスターミナルに到着。ドライバーさんは私のスーツケースを地面に下ろしてくれた。

不思議な一日。ドイツに8回も来て、路線バスに乗ったのは初めて。    ありがとう、ポーランド人の運転士さんたち!!

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