見出し画像

ブレスト


大きな画用紙が広げられて、マジックペンで見出しが書きこまれていく——他方では、印刷された写真がハサミできれいに切り取られていく(コピー用紙1部に対して複数枚の写真が印刷されてあった)。

僕が写真を整列させていく。その出来事が起こった順番に。

そこに写っていたのは、僕たちが過去につくった作品の記録画像であったり、そのキービジュアルだった。大きな画用紙の下方には2018、2019、2020……というふうに西暦が振られてあって、それをもとに、写真を並べていく。



画用紙をつかって、こんなふうにビジュアライズしながら、それぞれの考えを発表しあい、それをまた画用紙に書きこんでまとめていく方法はブレストっぽいよね、とそこにいた誰かが言った。

ええ、そうですね、と頷く人もいれば、「ブレスト」って言葉はよく聞くには聞くのだけど、それがどういうものなのかをいまいちわからないでいる人もいて、そういう人は、曖昧に頷いた。


写真がすべて切り取られ、切り取られた写真すべてが時間軸上に整列させらて、画用紙には、準備段階で書きこむべきことがすべて書きこまれたみたいだった。準備は整った。それじゃあ、どんなふうにして「ブレスト」を進めていこうか。


真っ白な画用紙は、まるでテーブルクロスのように広げられ、その上に乗せられた得体の知れない肉。鳥のようだが、鶏ではない肉。どんなふうにして「調理」を進めていこうかと思考する各人。

むやみにナイフを入れようとする者もいれば、素手で叩いてみようとする者もいた。行動を起こさずに静観し、最適な調理法を思索しようとする者もいた。

どの行為も誤っていないし、正しいともいえない。

実験的精神と興味関心、好奇心で道を拓くこともできる。しかし、道を拓いていくのには犠牲コストがかかる。

だから、犠牲を最小限にしようと、すぐには行動を起こさないで、まずは頭で考えて(プランニングをし)効率的に行動を進めていこうとする。しかし、この場合、行動によって得られる成果はだいたいが予想通りで、予想外のものが飛び出してきたり(あるいはなにも飛び出してこなかったり)するようなことはほとんどない。

つまり、ギャンブラーになるか、そうでない道——堅実な道——をいくか、ということなんだろう。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。 これからもていねいに書きますので、 またあそびに来てくださいね。