見知らぬ猫

見知らぬ猫

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うつくしい城

魔女は歳をとってしまった 魔女の城も庭も、寂れてしまった 魔法使いも もう戻ることはないだろう しかし、花が枯れても 魔女の持つぬくもりの魔法は変わらない 陽の光を浴びて目を覚ます庭の花 部屋の隅で微笑むブロンドの髪の少女 遠く聞こえる秒針の音 この美しい城の記憶は 夢か、現か

    • 祈り

      ぼくはなにもじょうずにできない 昨日は洗濯物を雨で濡らしてしまった 真っ暗な海のそばを ひとりで歩いていたら 砂に埋まっていたきれいな石をみつけた その石は 「100点じゃなくてもいいんだよ」 と言って まっすぐに光っていた なにもできないぼくだけど 君を幸せにする方法もわからないけれど 君の幸福を祈ること それだけはぼくにでもできるよ きっと明日からも なんにもじょうずにできなくて 誕生日のケーキを倒しちゃうこともあるかも それでも君の幸福を

      • 呪い

        過去の自分が嫌いなので、 自分が写っている写真はほぼ残っていません。 ただ、幼少期の、物心つく前の自分は好きなので 消さずに残しています。 一緒に写っている他人が自分の写真を持っていると 考えるだけで、吐き気がします。 過去の写真は呪いです。 過去の自分が呪いです。 過去の自分が嫌いなので、 過去の自分を知っている友人はほぼ残っていません。 ただ、幼少期の、物心つく前の自分は好きなので その頃の友人には会いたいなと思っています。 過去の自分のことを覚えている人がい

        • 今泉力哉監督へ

          わたしが、監督の作品をはじめて観たのは 『街の上で』でした。 その日、はじめて 「あ、わたしの"好き"ってこんなかんじだ」 と自覚しました。 難しいことを考えるのも、ことばにするのも苦手なので うまく伝えられませんが、 なんか、やさしくて、おもしろくて、居心地がいいな と感じました。 わたしが監督の映画でいちばん好きなのは 『退屈な日々にさようならを』です。 いなくなるってことはここにいたってこと。 何回観ても胸が きゅっ、 となります。 なんだか、監督とわたしって似てるな